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本当に早朝というのによく盛り上がっている。
そう思えるほどに会場の熱気はすごいものであった。
4人もそこそこその中の空気に溶け込んではいるが、真琴だけは少し訝しげな表情を浮かべていた。
椋も確かにおかしいとは思う。少なくとも船上で入学式とパーティーを済ますのなら時間はもう少し遅くてもいいはずだ。
時間設定に何らかの意味があるのだろう。そう考えるのが普通だと思うが、パーティーの雰囲気に流されてほとんどの人がそれを忘れているように思われる。
何か起こるかもしれないし、何も起きないかもしれない。椋も常に警戒は解いていないつもりだ。
基本的に4人同時に行動していたが、そのうち3人は注目を浴びることになる。
手首にはめられた腕輪に表示されたアルファベットで、だ。
ほかの新入生の話を聞き、彼(彼女)らの腕輪を見るとA~E、Fは存在せず、そのままGに。
このアルファベットは入試の際に受けた試験内容によって変わるとのことだった。
Aは前の学校では成績上位者、なおかつ自己申告しなければ受けられない試験である。試験内容は全国で最も難しい筆記試験、より精密に測定される実技試験、この学校唯一の面接試験の、3つの試験で構成されている。真琴が受けたのはこの試験だ。
Bも前の学校で成績上位の人が受ける、花学で2番目に難しい筆記試験、Aと同じ内容の実技試験の二つで構成されている。これは花学であまり受けられない試験らしい。
Cはある程度レベルの高い筆記試験に、Aよりはグレードの低い実技試験の二つの試験で構成されている。能力の強弱にかかわらず、学力で何とかなるから花学もっとも受験者が多いのだ。
DはCよりさらにレベルの低い筆記試験、そしてAと同じ実技試験の二つで構成されている。Cと同じ、もしくはそれより少ない。Cとは違い、能力の強弱で勝負する試験だ。故に2番目に試験者が多い。
Eはほとんどいないと言ってもいい。実際見渡す限りにEの腕輪をつけた奴を見ない。研究機関からの推薦を受けたものが、試験をパスし入学できるというものらしい。
言ってしまえば花学は研究機関の延長戦上、多くの能力者を集めより効率的に研究を進めるために、教育機関という肩書きをつかっているだけだといっても過言ではない存在だ。
他の研究機関より設備が整っている花学はそんな優秀な研究材料を欲しているのだろう。
最後はGだ。これはEに続いて少ない。これもほとんどいないといってもいいだろう。
もちろん『確認の間』の試験を合格したものだ。これは受けようと思い受けられる試験ではない。
学園側が願書に添付されたパーソナルデータを閲覧し、その中でも特異そうな能力者を選びふるいにかけるというものだったらしい。
正確な合格率は4%、なおかつそもそもの試験を受けられる人数が少ないのだ、ほとんど皆無といって言い。
ここで選ばれるのはほとんどは超が付くほどの強者のはずだ。
そんなGの腕輪をつけた人が3人並んでいるのだ。
めずらしくないわけがない。真琴も含め4人はその他大勢にもみくしゃにされ、質問攻めにあったのは言うまでもないことだった。




