ゲーム時々タイマン
辺りは暗くなりもう時間的にも夜中に近づいてきた。
いつもなら静かな橘家であるが今日はとても賑やかだ。
輝達は明子の許可を貰いカフェ全体を借りた。
「なぁ輝、この配線繋げばいけるのか?」
「あぁ多分いけるはずだ」
浩史は輝の指示に従い配線を繋げた。
配線はゲーム機とカフェにある大型モニターに繋がっている。
「じゃああとはリモコンを押すと……」
輝はそう言いリモコンを押した。
すると目の前の大きなモニターにゲーム機の画面が投影された。
「っしゃ!できた」
「ならさ輝……始めるぜ……ゲーム大会を!」
そう言うと浩史と近くで座っていた沙也希はコントローラーをカバンから取りだした。
コントローラーはもちろんこのゲーム機で扱えるものだ。
「渚ー、やるよな?」
「そりゃね!お兄をボコボコにするのは大好きよ」
そう言うとカウンター席で座っていた渚は立ち上がりモニターの近くの席に座るところを変えた。
沙也希が渚にコントローラーを渡し渚はじっとモニターを見つめている。
「美神とか要とかもやらないか?」
「面白くなってきたね」
要はノリノリで渚の後ろの席まで向かってきた。
美神はまだ何が何だかわかっていない状態だ。
顔から全てわかる。
「え、これって?」
「あぁ……一応ゲームだ……やるか?操作なら俺でも教えれるし」
「……まぁ見るだけなら」
そう言うと美神も要の近くまで歩き出した。
「じゃあまず輝と渚だね……レディー!ファイッ!」
沙也希が始まりの合図をするとゲームは始まった。
ゲームはス〇ブラみたいな格闘ゲームだ。
「さぁ渚……俺の真骨頂見せつけてやる!」
「ふふふ、私に1度も勝ったことの無い雑魚に勝てるのかね」
渚の魔王のような話し方で言った。
事実輝は渚にはこのゲームでは勝てない。
このゲームは渚の独断場である。
基本どのゲームもある程度やっていたのでそういう今までの勘を使えば簡単に倒せるかと思っていたが渚の隠れた才能が覚醒してしまい未だに勝ち星をあげれていない。
実際今の試合でも歯が立たない。
「ちょっ!渚、そのコンボはズルくない?」
「お兄……どんな手でも勝てば勝ちなのよ」
「クソー!」
渚お得意の半分ハメ技のようなコンボのせいで輝のキャラはダメージが蓄積されている。
「これで!ラス……ト!」
「うわぁぁぁぁ!」
渚の手も足も出ないくらい無駄のない動きで輝はやられてしまった。
渚はこのゲーム以外のゲームはダメダメだがこのゲームだけは異常に上手い。
それは兄として認めれる、しかし兄として妹に遅れを取りたくないというプライドが働きどれだけ立ち向かっても負けるのに渚に進んでいってしまう。
「はははは!どれだけ来ても無駄よ無駄無駄」
「……渚は知らない……俺が今まで色々なオンライゲームや色々なけゲームをやってきたおかげで身についた感覚……」
そう言うと一気に形成が変わった。
さっきまで劣勢を極めていた輝は見る影もなく進化した。
さっきまでは渚が輝を手も足も出さないようにしていたが今は逆となり試合が進んでいる。
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試合も進み2人のストックは1。
お互いHPもやばいので下手な行動に出たら負けるのは目に見えている状態だ。
時間もそろそろタイムアップを迎える頃合。
2人は
((早く動け!渚・お兄))
両者ともどちら家が行動するのを待っていた。
「渚……そろそろ動かなくちゃ……タイムアップだぞ」
「……お兄こそ……早く動かないと……」
お互い無意味なジャンプを繰り返している。
だがこんなことをしていても時間は無慈悲にも進んでいく。
((もう渚・お兄は動かないか!))
2人は遂に悟った。
やはり自身が行動しないとこの試合はタイムアップで引き分けになる。
((手段は選べない!))
2人は同時に攻撃を仕掛けた。
横攻撃なので横に移動しながらの攻撃だ。
輝と渚は運悪く両者のキャラは横攻撃の影響で横に動くキャラだ。
そして2人は同タイミングで放った。
そこから結びつく答えはひとつ。
「「ぎゃぁぁぁぁぁ!」」
両者とも同時に攻撃が当たり両者ともぶっ飛びされてこの試合は終了となった。
「……一番微妙なやつ……」
「お兄と引き分けなんて……あぁ、私のプライドが」
輝は見どころがなくて頭を抱え渚は初めて輝に引き分けまで持っていかれたショックで顔をぽかんとさせている。
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ゲーム大会も終盤に差し掛かってきた。
だがそんな時に事件は起きてしまった。
夜もだいぶ更けてきて辺りは暗くなってきた。
「輝と美神か・・・美神って上手いの?」
さっきまで熟睡していた要は渚に聞いた。
渚は要に死にそうな顔でじっと見つめ答えた。
よく見ると周りの人も何か死にかけているような様子でいる。
「か、彼女は、彼女は化け物よ!」
「だから化け物じゃないです!」
美神は渚に高速ツッコミを加えた。
だが渚はまだ言い続けている。
「美神さん、マジで上手すぎるの、私たち全員ボロ負け」
「あの渚も!」
「そう・・・」
要は寝ていたので美神がどんなプレイでここにいる3名をボコボコにしたのかは知らない。
だが今この中で一番上手いと思っていた渚がボコボコにやらたというのには驚きを隠せない。
「・・・さぁ輝・・・戦うわよ」
「・・・美神・・・手加減はしないぜ」
果たして2人はどうなるのか!
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・`)




