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そんな話を聞けば自分もできるようになりたくなってしまうのが男という行きものである。
「なぁ真琴、俺にはその結晶光のコントロールってのはできないのかな?」
「無理ね」
「即答かよ……」
とまさに瞬殺されてしまうわけだが、そこで諦めては男が廃る。
「じゃあそのエネルギーの流れっての感じ方のコツみたいなのを教えてくれ!!」
「だから無理って言ってるでしょ……」
「なんでさ!」
意地で真琴に食いつく。自分にさほどの才能がないことなど自覚している。しかし彼女をここまで興奮させるほどに凄い事が磯山にはできるのだ。同じ人間として諦めるわけにはいかない。
「椋、お前には無理だろ……」
その理由を訪ねている最中に懋の横槍が入る。お前も否定派かこんちくしょうめ!!
「そう、椋。アンタには絶対無理。だってアンタ…ナチュラルスキル使えないでしょ?」
「あ…………………」
真琴が新田に聞こえない程度の小声でボソッとつぶやく。
しかしその一言でなぜ懋までもがそれを否定したのか理解できた。
そういえばそうなのだ。自分のナチュラルスキル、『愚かな捕食者』は現在フールによって封印されている。それがあまりに強大な力だからだ。今の自分ではまだ完全に《愚者》の力と混同させることはできないらしい。
まぁそこのとこ踏ん切りがついているためあまり気にはしていないのだが、椋が放つ金色の結晶光はあくまで《愚者》のモノだ。おそらくそれを完全に操作するのは不可能だということを真琴入っているのだろう。というより自分でもこれほどの力を操作できるとなんて思っていない。故に納得できたのだ。
「ちぇー。なんか仲間はずれな気分だなー」
と少々しょぼくれているあいだに試合は結構な盛り上がりを見せていた。余裕をかましていた磯山の左足に仲俣の右拳がクリーンヒットしたのだ。能力を発動させずその前段階の結晶光だけを使い余裕をかましていた磯山、先程受け止めれたのだからと調子に乗っていたのだろう。仲俣の拳の変化に気がついていなかったようだ。
拳の両端、装飾品のように見えていた部分がロケットが推進するかの如くシーグリーンの結晶光を噴出しながら威力を上昇させていっていたことに。
してやった顔で黒の忍装束が脚を抱えうずくまる武士に吐き捨てる。
「調子に乗りすぎだ1年坊主!勝負はどっちかが勝つまで続くんだよ!」




