学生たちの楽園2~伝統の入寮祭~ 1
椋はあることに怒っていた。
港に到着後、再び昨日と同じ船に乗せられ、船は新入生が全員集まると、ほぼ時間通りに出航し、ほんの数分後にこの学園のある島に到着した。
どうやってこんな短時間でこの島に到着したのかはわからないが、それができるなら学園の本土で入学式を行えばよかったではないかという話になる。結果レクリエーションを行うためにあの方法で入学式を行ったとしか思えないからだ。
しかし、やらなかったらよかったとは言い難い。
少なからず、あのレクリエーションのおかげで懋と出会うことができた。
ほかのグループでも一緒に戦った仲間同士が共に行動している場面を多々見ることができた。
ムスッとした顔をしながらも教員に先導され、椋は船を降りるのだった。
〇~〇~〇~〇
再び学園のあるこの地を踏みしめる。やはり島からは青空を見ることはできず、森には一本の道が伸びている。
「やっぱりすごいな…」
と首を上に向けながら椋がいう。
「うん、すごいよね」「どうやって浮いてるんだろ…」
と沙希、契が続く。
「バカみたい」「やっぱデッケェェ!」
と冷静な真琴、テンションあがりっぱなしの懋が椋達より先に道を進んでいく。
実際、この学園はどうやってい浮いているのだろうか。さすがに中央にある塔だけでこのサイズのものを支えられるとは思えない。各所の浮遊のための機構でもついているのだろうか。
などと考えていると、真琴は違う観点の方が気になっているようだ。
「なんでこんなに日差しを遮られてるのに、この森はこんなに元気なんだろ……」
とぶつぶつぼやいている。
続々と人が続いていく中、ようやく先頭集団が大型エレベーターに到着したようで、次々と道から人が消えていく。
一度に100人程度乗ることができるため、それほど詰まることもなく椋達がエレベーターに誘導される。
広いといってもさすがに100人もの人が集まれば暑苦しいというものだ。早くエレベーターから出たいという衝動に駆られるが、人が多すぎてそれもできない。
さほど時間もかからず上のフロアに到着し、エレベーターから脱出するとやはり学園の姿に目を奪われる。
中央に聳える職員塔以外の土地が、校舎、学生寮、その他施設に使われていると思うと、大規模な学園なんだと実感できる。
どれほど腕のある職人が手入れされたのだろうかというほどに鮮麗されたデザインの校舎群が眼前に広がっている。
たぶんではあるが、ほかの施設もすべてに職人の手が入っているのだろう。
エレベーターを降り正面にある見渡す限り職員塔の次に大きな施設に移動する。
門の隣には大型生徒集合会館と書かれている。
会館の中に250人が次々と入っていく。
中に入るとやはり驚いてしまう。
中には私服を来た、おそらく新入生であろう数えきれない人数、2000は軽く超えるであろう人間が、会館にはいたのだ。




