新メンバー?時々キョドり
「すみません、この教室に片原こいし(かたはらこいし)はいますか?」
輝が教室全体を見回した。
教室には人が結構いたが誰がお目当てのこいしかは分からない。
だが確かに教室の雰囲気は輝が来て話し出すと変わり始めた。
教室はざわめき出したが肝心なこいしが見つからない。
輝は留守かなと思い教室を後にしようと思った時
「あ、あの」
「うん?あー、君が片原こいしか俺は橘輝、よろしくね」
輝はこの話の流れ的にもこの人がお目当ての人物である片原こいしだと理解した。
眼鏡をかけて長くもなければ短くもない合理的な髪型で体に若干だが凹凸がある。
風の噂で聞いた通り美神に負けず劣らずの顔立ちが整っており輝はその顔に少し目が離せない。
しかしこいしはどこかずっと怖がっているのか体に力が入っている感じがする。
「少し話があって・・・」
「ああああああ、あの・・・おおお怒らないで」
「怒ってないのだが・・・」
こいしが目をウルウルさせてビビり始めた。
その時輝はこいしがどんな人物なのかあらかた予想が着いてきた。
「生徒会に入らないか?」
「せせせせせせ。生徒会!?」
こいしが目を見開き驚いた。
確かにいきなり言われたら誰だってビビるだろう。
だが輝はまだ現実を理解しきっていないこいしを無視し話を続ける。
「今、こいしの力が必要なんだ・・・お願いします!力を・・・」
「ゴゴゴゴごめんなさい!」
そう言うとこいしは高速でどこかへ走り出した。
そのスピードが速くそして一瞬だったせいか輝はただここで立ち尽くすことしか出来ない。
「・・・あー、こりゃ骨が折れる・・・」
輝は勧誘の難しさを初めて理解したかもしれない。
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「美神・・・失敗した・・・」
「何やってるのだか・・・」
輝と美神は教室で戦後報告をしていた。
輝はきちんと失敗したことを言い、聞くと美神の顔はどんどん呆れを含んできた。
「でも絶対この一週間で説得するから!」
「もし無理なら嫌でも入れるわよ・・・」
美神は真顔でそんなことを言ってきた。
もちろん輝は嫌に決まっている。
「嫌だよ・・・というか真顔で言うのやめて怖いよ」
何よりも真顔で言うところが輝の中では恐怖の対象になってしまう。
そんなことを思いながら輝は時計を見つめた。
(確かにこれはやばいかもしれない・・・きちんと計画を練って行くか)
初めて輝は計画を練ることを行った。
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「ふうー、今日は疲れた」
こいしは今日一日を終えた喜びが声から漏れていた。
下足にはほとんど人は居なく静かなのがこいしの疲れ切った心を癒してくれている。
家に帰ったら何をしよう、そんなことを思いながらひとりで靴を用意している。
「・・・こいし・・・」
「ふぇー!」
突如後ろから声をかけられた。
こいしは普段こういうことが全くないので驚きしかない。
少しマシになったのか落ち着いて声の主の方をむくとそこには
「きょ、今日会った生徒会の!」
「まぁーうん、厳密に言うと少し違うが・・・」
後ろに居たのは輝だった。
また勧誘だろう。
そう思うと憂鬱だ。
「あああああああの、わ、私入るつもりは・・・」
「いや怖がらなくても・・・あれ?そのスマホの壁紙・・・」
こいしは怖さのせいかスマホを持ちながら手を挙げて敗北を示した。
その時なにかの不意でスマホに電源が着いてしまった。
それがこいしの学校生活を帰る出来事の初めのページに乗るとはこの時は誰も知る由もない。
「・・・そのゲーム俺大好きなだ・・・ほらなんならやってるし!」
「ふぇ、橘君もやってるの?」
輝は自身のスマホを開け壁紙のゲームを開けだした。
レベルやその他もろもろを見るとかなりやりこんでいるのが目でわかる。
「わ、私も・・・」
こいしも自身のスマホを開けそのゲームを見せた。
こいしも輝に負けず劣らずのやり込み具合だ。
輝はこいしのデータを見ると神妙な面持ちで見つめ出した。
「・・・だいぶやりこんでるな・・・」
「橘君こそ・・・並の人間ではきついことをやりまくってるね・・・」
この時お互いに奇妙な友情が芽生えたのは言うまでもない。
だがこの微妙な空気が絶妙に気まずい。
((これから何を話そう・・・))
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




