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出会い時々事件

もう一学期も終わりに近づいてきた。


だが一学期の終わり間近にひとつ新たな物語が生まれようとしている。


いつものように沙也希は輝や浩史と一緒に帰路を歩いている。


「んじゃー俺はこっちの方に家だから」


浩史は左の方を指さすと左に曲がっていった。


「あぁそうだ俺今日おつかい頼まれてたんだった、ごめん沙也希、今日は先に帰っててくれ」


「あぁわかったよ」


この時沙也希は一人で帰ることが確定になった。


最近ずっと輝や浩史と帰っていたので少し寂しいがだがひとりで帰れる特別感が生まれてきた。


輝は駅から反対方向にあるコンビニにへと足を運んだ。


「・・・なんというか懐かしいな一人で帰るのなんて」


そうつぶやくと輝のいつも乗っている駅にへと足を運ばした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


先程別れたところから駅までの距離はそこまで遠くは無いので体力的にも余裕で着く距離だ。


だが一学期ラストに近いというのもありとても暑い。


(とりあえずジュース買うか)


自販機前で財布を開けた時どこからか衝撃が加わった感覚がした。


人にぶつかられたような感覚だ。


「うぉ・・・ととと、大丈夫?」


挿絵(By みてみん)


衝撃のした方を見ると背丈は沙也希より小さい。


だがどこか見た事のある風格がある。


薄い紫の髪色はどこか見た事のある感じがする。


「大丈夫ですよ、こっちは・・・そちらも大丈夫ですか?」


「俺は大丈夫だよ」


「わかりました」


そう言うとそそくさとその場を去ってしまった。


なにかに追われているような感じがするがそんな漫画みたいなことは無いだろう。


そう思いこの時は深追いはせずにいた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あの出会いから1週間がたとうとしていた。


最初は誰かと気にはなってはいたが今は忘れてしまった。


今日は珍しく最初から沙也希一人で帰っている。


「ごめん、俺今日生徒会の仕事」と輝は言ったので帰れない。


浩史はテストの結果が悪く補習行き。


そのため2人を待っていると日が暮れてしまうので今日は仕方なく一人で帰っているのだ。


いつものように駅に向かう道を歩いていると後ろからなにかの衝撃が当たった。


その時先週のことやこの事の意味が何となくだが理解ができた。


(これまさかだと思うけど・・・)


一瞬生唾を飲み込み後ろを見るとそこには確かに先週見た人の姿がいる。


青色のベレー帽を被り薄紫色の髪が目を固定させる。


顔的にも沙也希達より年下だろう。


「また、会ったね」


「・・・お願い、少し匿ってくれない!お礼は何でもするから!」


「・・・わかったよ」


あまりにもひっしな形相で叫んだので沙也希は折れてしまった。


だが引き受けたのは良いがどうすれば良いかは全く分からない。


この近くはお世辞にも何も無い。


少し走ればショッピングモールには入れるが匿うということはよっぽど切羽詰まっている状況。


その状況で走るのは無謀かと考えたが。


「ねぇねぇあそこにある大きな建物ならいいんじゃない?」


「でも行くまでに・・・というかどうして匿うんだ」


「それらは着いてから話すから」


だが運悪く明らかに追いかけてるなと思うような人達が後ろから来た。


「・・・こんな漫画みたいな展開は嫌だな・・・走るからついてきて!」


そう言うと沙也希は謎の少女の腕をがっしりとつかみ走り出した。


その沙也希の行動に釣られるように捕まえに来た人達も走り出す。


「大丈夫なの!?普通に追いつかれちゃうわ」


「大丈夫・・・ここはかなり入り組んでいるから」


沙也希の今走っている道はかなり入り組んでいる。


完全初見で来た人は間違いなく迷うのは確定なくらい入り組んでいる。


実際沙也希もこの道で何度か迷ったのでこのことは断言して言えることだ。


「ごめん後ろ見てくれないか?」


「え、えぇ・・・いないよ・・・」


「やっぱり迷うか・・・そりゃ迷わない方がおかしいけど」


逆にこの道を迷わない人がいたら教えて欲しいくらいには入り組んでいるため沙也希的には計画通りといった感じだ。


もう後ろからの脅威がないと考えると謎の少女から手を離し自由にさせた。


「とりあえずもうここならバレないから安心して」


「ありがとう」


「じゃあ俺の後ろちゃんとついてきてね」


沙也希は謎の少女にそう伝えるといつもより少し歩幅を縮めて歩いた。


後ろをチラチラ見ながら歩くとちゃんと着いてきているので安心ができた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ひとまずさっきの逃走以来危険なことなくショッピングモールに着いた。


ショッピングモールを普通に歩くとまた捕まる可能性があるためフードコートに入ることにした。


フードコートなら人が多いため多少バレにくいだろうという計算だ。


「色々と聞きたいことがあるから聞いていいか?」


「・・・うん」


謎の少女は沙也希が頼んだポテトフライをもぐもぐと食べながら沙也希を見つめている。


(少しは残しておいて欲しいな)


そう心の中で思いながら質問を開始させた。


「名前は何て言うの?」


「名前・・・名前は北条マヤ(ほうじょうマヤ)」


「北条さん、という事ね・・・わかった、でなんで追いかけられていたのですか?」


「・・・」


今まで色々な人と触れ合ってきてその時の経験上質問がなかなか返されない時はきっとその質問は地雷なのだということだ。


「わかった・・・とりあえずこれからどうするか・・・」


今この場で安易にマヤを出してしまえばまた謎の人達に捕まる。


そのため少しの油断もできない。


「で・・・考えている?あと良ければ俺の分も残しておいて欲しいのだけど」


「あ、すみません・・・あまりにも美味しすぎて」


「初めて?食べるのまさか」


「・・・うん」


こくりとマヤは頷いた。


少し驚きがある。


今のこの時代ポテトフライぐらいなら一生に一度は食べているはずなので驚きだ。


よくよく見ると動きのすみに気高さや気品が感じられる。


これらの点から彼女はお嬢様という結論に結びついてきた。


「まぁ俺も一緒に考えるよ・・・」


「ありがとう・・・どうすれば良いの・・・親の元には帰りたくない」


確かに沙也希は聞いた。


はっきりと聞いた。


「家出なのか?」


「・・・聞いてたの・・・私は嫌なの・・・自由がない生活なんて」


「うーん、俺はまだ北条さんの生活は分からないけど・・こうなった時家とかのツテはある?」


「うーん・・・まだない・・・」


「・・・まぁそうっぽそうよな」


沙也希の当たるか分からない勘で考えたマヤお嬢様理論や自由のない生活。


それらの点からマヤは学校でも何かワケありなのを感じた。


「とりあえず知り合いとかいる?・・・やっぱり違う・・・さっきのは忘れてくれ」


「・・・やっぱりお兄さんに迷惑はかけられないよ・・・ひとまず持ってるお金でネカフェとかに泊まるよ」


「・・・いや。その必要はない・・・俺よくよく考えれば一人暮らしだった・・・一部屋なら貸せるよ」


「そうですか?ありがとう・・・わざわざ泊まるところまでも」


少し不思議な出会いがこの時始まった。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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