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深夜時々終わり

「俺と美神は……」


沙也希と浩史は目をガンギマらせて輝を見つめている。


「俺と美神は・・・友達同士・・・俺は美神の夢を手伝ういわば助手的な人な関係さ」


「・・・嘘だろ?」


浩史の嘘だと言ってくれと言わんばかりの目で輝を見つめている。


沙也希は呆れのせいか頭を抱えている。


「嘘と言われても本当だしなぁ・・・あいつは・・・今までの人生をつまんなく生きてきた・・・だから変えてやりたいんだ・・・そのためにあいつの青春を作りたい・・・それが俺の願いだ」


「・・・輝」


浩史の顔は涙が目尻にたくさん浮かび上がっているのが見えた。


「お前はなんてイケメンなやつなんだー!」


「ちょい!浩史抱きつくな!暑いだろ」


浩史は泣きながら輝に抱きついた。


浩史はとても単純なヤツなためこの手の話にめっぽう弱い。


だが抱きつかれると輝はとても暑い思いをしなくちゃいけないので早く離して貰えるよう動き回るが中々取れない。


「・・・輝・・・成長したな」


「・・・沙也希・・・早くこいつを離してくれ」


沙也希は真面目な顔でそう答えたが輝は何よりも浩史が暑すぎてそれどころじゃなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何とか浩史の興奮が収まり3人は適当な配置で座ったり寝転がったりした体勢でいる。


輝はまだゲームをしている。


「なぁ沙也希・・・」


「なんだ?」


沙也希は輝の部屋にある漫画を取り出し読んでいた。


浩史は「オールするぞー!」とか言いながら結局寝てしまっているため今は2人しか意識がない。


「良かったらさ、美神と仲良くしてやって欲しいんだ」


「・・・浩史には聞かないのか?」


沙也希は少し間を開けて話した。


何か考えていたような感じがする。


「いや、浩史は大丈夫だ、あいつは誰とでも行ける」


「そういう事ね・・・」


何やら沙也希は理解したような素振りを見せた。


輝もそれに気づく事が出来た。


「大丈夫だよ、美神さんは優しい・・・あの人のせいで俺は女子全員が怖かった・・・でもあの人は信じられるよ」


「ありがとう・・・そしてゴメンな」


沙也希は女性恐怖が大きい。


だから本当はこのお泊まりも苦痛なのではと輝は思っていた。


しかし実際はずっと引きづられていた過去を沙也希は自身の手で超えたのだ。


そのため輝は感謝半分申し訳なさ半分の答えになってしまった。


「だからもう、心配しなくて良いよ・・・輝、ありがとう・・・俺に成長する機会をくれて」


「こちらこそだよ・・・沙也希」


沙也希は強くなっていた。


輝が思うより大きく。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


朝4時あたり。


輝は何故か目を覚ましてしまった。


お泊まりの楽しみのせいかは分からない。


だが猛烈に喉が渇いている。


「・・・少し動くか」


そうつぶやくと輝は自身の部屋を出てリビングに向かった。


若干眠気もあり足がおぼつかない動きをする。


「あれ?美神?」


リビングに行くと美神が一人でいた。


1人でコップを持ちながら立っている。


「輝?どうしたの?」


「いや喉が渇いてな・・・その様子だとお前も・・・」


「えぇ・・・私も喉が渇いていたの」


どこか美神の様子がおかしい。


少し焦っている表情が見えている。


(あ、ふーん)


輝は何かを察するとあることを言った。


「美神・・・お菓子の袋を入れるゴミ箱はあっちでは無いぞ、こっち側のゴミ箱だ」


「!?」


美神の口から声にならない声が漏れた。


何かを抑え込むような声だ。


少し美神の様子がやばいので輝も焦りで思考が早くなる。


「誰だって深夜にお菓子は食いたくなるし食べるよ!」


急いででてしまったのはこの言い分だ。


だがこの言い分は美神にとって何よりの屈辱なのを輝は思い出しさらに焦ってきた。


(やばい・・・この手の助け舟は美神の地雷だったー!)


「ふふふ・・・ありがとう・・・」


美神が笑顔で微笑んだ。


その顔で輝の顔もポツンと止まる感覚を得た。


「・・・!?やっぱり今のなし!・・・見ないでよ!」


「え、少し理不尽!」


美神の顔が急に赤くなるとさっきまでの言い分の真逆のことを言い出した。


顔的に恥ずかしさが強いんだろう。


「・・・こんな恥ずかしいなりを見せられないよ〜君に」


「・・・あぁーすまん!」


急な美神のデレで輝は視線を自然と違う方に向き謝った。


だが顔を美神の方に向けると何か腑に落ちないような顔をしている。


(やっぱり女の子って分からない!)


輝は女心の難しさをここでさらに学んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


遂に皆が起きお泊まりも本当に終わりを迎えた。


「いやぁ楽しかったね!昨日は」


「本当よ本当に」


要と渚はご飯を食べながら昨日の女子会の会話で花を咲かせている。


それと対極に男組は寝てしまった後悔で顔が死んでいる。


「にしても美神さん・・・可愛かったわぁ〜」


「ミリヤさん!?」


ミリヤのからかいにまた美神がつられている。


その様子にミリヤは顔を可愛らしく笑みを浮かべた。


「ミリヤ、あまり美神をからかうなよ」


「はぁい〜」


ミリヤはちゃんと答えたが輝的にはまだ不安しかない。


(大丈夫かなぁ?)


「輝に心配されるほどヤワじゃないわ」


急な美神の強気で若干驚きがあるがどう見てもあの感じは誰でも心配する。


(いやあの対応だと心配するだろぉ!)


「そ、そうか」


あまり美神の闘争心に火をつけても良い事はないのでここは素直に負けを認めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


遂に要やミリヤ、沙也希に浩史、美神が荷物を抱え輝の家から出ていった。


「ありがとうね輝になぎっち」


「ありがとうねまた来てね!」


要は別れを惜しんでいるがどの道すぐ会えるだろとツッコんだ。


「夢がないなぁ輝は・・・ここは雰囲気でやるんだよ!」


「そんなこと言われても・・・」


要の独自展開論はいつまで経っても理解ができない。


要のドヤ顔が少し輝をイラつかせた。


「まぁどの道俺らはまた輝と遊ぶからまた今度〜とかでいいよね?」


「沙也希!お前そんなに予定を入れてくれるのか!」


沙也希は普通にそう言ったが沙也希と対極に浩史はものすごく喜んでいる。


「まぁそうだな・・・じゃあまた今度な」


そう言うと浩史と沙也希は家から「バイバイ。そしてありがとう」と言い残し去っていった。


「じゃあ私たちも去るとしますか」


要は沙也希達を見て言った。


時間的にももうすぐ帰らないと店がオープンしてしまう。


「そうだな・・・じゃあまた・・・」


輝は家の中に入ろうとしたが美神たちの視線がとても痛いことに気づいた。


後ろを振り向くと少し寂しそうな顔を美神はしていた。


(その顔はズルいってー!)


「・・・少し美神が不安だから渚・・・家を任せた」


「ふふふお兄ならそう言うと思っていたよ」


渚はこのことを読んでいたかの反応をした。


輝はこの反応で顔を真っ赤にして拒否をしたが渚はふむふむと笑いながら頷いている。


「・・・輝・・・そんな心配は・・・」


「これは俺のやりたいことだからいいよ・・・貸しもなし」


そう言うと少しだけ美神の顔が喜んだように見えた。


(素直に認めたから可愛いんだけどなぁ)

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・`)

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