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アスレチック時々苦戦

とてつもなく滑って前に進めない第3コース。


輝ができていない時点で美神の中には既に敗戦ムードが漂いつつある。


しかし進まなくてはいけない。


「私が・・・私が行ってみるわ」


ついに美神は言った。


その時の輝は驚きしかない。


「・・・子供の成長見守る親ってこんな気分なんだな」


「っー!?私をバカにしないで!」


美神は自分を子供扱いされたことでキレた。


「そんな様子も良いなぁ」と輝は呑気に頷いている。


「とりあえず見ておきなさい!」


バカにされたぶん美神はやる気が増えてきた。


美神の性格と輝の言葉が奇跡的なやる気を産んだのだ。


1歩1歩、ビニール製の丸太に近づいていく。


(近づくと・・・少し怖いわ・・・でもここで引き返せない!)


輝が転げたのも無理は無い。


美神から見てもこの丸太は明らかに転げやすいのが分かる。


生唾を飲み込み美神はついに足を前にあげた。


「いっけぇー!」


美神はそう叫ぶと丸太に片足が着いた。


だが予想以上に足場はツルツルだ。


いつ転げても無理は無い。


(このままじゃ!ここなら!)


転げると覚悟した時美神は丸太が着いている壁を手すりにし何とか耐え抜いた。


「はぁはぁはぁ」


しかしこの体勢も長くは続きにくそうだ。


足が予想外に疲れてくるためもう美神の足は限界に近い。


だがまだコツが上手く掴めていないため下手に動けない。


(どうするどうするどうする、このままだと落ちるし・・・でもこのままだと足がしんどい・・・)


しかしこの考える時間も無駄となってきた。


(・・・この時間も無駄なのなら・・・もういっその事)


美神は何かが吹っ切れた。


「うぉーー!」


さっきまでの慎重な動きはどこかへ行ったかのような大胆な動きに変わった。


丸太に着いている足を踏ん張り体をマルタの高さまで持っていきその後ホップステップジャンプのリズムで丸太ゾーンを軽々しくそして荒々しくクリアし切ったのだ。


最後の丸太をジャンプで飛び越え大きな足場に倒れるような形で入り込み第3コースにピリオドをうった。


ここまでの流れを見た輝はさっきまでの親の感情はどこか遠くへ流れ新しく生まれた感情、驚きだ。


「……すごいな……というかあのスピード感は何者なんだ」



ただただ目を点にしながら見ることしか出来なかった。


改めて美神の本気というのを骨の髄から理解出来た思い出となった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「こんなことしてる場合では無いな」


美神がもう次の足場で待ちぼうけをくらうのは可哀想なので輝も本気になった。


「……うぉぉわ!」


やはり足場がかなり滑る。


そのせいか一段登りきるのにかなり時間がかかる。


「……無理では無いか……」


輝は既に諦めムードが生まれてきたが美神がクリアした経験があるのを糧にその負のムードを自ら断ち切った。


何度も何度も転んでは立ち上がり転んでは立ち上がり。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何回挑戦したのかは輝自身わからない。


我武者羅にはやってはいるもののコツやポイントは見つけてきた。


(なんとなくだがわかってきたぞ……これでラストにしてやる!)


ついにこの丸太ゾーンをクリアする感覚を考え抜いたのだ。


「助走をつけて……手を広げ……よし!」


最終確認を行い丸太ゾーンから少し距離を離れ輝は少し離れた位置から走り出した。


スピードは自分のタイミングが掴めるスピード感。


(最初を乗り越えればあとは簡単だ!やってやる!)


全てを覚悟し輝は落ちるスレスレでジャンプをした。


(あとは丸太に足が着くようにっと!)


丸太に足が着くとその瞬間に壁を手すりとし持つ。


そしてこの後は平坦な丸太ジャンプだ。


(……うぐ……かなり苦手なゾーンだな……)


さっきまでは丸太が前上りに進んでいたためジャンプなどを駆使し楽に進めたものの今回はその小細工が通用しない。


それだけでもキツイがキツイだけでは終わらない。


希望があったのだ。


(残り2つ飛び越えれば!)


残っている丸太は2本。


このゾーンさえ飛び越えれば輝もクリアとなる。


しかしいまいちどのタイミングで出るか掴めない。


(……どうする……大縄跳びのタイミング待ちで出にくくなった時の気分みたいだな)


なかなかタイミングというタイミングが現れない。


だがタイミングを待つ時間もそろそろ少なくなってきたようだ。


(……腕が疲れてきた……ヤバっ!足もやばい)


着実とこの足場も安定とは言い難い状態に変貌しつつある。


そのため残された時間は短いようだ。


「……こうなりゃ……当たって砕けろだな!」


輝はついに覚悟を決めた。


覚悟を決め足を踏ん張り飛んだ。


(だが飛んだのはいいものの足場に着くよりも先に手すりからか)


丸太が先に足に着けば確実に落ちる。


そのため手すりから足の順番が必要だ。


「ぅぉぉりゃァ!」


輝は声を荒げ壁に手をつけた。


だが足が着いた途端とてつもない不安定さが輝を襲う。


(うぉー!こりゃやばいー!)


明らかに安定などしているわけが無いくらいグラグラしている。


このままだと後ろに落ちる。


(もうこうなりゃ賭けだ!)


輝は体を前に向くよう力を加えこんだ。


これが意味することはより不安定な現実を作り出すことだ。


しかし輝はこれを狙っていた。


「ここで踏ん張れ!」


不安定に前に出たことにより届くか怪しいジャンプになった。


だが運良く丸太と丸太の間が狭いこと、腕が最初に持って来れそう事。


このふたつが重なり……


「はぁー!……はい!」


ついに輝は最後の丸太で自立ができたのだ!


(さぁこれで終わりだな……)


さっきまで強ばっていた顔は自然と緩みを作ってきた。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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