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「そんなこと言われても……」
と山根から受けたまさにその通りな一言に返すすべもなくさすがに椋もショボンとなる。
「貴方って本当に頭良いのか悪いのか分からないわ……」
「それは褒めてくるんですか?それともけなしてるんですか?」
「少なくとも褒めてはないわね」
「ウッ…………」
とそんなことを話しながらもエレベーターに乗り込み、下層に降っていく。
「それにしても七徳集箱ね……こんなものどうやって作ったのかしら?」
「確かにそうですよね……。七罪結晶を封印するためだけに作られた物か……。あんなものを封印できるだけのスペックがそれにもあるってことですよね?」
「まあそういうことになるわね。材質からしておそらく原石よね……しかもかなり純度の高い……」
と考え込むように一人ぶつぶつぼやき続ける山根と共にエレベータを降りとりあえず一旦麒麟寮に戻ることにした。
山根がなにかブツブツ言っているうちに腕に装着されたOLを起動し、いろいろ試してみることにする。
ポップアップされたウィンドウにはこれまではなかったいくつかのリンクが追加されていた。
(こんなマップあったっけ?)
と思いながら一箇所、これまでとアイコンの形から何から全てが違うマップを選択し、起動する。
これだけ高性能なOLでも何故か機動に微妙のラグがあった。
(どれだけ重いプログラムなんだよ……)
と愚痴を入れつつ少し待つと正常にマップが起動した。見た目で変わったところはあまり見当たらないが、一つだけビデオカメラのようなアイコンが追加されており、気が惹かれるままそれをタップする。
すぐに[目的地を選択せよ]との指示があったため、とりあえず麒麟寮の第一寮を選択し、さらに拡大されたマップで、自分の部屋を選択する。
こんなことに何の意味があるのかと思いつつも支持されるがままに操作を続けていくと、マップがブラックアウトし、ウィンドウが停止する。
(なんだこれ?壊れてるのか?)
と思いつつ、腕輪を何度か叩いてみる。まあもちろんそんな古典的な方法で治るとか思っていなかったわけだが、リングに噛み付くと同時に、ウィンドウから不思議な音が聞こえてくる。
ズッと何かを吸い込む、いいや、すするような、聞き覚えのある音だ。
ウィンドウに目をやり驚愕する。
写っていたのは何かと散乱した自分の部屋、そして新田恭介、あからさまに部屋でうどんを麺から作り食べているそんな姿が写りこんでいたのだ。




