帰り時々非日常
「晴れて退院!さぁて明日から学校か」
ついに輝は退院が許可された。
退院が決定し病院の外に出た気分は最高以外の言葉が見つからない。
空気が気持ちよく少しまだ刺された脇腹は痛むが時期に無くなる痛みなのであまり気にすることもなければ気に病むこともない。
久しぶりの外で足がとても軽くどこにへでも行けそうだ。
「さぁてと帰るか...」
まずは何よりも家族の元に行かないと行けないのは常識だろう。
最初は平日の朝の街とかを楽しもうかとしたが職業は学生なためそのようなことをしてしまえば補導は確定だ。
そのため輝は家に帰る選択を取らざるを得ない状態だったのだ。
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「なんか懐かしいな、この電車も」
輝がいた病院は輝の学校の最寄り駅に近いところで入院していたため帰り道はまんま学校と同じだ。
そのため1週間近く乗ってないだけで謎の懐かしさを覚える程度にはなってきた。
「なんか不思議だなこの感覚」
学生となると朝の学校の授業が始まってるであろう時間に歩き回ることは到底できない行動なのでその非日常感が非常に楽しい。
あの刺された忌々しい道も人がほとんど居ないため非日常を体験しているなと感覚で理解できるほどだ。
いつものようにICカードを改札に触れさせ改札を通り学校から家に帰る時に使う線の入口に向かった。
いつもなら大量の人でごった返すが今はほとんど居ない。
まるで貸切な気分だ。
反対車線もほとんど居ないため本当にこの駅自体が貸切じゃないんかと疑うくらい人が居ない。
(中々楽しいなこの非日常感!)
ワクワクしながら電車が到着するのを待つ。
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何度も聞いた電車のチャイム音声を聞きながらどのくらい席が空いているのか見るとそれはもう驚きの領域だ。
「うおー、ほとんど貸切じゃん」
車両内はほとんど貸切と言ってもおかしくない。
居るのはおじいちゃん、おばあちゃん、子供連れなどと割と分けられている。
その三種類しかいないおかげか席は座りたい放題、もちろん輝は端の方の席に座った。
(端の方はなんか落ち着くんだよなぁ)
そんなくだらないことを考えながら輝はスマホを見続けた。
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目的地である輝の家の最寄りについた。
最寄りの駅の周辺もどこか懐かしさを感じさせる。
たかが1週間で変わるものなんだと今日初めてこの身で理解ができた。
「にしてもやっぱここが落ち着くな」
やはり故郷であるこの街が1番落ち着く。
鳥の声、程よくある生活雑音、マダムたちの会話などこの街の特徴という特徴が今の輝には酷く染みる。
そんな懐かしさを胸に改札へ向かった。
改札口方面もほとんど人が居ないため少し非日常感がある。
だが誰もいない廊下も割と寂しい感情が産まれてくる。
そんな思いを胸に輝はそっとICカードを改札に付けた。
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久しぶりの家の前はどこか懐かしさがある。
1週間近く帰らないだけでこうも雰囲気が変わるのは少し輝としては驚きだ。
「おばさん!帰ってきたよ」
輝はいつものように扉を開けカフェ兼自身の家の中に入った。
入ると数人客が来ていたようで視線の対象は一気に輝に集まった。
「おぉおかえり輝...大丈夫かい?」
明子はいつものように定位置になりつつあるカウンター席に座って返した。
その顔は少し安心したと言っているような顔だ。
輝も明子の優しさに答えるべく
「ただいま」
そう答えた。
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「ふぅー!やっぱ部屋がいっちばん!」
輝は疲れからかすぐに部屋に行き鉛のように重い体を自身のベッドに投げるように飛び乗った。
ベッドは程よくバウンドを効かせてくれて体が程よく揺れる。
その揺れも懐かしさや安心感があり疲れた心や体に染み渡る。
「つっかれた」
先程まで輝は顔馴染みのあるお客さんに質問攻めだった。
そのせいもあって疲れは最高潮に達してきている。
だが明日からはその数倍しんどいと考えると気が遠くなってくる。
(静かに生きたいだけなのになぁ)
だが明日のことは1度忘れることにした。
家に帰ってもやることは病院では腐るほど寝ていたがまた疲れが溜まったので寝るだけだ。
(ま、明日のことは明日がどうにかしてくれるな)
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目を覚ました時にはもう既に辺りは暗くなりつつあった。
時刻を見ると6時近く。
帰ってきたのが10時なので8時間も寝てしまっていた。
少し損をした気分だが悪いとは全く思わない。
「そう考えてみたら俺病院でまともに寝れてねぇしま、明日から学校だしこんな日もいいな」
輝らしい考え方で自身を正当化させるとまた輝の意識は遠くに飛んで行った。
(明日から少し楽しみだな)
期待半分不安半分の明日が少し楽しみなのは輝だけの秘密だ。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




