相合傘時々教室
「というか結構時間経ってのに止まないな...」
「えぇそうね」
輝と美神は生徒会室から外を覗いたがまだまだ鉛の空はまだまだ雨を降らせている。
輝はスマホの天気アプリを見ていつ晴れるか見たがまだ降ると書いてあった。
よく見るとさっきの時間からさらに増えているためこの予報すら合っているのか怪しくなる。
そんな不安を募らせながら輝は止む気配のない外を見続けた。
「...ねぇ...輝?」
「なんだ?」
美神が輝の方に振り向きながら聞いた。
少し話し方が柔らかく可愛らしさが増えているのは気のせいなのか。
「...本当に折りたたみ傘すらないの?」
「まじで忘れた...というか忘れたのならここにいない」
折りたたみ傘はいつもなら持っているが今日輝は朝の用意の時に1回外に出して元のところに直すことを忘れていたため今日は傘を忘れていたのだ。
そして今日は突然の雨、対応出来るわけもなく今に至る。
だから今日ここで美神と出会ったのは奇跡なのだ。
「...輝、私一応折りたたみ傘持ってるの...良かったら私が先に家に帰って傘もって来るからそれまでここに居て欲しい」
「ということは俺に傘を貸してくれるということ?」
「そうよ」
美神が提案した案は悪くは無い。
だが輝の中には少し突っかかりがある気持ちが今ある。
「いや、それは出来ない...それだと美神が損するだけだ...貸してもらう身だから俺が行くよ...」
「いや、でも...」
「傘は外にあったやつだろ?そのくらい俺一人で取ってこっちまで戻れるよ」
輝自身このセリフはかなり気色悪いなと思いながら話した。
美神の家には何度か行った経験があるので物の配置などは粗方わかってきているのだ。
しかし美神の顔を見てみると輝が思っていたように、ありえないと目で訴えてきている。
「い、いや、普通貸してもらう身の人がそんな...」
「これは私が行くって決めたの...輝は黙って言うことを聞けば良いの...聞かないと貸さないわよ」
美神は1度やると決めたことは必ず遂行する人、そのため今回のことも決めてしまった以上中々変えてもらうことは厳しい。
こんなことを考えている間にも美神は用意をしている。
「...だから俺が行くって...疲れてるんだしここでゆっくりしとけ」
「だーかーらー!本当に融通が効かないわね、普通私が行くなんて言わないのよ、黙って言うこと聞きなさい!」
徐々に美神も輝の言動もエスカレートしてきている。
輝も美神も言動から少しづつ尖が生まれてきた。
このままだとま正面衝突はま逃れない。
何とかして誰かが良い中間案を出さない限りここで衝突が始まってしまう。
「融通が効かないのはお前だろ...」
「じゃあ!私と相合傘すればおあいこでしょ!...相合傘...!?」
絶対中間案を言うのが不可能だと思っていた美神からまさかの中間案が飛んできた。
しかしそれもまた美神が普通だと考えなさそうな内容だ。
最初の方は気づかなかったようだが言って数秒もしたら脳はきちんと理解ができている状態なため顔が超高速で真っ赤になったのだ。
「相合...傘?」
輝もあまりにも驚きのあまり声が詰まって上手く話せない。
美神はまだ顔を真っ赤にさせながらフリーズしている。
「...い、今のなし!なしだから!」
美神が輝との距離を素早く取り照れ始めた。
恥ずかしすぎる以外の原因も増えてきたのか美神は顔どころか耳すら真っ赤っかだ。
「...まぁ俺は良いけど...」
「え!?」
輝が素直に言うと美神は狐につままれたような顔で輝の方を目にも止まらぬ早さで見つめその瞳は少し血走っているような目付きで見つめ始めた。
まさかの美神も本当にこの案に乗るとは思っていなかったようだ。
しかしこの案に乗った輝も顔は赤いし未だに美神のことを直視できていない。
(本当にこいつは...)
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生徒会室から出るとまだやはり空は暗い。
雨も先程と変わらない。
下足に来たらまず美神がカバンから折りたたみ傘を開けて輝より前に歩いた。
「...マジでやるのか?」
輝は未だに体から震えが止まっていない美神に心配の声をかけた。
しかし美神はプライドのせいもありあまり負けたらえない、
「ほら来ないの輝?」
「うぐっ...わかったや」
美神がくるっと周り輝のことをじっと見つめた。
その瞳は輝のことをザーコザーコと煽っていると勘違いしてしまいそうな目だ。
美神のからかいは可愛らしいものが多いが今回は破壊力が高くきちんとイタズラも進化するのが可愛らしい。
だが直ぐに調子に乗ると美神のペースに持っていかれてしまう。
相合傘辺!
どうなる輝!?
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




