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15

 胸元のポケットから手を出し少し硬い体で村本と向き合う。

 その巨漢はやるべきことは終わったといった様子で元の黒革の椅子に腰を変えようとしていたその時だった。


 椋の胸元、先程プリントを入れたあたりから強烈な青い光が放たれる。


 「なっ!?」


 声を上げたのとほぼ同時にそれは小さな紋章を描きそのまま椋の胸、少し左寄りの部分に勢いよく吸い付く。

 

 「(あつ)っ!!」


 衣類は一切燃えているわけではないのに、まさに皮膚を直接あぶられているようなそんな逃げたくなるような熱さが襲う。

 

 「校長!?」


 隣にいた山根が叫ぶ。この状況ではおそらく村本の仕業で間違いないだろうとは椋も思うわけだが、そんなことに集中できないほどの痛みで紋章が胸を焼く。

 

 「何……を……っ!!」

 

 悶え、胸を抑えながら地面に膝をつく。立っていられない、という言葉がふさわしいだろう。聴覚だけに集中し村本の返答を待つ。


 「それは刻印だ。君がイエスといえば体に馴染みノーといえば自然消滅する。さあ、どうする少年?」

 「聴いて……るのは……そんなことじゃ……ない……!!何の……ためにこんな……ことを!!」


 必死に声を絞り出す。そもそもその『刻印』とやらがなにか椋には理解できていない。何の意味が有り何を齎すのかそれがわからないのだ。


 「それは自然治癒の『刻印』だ。君たちが先日の戦闘で使っていた自己修復のフィールドの個人使用が可能になったものとでも言おうか。君がそれの使用を宣言してからきっかり一時間後に自己修復が開始される」

 「それは……つまり《魔術師》の能力なんですか?」

 

 苦しみ声を出すのも精一杯な様子を見せる椋の代わりに山根が不思議そうに問う。


 「その通りだ。そんなことより少年、早く答えを出さねば苦しみが伸びるだけだぞ?早急に決断したまえ」

 「分かり……ました……七罪結……晶回収に……協力させてもらいます……」


  その宣言とともに青い紋章は衣類の下に浸透していくように、スーッと薄れ消えていく。もとより断る気はなかったためこういうことは早く言って欲しいものだ。いや、言っていたような気もする……。

 椋は胸のあたりにまだあの焼けるような感覚が残っているものの楽になった身体で村本に問う。


 「あのフィールドはすべてあなたが管理しているんですか?」

 「その通りだ。戦闘許可通知のようなものが来てな、戦闘が許可できる状況なのであればそれに返信するような形で私の能力をOLを統括管理する装置に流し込み各OLからフィールドを展開させるのだ」

 

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