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 どうやら彼女の興味はその治療法よりも召喚系人工結晶シリーズに向かっているようで、

 

 (これは説明の仕方を間違えたな……)

 

 などと考えつつも苦笑いで話を流そうとする。

 しかしそこではなれない頑固さを乙姫は備え付けていた。

 

 「その契と言う人は椋さんの友人なのでしょうか…?」

 「うん。入学試験のときに一緒になった縁でね」

 「椋さんはその七罪結晶とやらの存在をご存じだったんですか?」

 「いや、昨日まではギの字も知らなかったよ。乙姫のヒントがあったからこそつかめた答えだ」

 「お役に立てて光栄ですわ」


 たった三日前に会ったとは思えないほど二人の仲は親いものになっていた。


 「ところで乙姫は七罪結晶のこと気になるのか?」


 そんな質問を飛ばす。もし彼女が興味を持っているのなら全力で止めなければならない。

 少しでも興味をもっていいものではない。持っているのならすべてを話し、彼女からその意思を削ぐつもりだった。

 あれがもしかしたら……もしかしたらこの学園に広がっているかもしれないのだ。


 契の話では一ヶ月ほど前に幹部職または研究者の誰かの手によって持ち出されたとのことだった。

 そしてその内の一つを黒崎泥雲が、ただの高校生が所持していたのだ。そして少なからず黒崎は七罪結晶の知識を持っていた。ただの高校生がだ。誰かに手渡されたに決まっている。


 今のところの殆ど妄言に近い椋の推測では、研究者が学園にすべての七罪結晶を持ち込み、選ばれた生徒にそれを渡し、使用させる。そのデータを欲しているのだろう。とんだマッドサイエンティストだ。 

 ふざけんじゃねぇといいたいところだが、今のところのこれはただの妄想だ。確証を持てない。

 これだけ頑張って漸くひとつの結晶を破壊できたのだから、これが残り6つも残っていると思うと吐き気がしそうだ。


 乙姫はしばらく悩んだ様子を見せた末にふたたび否定をする


 「興味がないと言えば嘘になりますが、もし手元にあっても使うこと無いでしょうね。あの黒い九尾を見て、戦った私には何となくわかります。あれはこの世にあっていいものではない代物です」

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