連れ帰り時々デレ!
輝は美神の家までついて行くために電車に乗った。
本当なら浩史も乗るはずだが少しの時間を輝の家であるカフェで過ごすと言ったので結局2人きりで帰ることになった。
「来てくれてありがとな美神・・・楽しめたか」
輝は不安だった。
半ば強引に入れられたこのお泊まり会のことに不満を持っていないか輝は不安で仕方なかったのだ。
「ええ、とても良い経験だったわ・・」
美神は輝が恐れていたことなど全く気にしていなかった。
「・・・輝の家・・・また泊まりたい」
小声だが確かに聞こえた。
美神特有の小声でのデレだ。
本人は気づいていないと思った顔をしているが輝は平常心を保つのに必死になる。
「どうしたの輝?」
「あ、あぁ少し眠たくてな」
「ちゃんと寝なさいよね」
美神の顔を見ると本気で心配している顔だ。
輝が顔を美神から背けたのはもうひとつきちんとした理由がある、顔のニヤケをばらさないための避けだ。
唇を思いっきり噛み何とか耐えていたのでこのデレは猛烈に危険だから背けたのだ。
「昨日は中々楽しくて寝れなくてね・・・そっちも目の隈やばいぞ」
「は!・・・うぅ忘れてた」
美神は顔を急に赤くして顔を隠しだした。
反応的にも隠したかったのだが忘れていたらしい。
「ほら顔隠すなよ・・・もう電車も来るし・・・」
「・・・あんたに指図されるほどヤワじゃないわ!」
そう言い高速で電車の中に入ろうとした。
「うわぁ!」
「危な!」
美神は少しの隙間で転けそうになったが輝が美神の肩を咄嗟に引いたおかげで何とか無事になった。
「・・・はぁーーーー!」
美神の顔がプシューと音を立てるくらい早く赤く染まった。
(この一日で何回照れてるんだよこいつ)
輝は美神の照れの量が多すぎて少し胃もたれ気味だ。
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電車はあまり人がいなかったおかげで無事席に座れた。
荷物的にも人が多すぎると面倒になるのは目に見えていたので運がとても良い。
「輝・・・ごめんなさい・・・何度も恥ずかしなりを」
美神は俯きながらそう言った。
声からわかるくらいしょげている。
「大丈夫だよ、それよりも青春の1ページができたことを喜んだら?」
「そ、それもそうね」
さっきまでしゅんとしていた顔から笑みが浮かんだ。
その顔を見て輝も少し安心できた。
「ねぇ輝・・・」
「なんだ美神?」
美神は不安半分笑顔半分の顔で輝に聞いてきた。
中々見ない顔なので少し見惚れてしまうがバレたら何言われるか分からないため下手なことは出来ない。
「なんだ?やりたいことか?」
「えぇ・・・夏休み、また誘ってください」
輝はもう少し大きなことだと思っていたが存外小さなことなので少し唖然とした。
しかしこの行動がかえって美神を心配にへと陥れたる。
「そんなこといつでもOKさ・・・友達だからさ」
「・・・ありがとう」
美神は輝の輝きに満ちた顔で光り輝くことを言い放ったので遂そちらへ意識を持っていかれた。
しかしなんとかの思い出耐え抜いた。
「・・・別にこの夏休みも誘ってくれたら行くけどなぁ・・・」
「私は今のところ用事ないので期待しないでください」
思いのほか美神が大胆に言い切るのはびっくりだ。
だが輝としてもあまり用事がないため会話に少し間ができて気まずい時間が流れ始めてきた。
「用事がないのなら・・・多分俺たち夏祭りかなり行くほうだから良かったら呼ぶよ・・・まぁ多分要が呼びそうだが」
「ふふふ・・ありがとう輝・・・楽しみにしているわね」
美神はワクワクしたような顔だ。
祭りの話以降どこか落ち着かないソワソワした様子が美神から感じられるのできっと美神は祭りを経験したことの無いことだ。
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遂に美神の家の最寄り駅に着いた輝は美神の家の方まで向かった。
いつもなら制服を着て通る道だが私服で通ると心做しかワクワクしてくる。
「・・・じゃあこの辺りでいっかあ」
輝は美神の家の前辺りに止まった。
夏休みなので一通りも少なく少し不思議な感覚がある。
そんな思いを胸に輝は帰ろうとすると
「輝・・・」
突如後ろから呼び止められてしまった。
声のした方を向くと美神が輝の服の橋を掴んでいた。
この時輝は美神となんやかんや長い付き合いになるので何か言うのは目に見えていた。
「また・・・呼んでね・・・私のことを」
美神の顔は少し不安のある顔だ。
やはり呼んで貰えないと思うのが顔にそして行動に出てしまった。
輝は美神の頭を優しく撫で
「安心してくれ・・・美神のこと忘れないから」
そう言い残し輝は美神の元を去った。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・`)




