君と俺が出会った日(食事)
「なぁ沙也希よ」
「なんだ浩史?」
「俺はあいつを消すかもしれない」
「なんでだ・・・そういう事ね」
輝が美神と一緒にご飯を食べている最中に浩史は見てしまった。
輝が美神と楽しそうに(よそから見てみると)お食事をしていたのだ。
浩史の怒りのボルテージはどんどん右肩上がりに増えていく。
しかし沙也希は輝の性格を知っているため多分成り行きでああなったのはなんとなくだが分かりそうだ。
「浩史・・・輝はああいう人では無い・・・多分成り行きだ」
「本当かなぁ?」
浩史のネットりボイスで聞かれたがその声には構わず沙也希は説得した。
「多分だけと美神さんも座るところ無いみたいだしそれで座らせてるだけだと思う」
「いや、怪しい」
「少なくとも輝が恋をしている場面は見たことない、これは断言出来る」
輝が聞けば泣きそうな言葉だが今は説得の方が最優先なためこのことはしょうがないと言うしかできない。
「まぁそこまで言うのなら、信じるかぁ、羨ましいのには変わりないけど」
沙也希はもう少し手間取るかと思っていたが浩史は以外にも単純な人間なためすぐに認めてくれたようだ。
「じゃあ俺たちは・・・どうしよう」
「ははは・・・そうだよな」
2人も輝に比べたら少ないが一般的な目線で見ると少ないとは言い難い量を取っているためこのままずっと立つのはしんどい。
「なぁ沙也希」
「どうした浩史?」
「俺たち非リア同盟を組まないか?」
「なんでまた」
「あいつに復讐するため」
「しょうもない夢だな、少しだけなら良いよ」
浩史の抱いている夢はとても小さく多分モテない原因がなんとなくだが理解出来た。
沙也希もモテないと言われれば嘘になるがトラウマがあるせいで女性とはあまり関わりを持っていない。
だからこの同盟は入っても別に面倒なことは無いだろうと思い入ることにした。
どうせ次の日には忘れてそうだ。
だが結局どこに座るかは全く決まってはいなかった2人であった。
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「食べ終わったかぁ?」
「えぇ、今回は感謝するわ」
「そりゃどうも」
輝の他の男子とは全く違う反応、無愛想が適するような反応で少しムスッと美神はしてしまった。
その様子に気づいたのか輝はすぐにカバーをした。
「まぁ中々帰って来ないからしゃべり相手になってくれてありがとう」
「ふーん、じゃあこちらもちゃんといただくわ」
少し美神の顔が喜んでいるのを輝は見逃しはしない。
だがあまり深追いするのも面倒くさいためこのことは無視することにした。
「というかアイツら遅くね・・・何十分間悩んでるんだよ」
輝もそろそろ我慢の限界が来そうだ。
ビュッフェのでかさ的にも明らか何十分間も居られるデカさでは無いのでこの遅さは異常だ。
だがこの時輝は近くで沙也希と浩史が待機しているのを全く気づきはしていない。
「ねぇ・・・」
「どうしたんだ?」
急に美神が話しかけに来たことに少し驚きがある。
顔を見ると失礼じゃないと書いてあるような顔でじっと見つめながら話を続けた。
「さっき私に趣味を聞いたじゃない?」
「あぁ、聞いたね」
「わかったわ私の趣味」
「どんなものだ?」
輝の目は知りたいという好奇心が表情から現れている。
適当に聞いた質問だが時間が経つと徐々に答えを知りたいという欲求が強くなりどんどん気になっていたのが原因だ。
「私よく旅動画を見るのよ」
「旅動画ね、なんか俺もたまぁにふとした時に見たくなるんだよ、分かるよその趣味、キャンピングカーとかロマンで大好きだよ」
「っー!」
美神の顔がとても赤い。
明らかに恥ずかしさの限界を超えた顔だ。
その証拠に美神の趣味を輝が肯定した後にでた声は声というには表現が難しい声だ。
しかし現状を変えるため美神はさらに質問を問いかけた。
「そういう輝は趣味はなんなのよ?」
「俺の趣味ね・・・少し話逸れるが聞いていいか?」
「まぁこの話を忘れないのなら」
「俺の名前いつから知ってるんだ?」
地味に忘れていたがさっきから美神は輝のことをちゃんと名前呼びしている。
少し前まで全く気にしていなかったが冷静になって考えると美神に輝は名前を教えていない。
そのためどこから知ったのか全く分からない。
「名簿に名前あったからそこから」
「なら最初から言ってくれたら良かったのにな」
「だって最初は輝のことを警戒していたし」
「そりゃすまんな」
事実美神は最初は輝のことをかなり警戒していた。
というか男子全員警戒の対象に入っている。
なぜ輝が美神に信用されたかと言うとさっきからずっと特に対応を変えず接してくれたのが理由だ。
変な勘違いも不快な下心も持っていない、それおろか美神という人間の外見ではなく中身と話しかけてくれている感覚が美神にとっては信用される主な原因だ。
今まで美神と関わってきた人は美神の中身ではなく外面的ステータスと話していた。
そのため中身は今まで全くと言っていいほど見せて来れなかった。
しかし輝と出会ってすぐ彼は今まで出会ってきた人間とは違うという感覚がある。
それが信用に繋がったのだ。
「まぁ今は多少!信用はしているよ」
「まぁ信用してくれたのならありがたきことよ」
だいぶ多少が強調された言い方なのは彼女の性格のせいだろう。
美神と出会ってまだ数時間だが美神は品行方正などと騒がれているが中身は負けず嫌いなのはもう既に理解出来た。
「だいぶズレたな、俺の趣味を言うな、俺の趣味は・・・というか俺を簡単にまとめるとオタクだ!」
「オタク?」
「まぁあれだ・・・なんというか・・・その・・・なんか好きなものがあるとかそういうものだろう!」
輝は美神の知識量に激しく驚いた。
多分そういう話題に疎いのだとこの時理解ができた。
かという輝も語句の説明ができるほど頭が良くは無いので「まぁググッたらわかるよ!」と説明放棄の意思を最後に伝えた。
「まぁ最近話題のアニメとかそういうものが好きという事ね」
「そうそう、まぁアニメとかゲームとかそういうのを嗜むのが趣味みたいなものだと思ってくれ」
「良い趣味じゃない」
「うぉ!沙也希と要以外に初めてだよ認めてくれたのは」
輝はオタクだ。
しかしそのことを今まで隠してきた。
1度中学時代その趣味を否定されたせいか趣味を暴露するということ自体が怖かった。
だが沙也希や要がそのトラウマを解消してくれたおかげで今では胸を張って趣味を言える程度には進化したのだ。
だが今でもトラウマというものは消えない。
そのため美神に言う時少し怖かったが認めてくれた。
その事が何よりも嬉しい。
その様子が顔に出たのか美神はまた話しだした。
「人の趣味を認めるのは当たり前の事じゃない・・・本当の馬鹿なのね」
「バカとは余計だよ、嬉しかったんだよ」
「私が人の趣味をバカにする人だと思っていたの?」
「いや、少しトラウマがあってね・・・まぁ今こうして言える分進化かな、というか早くご飯取りに行けば?」
このまま話し続けていると本当に殺されそうな感じだと感覚で理解出来たため苦渋の決断だ。
今でも視線はだいぶ殺しに来ている。
「まぁそうね、少し取ってくるわ」
「了解。俺は友達待つから」
そう言い残すと美神はビュッフェの席から去った。
しかしまだ視線は「絶対殺す」と言った意思が鈍い輝でさえわかっているためかなり居心地が悪い。
(まだか・・・アイツら)
時間を見るとかれこれ30分は経っている。
「輝、だいぶ待たせたね」
「沙也希、遅いよ、俺もう全て食べてしまったよ」
「お前本当にすげぇよ」
申し訳なさそうな顔をしながら沙也希は席に座り浩史はあの盛りつけを全て食べきった輝のお腹に驚いている。
「なんでこれだけ食っても太らないんだ?」
「まぁ体質かなぁ」
浩史はさぞかし羨ましそうな顔で睨むがその体質をあげれる訳でもないので目を逸らした。
沙也希はその間盛り付けられた料理を終始無言で食べ進めている。
「なぁ輝・・・さっき美神さんと話していたよな」
「確かに話してはいたよ」
「いいなぁ」
浩史の明らかに羨ましそうな目で見ているが輝は冷静に答え出した。
「みんな神聖化視すぎだよ、以外にぽこつな面もあるぞ」
「くっそー!なんか知らないけどモテ男のセリフは腹立つ!」
「俺彼女いない歴イコール年齢だけど」
「よし仲間だ」
輝の彼女いない歴を暴露したおかげで今まで敵を見る目だった目はすぐに同族を見た安心感の目に変わる。
浩史は仲間の証の握手をすると心底安心した様子で見つめていた。
「まぁ美神、あぁ見ても愉快な人だと俺は思うけど」
「お、なんだぁすぐに裏切るのか?」
「裏切るも何もあいつは以外にポンコツだから話しかけたら面白いぞ」
「話しかけれたら苦労しないんだわァ!」
多分浩史がモテない原因がさらにわかった気が沙也希にはした。
少なくとも女性との会話経験を積まない限り浩史は永遠に彼女はできないだろう。
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長く感じたビュッフェタイムもついに終わりを迎えた。
しかし輝には一つだけ妙な点がある。
輝は美神が戻ってくるのだと思っていたが結局戻って来なかったのだ。
その点が唯一心残りとなり体育館を去った。
(美神の事だし誰かと食べてるのかな)
そう安牌な考えをしながら心を落ち着かせたがやはり気になる。
いきなり会った男がこんなことを聞くのは変だと思うが美神の性格上変なところで我慢して自滅しそうなのはあって数時間だがわかっている、そのため少し話をした方が良さそうなのが目に見えてわかった。
「すまん、沙也希、浩史、ちょっと体育館に忘れ物あるから少し戻るわ、先に帰ってて」
そう言い残すと急いで体育館の方へ戻った。
輝達は幸運にも1番最初辺りに体育館から出たので周りの人達の顔は何となくわかる。
しかしその人たちの中に美神は居なかった。
そうなると後ろの方だ。
そう考え輝は急いで体育館にまた向かう。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




