表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/178

日常時々非日常

「と、とりあえずフレンドなろう?」


「う、うん」


この気まずい沈黙を破ったのは輝だった。


輝は自身のゲームのフレンドコードをこいしにみせた。


こいしは言われるがままにそのコードを打ち込んでいる。


「じゃ、これがこいしのやつだね?」


「う、うん」


輝のフレンドの中にこいしが入った。


こうやって女性と面と向かってフレンドになるのは初めてかつ何か奇妙な嬉しさがある。


「うへへ、初めてのフレンドだぁ」


こいしがスマホの画面を見ながらにやにやしている。


反応的にも多分生まれて初めてのフレンドが輝なのは予想がつく。


だが突如こいしが後ろを見て輝が居るのを確認すると


「ふぃあ!ご、ごごめんなさい、見苦しいものを見せてしまって・・・嫌なら即フレンド切っても良いですよ」


こいしが震えた目でそう言ってきた。


理由はきっとさっきのフレンド欄を見ながらにやにやさていたのが原因なのは誰でもつく。


だが輝は


「大丈夫、にしても本当にデータ強いね、これだと沢山手伝ってもらうかも・・・」


「え、べ別にそのようなことは大丈夫ですが・・・」


輝はこいしの性格はだいたい把握してきた。


学年2位の成績を持ち美神と並ぶくらい顔立ちが整っている彼女だが実を見れば陰キャの帝王でありさらに輝と肩を並べるほどのオタクでありとてもシャイな性格なのだ。


輝はその性格を見抜きそしてその対策までもわかってきた。


「まぁ生徒会の件は適当に考えてて、俺こう見えても正式な生徒会の一員じゃないんだ・・・まぁ自分からそれを望んだのだけどね・・・」


「え、なぜです?」


もちろんこいしは疑問に持ったのだろう、なぜと言わんばかりな顔で聞いてきた。


輝もそう来るのはなんとなくだが予測がついていたため返しも考えてある。


「俺、肩書きが重いのは苦手なのよ・・・今は1人の人の監視の名目の元働いてる・・・まぁそんなのどうでもいいよ」


ここからは話が長くなりそうな気がした輝はすぐにこの話を切り上げた。


だいぶ無理やりな切り上げ方だがあまりこいしも深追いする素振りは無いため少し輝の中には安心が生まれた。


「とにかく、生徒会のことも大事だけど、オタク仲間として仲良くしていこー」


「ふぇー!い、良いのですか?」


驚愕がこいしの顔に張り付いている。


今まで友達ができたことないのかこいしはフリーズしている。


数秒経ったぐらいにやっと正気に戻ったこいしは


「は!・・・すみません・・・私なんかで良ければ・・・」


「よろしく!じゃあまた明日」


そう言い残すと輝は下足を去っていった。


しかしこいしは足が動かない。


動けないと言うより目が集中しすぎて足に意識が持っていけてないというのが正しいだろう。


輝の後ろ姿がずっと目から離れない。


早く帰りたいのに足ではなく目しか動けない。


(なんで足より目が動くの・・・)


輝の後ろ姿が太陽の陽射しに邪魔され消えるまでずっとその視線が外せなかったのがこいしにとっては不思議でしかない出来事だった。


「彼は・・・橘君は・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


次の日。


また何も変わらぬ日常がやってきた。


それは輝達にとってであってこいしにとっては昨日の放課後からずっと非日常な気分だ。


こいしは非日常になりつつある現実を日常に戻すべくいつものようにスマホゲームを始めた。


いつも人が居ない教室で1人でのゲームがこいしのお気に入りの時間だ。


しかし今日はその時間すらも非日常に変わろうとしている。


「こいしー、ゲームしよ」


「ふぇ!い、いきなりはビビりますよ!」


こいしが教室でゲームしていると後ろから突然輝に話された。


この教室はまだ朝なので人が居ない。


そのため輝も何も気にせず入れたのだろう。


こいしは昨日輝がフレンドになったゲームをやっている。


「お、このステージ難しいよね・・・そうだ・・・俺のキャラ使ってみたら?適正のキャラをフレンド使用キャラにしてあげるから・・・っと」


輝がスマホを話しながらポチポチといじっている。


言い終わるとこいしはもう1回更新してしてみた。


更新してみると輝の言った通り適正キャラに変わっていた。


ここまで尽くしてくれる輝に少し怪しさすら覚えるが


「ありがとう・・・本当に・・・ありがとう」


「いえいえ、俺もこのキャラが居なかったらこのステージ無理だったし・・・」


輝は気にすんなと言わんばかりな顔で笑って返してくれた。


こいしはそのキャラをチームに加えもう1回チャレンジしてみた。


だが今回は今までが嘘みたいに簡単だ。


さっきまでの難易度がサンズなら今はマリオのクリボーを倒すような感じだ。


みるみるうちにステージが攻略されていく、そして。


「やったー!クリアー!」


「良かったなぁ!」


いえーいと2人でハイタッチをしてこの勝利を分かちあった。


だがさっきまでは興奮で人と接せれたがシラフになると


「すすすすすすすみません、汚い手で・・・ごめんなさい」


「いや、いいよこうやってゲームするの夢なんだ・・・ありがとう夢叶わせてくれて、やる人妹しかいなくてね」


輝の優しい微笑みがさっきまでの不安分子を弾圧してくれる。


何も気にしていないのが顔からわかる。


やっぱり輝は・・・


その優しさが罠なのかそれとも純粋なものなのか。


分からない、でもその事すら疑うこいし自身が自分で嫌になってきた。


(信じれば良いのかな?私)


日常は非日常に変わる。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)


ちなみに輝がなぜ今日朝早く来れたのかと言うと輝もこいしとオタク仲間として友達になった喜びがあったせいか中々寝付けず結局朝まで起きてしまったのが原因です。


輝は何も変わっていないので安心してください。


あいつはフリーダムですから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ