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 「本当ですか!?」

  

 と急いでOLの緊急メールを確認する。

 入っていたメールは二件、日頃から良く来る『嫉妬』が校舎棟で確認されたというメール、そしてもう一つ『強欲』の反応があったというものだった。

 同時に起こった二つの反応は『嫉妬』のシグナルが突然消失するとともに『強欲』も消え去ったとうことで、七罪結晶を複数所持しているものの存在を諮詢しているものでもあった。


 「おそらく『強欲』を持った誰かが、『嫉妬』を持った今回の被害者を襲ったんだと思う……」

 

 椋の肩を離した青山が真剣な顔をし考え込んでいる。

 

 「僕はそっちに行ったほうがいいんでしょうか?」


 浮かんできた質問はそんなものだった。向かったほうがいいのだろうか?『強欲』の所持者はおそらく、麒麟寮関係者だ。これは恐れていた事態が起こり始めていることも意味しているのだ。


 「いいや……今は『暴食』の回収に専念したほうがいい。君も漸くこっちの生活に慣れたんだからさ……それにぱっと消えてまたぱっと現れるとなると色々と面倒だからね」


 苦笑いしながらそんなことを言う青山だが、冷静に目が笑っていないことは誰が見てもわかっただろう。

 この一連の事件はだんだんと深刻な方向へ向かっているのだ。こんなところで結晶の一つも回収できずにもたもたしている暇はないのだ。一刻も早く七罪結晶を回収せねば…………。

 思考回路がそれでいっぱいになる。正直に言えば『強欲』の回収を優先したいところなのだが、青山の言うとおりここを簡単に離れることはできない。もどかしさに襲われながらもそれを解消する方法が無い

 ドンッと左手でおもいっきり壁を叩き、やり場のないこの感情をそこにぶつける。


 「伍莉君……」

 「…………すいません頭冷やしてきます……」


 青山を振りのけ、自分の部屋から走り去る。今や麒麟寮よりも地理に詳しくなってしまったこの蒼龍寮の街に繰り出そうとする。

 青山も止める気はないらしくすんなり通してくれた。地理に詳しいとは言っても行くあてもなく、ただそこらを歩き回ろうと思っただけなのだが、そのぶらぶら歩きまわる気力すら失せ、気がつけば手近にある公園にたどり着いていた。

 朝っぱらからただひとりブランコに乗り何もせずにじっとしている。

 周りから見たら確実に変な奴なのだろうが、同時に周りから見たら抱えている問題を察知させるんじゃないかというほど落ち込んでいる姿がそこにはあった。

 

 

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