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 同期が完了すると同時に灰色だったOLが徐々に黄色く、椋が前に装着していたものと同じ麒麟カラーに染まっていく。

 

 「終わったようだな。ではこれにて説明を終了する。本当に質問はないな?」

 「はい。大丈夫です」


 村本はそのまま視線を山根にうつし、問う。


 「山根君は大丈夫かね?」

 「…………はい」


 その言葉を聞くと同時に村本が叫ぶ。


 「ではこれにて今回のミッションの説明を終了する。質問はいつでもOLを経由して寄越してくれ。では解散!」


○~○~○~○


 「失礼しました」 

 椋はそう言って踵を返し、校長室の木製のドアを開け部屋を去る。

 山根が横にいるが、彼女の表情はいつも以上に砕けている。

 

 「やーーっと解放されたーー!!」

 「そんなこと校長室の前で叫ばないでくださいよ!!」


 そんな山根の顔が一気に暗くなる。あまりにもON、OFFの切り替えが激しく、心配してしまうほどだった。

 「ホント、怖いったらありゃしない……」

 「先生はあの人に会うのは初めてなんですか?」

 「そうね……イベントの時とか遠くにいるのは何度も見たけど、校長室に来たのも初めてよ」


 教師ってそんなもんなのかな?と素で疑問を浮かべ考え込んでいると、今度は山根から話が飛んできた。


 「それより辻井君、あなた無茶しすぎよ?」

 「何がですか?」

 

 何をどう無茶しているのか、なんとなくはわかるがどのことを言っているのかがわからなかったのだ。


 「あなたの性格からして「誰も巻き込みたくない」とか言って一人で全部やるつもりなんでしょ?」

 「えっ…………バレてました?」


 俺はそんなに自分の性格を表に出す人間だったかな?とまだであって3日の人間に自分の考えを当てられてしまい、少し凹んでしまう。


 「なんにせよ、一人は危険よ!!絶対に誰か、せめて二人で行動しなさい。わかった?」

 「はい……努力します……」


 山根の忠告はごもっともなのだが、やはり心の中でそれを否定しようとしている。誰も巻き込みたくないと思っている。


 「あっ、そうだ辻井君、さっきの七徳集箱(イノセンスボックス)ってやつちょっと見せてくれない?」

 「はい、いいですけど……。そういえば先生はこの箱のこと知らなかったんですよね?」

 「私は研究を途中で抜けたからね。製造された種類も4種しか知らなかったし」

 「残りの三つは……『嫉妬』と『憤怒』と『傲慢』か……せめてどんなものが召喚されるのかとか分かればいいんだけどな……」


 そんな発言に山根が歩行を止める。

 額に手をやり髪を持ち上げ、やれやれといった様子で首を振り吐き出すようにつぶやく。


 「なんでそれをさっき聞かないのよ…………」

 

 

 



 

 

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