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言い訳時々悪夢

「あれ?輝、今日は早いんだな」


「沙也希か、まぁ」


美神の家に突撃して1日。


多分沙也希の言いたいことはわかっている。


下足の中だし今この下足には輝と沙也希以外居ない。


そのためこの会話も2人だけの秘密という状態だからこのような質問が出たのだ。、


「昨日大丈夫だったのか?」


「え?」


輝は沙也希が想像の数倍深刻そうな顔で見つめてきたのだ。


声も表情も真剣な眼差しなため輝は何のことか全く分からなかった。


「ちなみに何が」


「何がって輝、歩いている時に事故にあったって」


「え!?」


輝は自分の思っていた数倍ぶっとんだ意見が返ってきて半ば焦っている。


このような言い訳をされると今後数日話題に持ちっきりになるのは目に見えてきているのは確定だ。


そうなると輝の望む静かな生活は当分できないだろう。


「沙也希、すまん少し急いで教室に行く」


「あ、あぁ、わかった」


そう言い残すと輝は走って教室へ向かった。


勿論理由はソラだ。


あの時ソラが取り繕うと言っていたが無理矢理感があり尚且つ不吉なことだから会って話がしたいのだ。


今までにないくらい走り時間などは分からないが教室に着いた。


教室に着くと美神の席の前でソラが美神と話している。


その姿を見ると急いで席に向かい荷物を置く。


荷物を置くと真っ先にソラに話しかけた。


「ひとつ聞いていいか?」


「私のことでしょうか」


「もちろんだ」


輝とソラは見つめ合いながら話している。


美神はなにか言いたげだが2人の緊張感ある雰囲気に物怖じし話せなくなった。


「確か前取り繕うって言ったよな、何を言い訳にした」


「事故と」


「本当かよー!そしてバカー!」


若干沙也希の誤解説を推したかったが神はそう甘くなく沙也希の言ったことは正解になってしまった。


その場を取り繕ってくれたのは輝的にはありがたいが理由をどうにかして欲しいのは言うまでもない。


「どうしよう・・・俺の平和な暮らしが・・・」


「輝様がまさかここまで早く美神様を持ってくるとは思いもしなかったので」


「まさかの長期戦を見込んでかよ!」


今回の誤算の原因はソラの輝に対しての信頼感の問題だったようだ。


ソラが思うより輝が早く美神を説得するとは見てもいなかったようだ。


「まぁこれで俺の実力が多少わかった?」


「はい、恐れ入りました、本当に美神様の扱いがご上手なのは本当に尊敬です」


「何それ私が凶暴な犬みたいじゃない!」


美神が不機嫌そうな表情でそう言い放った。


確かにあのソラの言い方だとそう誤解されても無理は無い。


ソラはそう言われてもまゆ一つも動かさない。


(すごいな、さっきから何一つ表情を変えてない)


ソラの表情の変化をさせない力はとてもすごいと輝は思った。


「今回の件は私の誤算で・・・」


「いや頭下げなくても・・・とりあえず俺が何とかするから」


ソラは頭を下げたが輝はそこまでのことをしてもらうつもりは無いのですぐに頭を上げさせた。


だがどの道ここから面倒事とは切っても切れなさそうな関係になるのは目に見えている。


少し悩んだ末に輝は考え抜いた。


「・・・とりあえず諦めよう!」


「・・・は、輝?何言ってるの?」


「輝様・・・」


きっと言い訳は不可能。


今から言い訳しても多分卍解は不可能なのは輝は理解出来たがための考えだ。


「さぁ、来い!現実!」


そう威勢だけは良かったが学校の後半からどんどんやられて言ったのは言うまでもなく事実である。


この時輝は諦めることはしないと決めたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


5月も終わりを迎えようとしている時期。


この時期はテストも無ければ行事もなく平和な時間が流れていた。


輝はいつもの如くゲームをしながら休み時間を過ごしている。


その様子を隣で不思議そうに見ている美神。


もはやお馴染みの光景となりつつある。


「よくもまぁ飽きないわね」


「そりゃ楽しいからな」


「・・・次の時間の用意出来ているの?」


「出来てる」


傍から親かーとヤジが飛びそうな会話だ。


しかしクラスメイトもこの光景に慣れたのかもう誰も言わなくなってしまった。


しかしこの何気ない時間がある男が来たおかげで変わることになるのだ。


「君が氷川美神さんだっけ?」


爽やかな雰囲気の男が輝達のいる教室に入ってきた。


少しクラス中が突撃の来訪者のおかげで騒然としている。


「誰です?」


美神の初対面の人を警戒する姿勢はいまだご健在のようだ。


このままだと来訪者が可哀想なので中継ぎ役として輝がゲームを中断して立ち会った。


「すみません、美神初対面の人には少し警戒心が高くて・・・」


「それ少しバカにしてるでしょ」


「してないよおー」


輝の言っていることはほとんど親の言うことみたいなものだ。


その様子に少しムスッとしているが顔は満更でもなさそうな顔をしている。


「あの、すみません、ご要件を言っても良いでしょうか」


「あ、すみません」


少し空気になりつつあった来訪者の言葉で2人は一瞬で正気に戻った。


輝は少し来訪者を見るとどこかで見た記憶がある。


(あれ、この人どこかで)


そう思っていたが来訪者は話を続ける。


「俺が来たのは氷川さん、生徒会の書記会計に入ってくれませんか?」


「・・・はい?」


美神は狐につままれたような顔をしながら来訪者を見ている。


その様子に気づいたのか来訪者は1度服をきちんと整え直し


「すみません、自己紹介が送れましたね、俺の名前は烏丸雄一(からすまゆういち)生徒会長です」


「生徒会長ですか・・・」


美神はいまいちピンと来ていない顔をしている。


ここのところ大きなイベントが無かったので生徒会の顔を見ることは無いおろか見ても覚えてなさそうな性格を美神はしているため無理は無い。


雄一は紙を1枚美神に渡した。


「この学校は生徒会長と副会長だけ投票で選べて書記会計は我々の独断などで選べるんだ、そして君の実力を聞いてここに来たっていうことだ」


「私はやりません」


美神は思いのほかバッサリと断った。


その様子にクラスが騒然としている。


もちろん輝も驚いた。


あんなにバッサリ切るとは見てもいなかったので。


「・・・そこをどうかお願いします!」


雄一は空気が切れる音がするぐらい早く頭を下げた。


その雄一の姿に少し美神の心が揺らいでいる表情をしている。


美神の性格的にも少し押しに弱い性格をしているためこういう攻撃はとてもめっぽう弱い。


雄一は知らず知らずのうちに美神の弱点を生かした攻撃をしていたのだ。


「・・・少しだけなら・・・手伝います」


どこか腑に落ちなさそうな声で美神はそう答えた。


少し輝的にも腑に落ちないが美神のことにはとやかく言える筋合いは無いので大人しく声を殺した。


「ありがとうございます」


雄一はそう笑顔で答えるともう1枚紙を美神に渡す。


「ではすみません、これが予定表なのでチェックなどよろしくお願いします、あとすみません・・・」


雄一はまだひとつあるそうだ。


輝はそう感じるとどういったことなのか考えたが雄一の視線の先には誰がどう見ても輝しかいない。


(もしかしてこれって)


「橘さん、少し俺と来てください」


「まぁ、分かりました」


そう言うと雄一は教室を出て行った。


輝もぼーっとしているわけにもいかないので急いで後を追う。


雄一は階段のところで足を止めた。


あまり人通りも少なくこういった秘密の会話にもってこいな場所だ。


(何を言うのか・・・まぁなんとなくだが察しは着いている)


輝は雄一が言うであろう言葉がなんとなかではあるものの予測が着いている。


「わざわざすみませんね橘さん、橘さんにも手伝って欲しいのです」


「はい・・・」


輝の予測通りだ。


最初からこういったことは予測できていたのだ。


「氷川さんが唯一心開いている相手が橘さんって言うことも聞いているからお願いします!」


「まぁ美神の面倒を見るのは慣れてますから、そしてどういったことをすれば」


輝は美神の保護者的な立ち位置での補助だと予測していた。


しかし自体は思わぬ展開を迎える!


「橘さんには書記会計の仕事を氷川さんとして欲しい」


「・・・え?」


月までぶっ飛んでいく衝撃を初めてこの場で体感した。


しかし雄一の顔を見ると純粋な目で見ていたのでこの質問は至って真面目であり本気で願っていることなのが一瞬でわかった。


しかし輝はこういう仕事は望んでいない。


「すみません、この仕事は自分には厳しいです、ですが・・・」


さっきまで残念そうだった雄一の顔が輝の「ですが」で一気に明るく元気を取り戻していく。


「美神の補助的な役回りなら全然行けます、別に生徒会の仕事を手伝うことくらいもできます」


「じゃあ要するに書記会計の肩書きはいらないけど美神の補助と同時に生徒会の仕事などは行うと?」


「はい」


その時雄一の顔が難しそうな顔に変わった。


無理は無い、中々こういう返答をする人は居ない。


生徒会の肩書きが要らない人はそうそう居ないのでその事が何よりも驚きなようだ。


「それじゃ橘さんは圧倒的に不平等では」


「・・・大丈夫です、元々重たい肩書きは欲しくないので・・・あと美神が生徒会で暴走しないためにも」


「あぁ、暴走するのですか」


そう言うと雄一は頷き「分かりました、報告しておきますね」と言ってこの場から去った。


(なんというかどんどん静かな生活からかけ離れているような)


改めて自分の成り行きに任せる性格を変えようと決心した出来事になったのは言うまでもない。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・`)

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