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優しさ時々強さ

「マシになったか?」


「えぇおかげさまで・・・見苦しいところを・・・」


この時の美神は何とか平然を保っていたが内心は


(恥ずかしい・・・あんなところで泣くなんて・・・私どうかしちゃったのかしら)


涙もろくなった自分に恥ずかしさを覚えていた。


だが輝は優しく何も言わない。


顔でバレているのかと疑いたくなる。


「・・・なんで話さないの」


つい聞いてしまった、なかなか口を開けない輝に少しだけ聞いてみたが輝は変な様子もなく


「いや、美神がまだ立て直せていないからと顔からわかったから待ってたんだ」


「本当に・・・敵わないわ・・・そこだけは」


ついに美神は自身の敗北をこの身で認め初めて勝者に伝えるということをした。


だがきっと前なら地団駄を踏んで悔しがっていたものの今回は違う。


特別悔しいという気持ちがない、なんなら精々した気分だ。


「やったー、勝ったー」


「なんかその反応腹立つわ・・・やっぱ前言撤回しとく」


「え・・・すまんすまん」


(こんなことできるのって考えてみたら・・・輝だけだわ)


なにか輝には他の人と違う何かを感じる。


だが感じると顔が一気に赤くなってきた。


赤くなるや否や顔を俯かせて恥を隠した。


(やっぱり・・・輝って何か違う)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「じゃ、本題に入るか」


やっと入れた本題だ。


茜をどうするか、ここで決めなくちゃいけない。


「一応沙也希が茜を保護しているんだ・・・それは美神も知ってるだろ?」


「えぇ」


フードコートで沙也希と一緒に食べていた件を話した。


もちろん2人とも一緒にいて一緒に見たので知らないわけが無い。


「で一応沙也希からその件も認めてくれたんだ・・・でもひとつ奇妙なことがあるんだ」


「奇妙なことって?」


「名前が違うんだ・・・氷川茜ではなく・・・北条マヤ、それが沙也希に言われた名前だ」


お泊まりの時沙也希が告白した内容だ。


この件を聞くと美神は神妙な面持ちで悩み始めた。


このことが悩みの種として輝も悩んでいる事実なのだ。


「だから1度・・・アポを取って2人で会いに行かないか?」


「北条マヤって子に?」


「あぁ」


輝は1度手を組みリラックスした体勢で聞いた。


多分こうなるのはわかっていたことだ、だがこのことが断られてしまうと捜査がより難しくなる。


だいぶ賭けになるが成功すれば短期間でこの件も終了となる。


だいぶハイリスクハイリターンなショートカットコースなのが今現状としての状態だ。


だが美神は1度コーヒーを勢いよく飲み


「・・・とりあえず今はそれしかないわね・・・でもどうするかよ」


「とりあえず俺がアポを良い感じにとる・・・沙也希は美神とマヤって子が何かしら関係があるってことは知らないからな、多分了承してくれるだろう」


そうすると輝はスマホを取りだしなにやらメッセージを書き始めた。


メッセージが打ち終わると輝はスマホを消し美神の方を見た。


「一応送ったけど返事がどうなるかよなぁ・・・」


「・・・そうよね・・・」


2人とも声から自信が消えかかってきている。


自然と心も沈降してくような悪い空気になりつつある。


「・・・輝・・・なんでこれだけしてくれるの?」


美神は俯いていた顔を上げ輝に真剣な眼差しで聞いてみた。


前から気になっていたことだ。


いつも美神関係のことにも全力で尽くしてくれる、それが気になっていたのだ。


「・・・なんでだろうな・・・多分俺がやりたいからやってるだけなんだがな・・・友達だろ・・・俺達は」


輝は堂々とした様子でそう答えた。


実際輝はこれ以外の気持ちは無い。


あの時美神に誓った青春を変えるという宣言を遂行しているに過ぎないことだ。


「・・・それだけのために・・・」


「あぁ・・・小さいけどそれだけのためだ・・・まぁ降って出た幸運だとでも思うんだな」


輝はそう言うとコーヒーを飲み干した。


美神はその堂々さ、男らしさに何も口が出ない。


(やっぱりどれだけ私が転生しても多分この手の勝負は絶対に勝てないわ・・・)


合理性を求め続けたが故にこの戦いは永遠に勝てることは無い、そう思うしか無かった。


「・・・とりあえず会計でもするか、飲み干しただろ・・・」


「え、えぇ」


輝は突然カバンを持ち立ち上がった。


そして突然の会計コール。


もちろん美神は驚いた、いや驚くことしか出来なかったの方が間違えていない。


ただでさえ前のセリフが頭の中で処理できていない状態なのが原因だ。


だが何よりも驚いたのはあれだけのことを言っておいて何も様子が変わらない輝に驚きしか湧いてこない。


(やっぱりなにか違う・・・輝は)

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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