恐怖時々アスレチック
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軽い休憩がてら2人は近くのベンチで座った。
ベンチに座ると不思議なことにさっきまでの疲れが取れ、静かな気分でプールを見つめれることが出来る。
凪の時間だ。
「……疲れが取れるねぇ……なぁ美神」
輝はベンチに背をかけ完全な脱力状態になった。
「体力本当にないわね……」
美神の呆れた目や声が輝の心に突き刺さるものだ。
美神はまだまだ体力が有り余っているらしく今でも体がうずうずしているような仕草が時折見える。
「楽しいか……美神」
「えぇもちろんよ」
輝の質問に美神は自信満々かつ喜びが感じられる声でそう答えた。
輝は少し眠気が湧いてきた。
沢山動き気持ち良い太陽の日差しを受け輝の意識は徐々に消えていきそうになる。
(あぁ……また意識が消えそうに……)
「輝……何ひとりで逃げようとしているのかしら……今日は思う存分付き合ってもらうよ!」
かなり荒々しい言い方で美神は輝に呟いた。
輝は体が思いっきり前のめりに飛んでいきそうになる衝撃を抑えこみ美神の方を向いた。
美神はやっと見てくれたと言わんばかりの顔だ。
輝はさっきの美神の言葉が何故か頭の中で反響する。
(何故だ……思う存分付き合ってもらうよ……のところかーー!)
美神の無意識デレがここでも出てしまっていたのだ。
そのことを理解するのに少しだけ時間がかかったが何とか輝は理解出来た。
しかし理解してしまうと顔が自然と赤くなる。
「……何赤くしているの輝……?」
美神が輝の顔をのぞき込むように聞いてきた。
表情や言動的にも美神は本当に何も分かっていない様子だ。
疑問符があるかのように頭を傾げ輝を見つめた。
だが見られると尚更恥ずかしくなる。
輝は顔を隠しながら照れ隠しするしかできなかったのは言うまでもない。
(……美神……天然タラシめ!)
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輝は眠い目を擦りながら美神のプール探索の続きに参加した(強制)。
美神の好奇心は止むことを知らず何でも目を輝かせながらプールを見ている。
そしてついに園内を全部見回すことが出来た。
園内はそこそこ広いためかなり苦労したのは言うまでもない。
だが美神が今まで見た事のない様子でいたのは収穫点だ。
「じゃあまず最初はアスレチックから行きましょう!」
「おう!」
美神は輝の腕を引っ張り急いでアスレチックの所へ足を向かわせた。
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水上アスレチック。
ゴム製の柔らか素材なため安全面も良し、そしてここのアスレチックは広いためウォータースライダーに次ぐ人気アトラクションだ。
輝ももちろんこのアトラクションは楽しみだった。
「いやぁ入ってみるとそのデカさが身に染みるねぇ……どうだ美神?」
輝は大きなアスレチック内にいる興奮のせいか少し声がワクワクしている。
だが美神はさっきの興奮に満ちた様子から一変、足を子鹿のように震わせビクビクとこわがっている。
「……大丈夫かー……いや大丈夫じゃなさそうだな……」
「……だ、だ、大丈夫よ!輝に心配してもらうなんて……恥ずかしいわ」
美神はこういう時でも自分を見失わない。
ずっと一貫してこの性格なのでむしろ安心感すら感じてきた。
だがそんな強気な言動とは裏腹に体は正直だ。
ずっとさっきから震えている。
なれない足場のせいか、今にも、転げてしまいそうな床だかろうか。
答えは美神のみがしる。
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「美神……そろそろ前に進むか・・・」
「そ、そうね!」
輝がそろそろ前に出ることを通告すると美神は自信ありげな顔で返答した。
しかし足は未だに震えている。
「じゃあまず1歩目……」
「……」
美神は足を1歩前に出した。
しかし足が固まったせいかそれとも意識を失ったのか美神は先程からずっと片足立ちで止まっている。
(……あ、これダメなやつだ)
輝はこの時美神に対して軽い絶望感を抱いていた。
きっと終わるのに時間がかかると。
「あ、あ、あ……ひ・・・輝」
「……美神……」
恐怖のせいか身も心も震えている。
恐怖のアスレチック編スタート。
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