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波乱の文化祭編 宣戦布告

「何をしているのです?」


「!?」


突如後ろから冷たく背筋が凍るような声が聞こえた。


その声の主は雄一とミリヤの後ろに立っている。


(物音すらしなかった!早すぎる)


雄一とミリヤは恐る恐る後ろを向くとそこには身長はお世辞にも高くは無いが覇気は誰よりもある少女が立っていた。


あまりにもの恐怖のあまり2人は声が出なかったがさらなる恐怖がまだ続く。


「うふふ最初からわかっていたよー」


「え!?」


絶望のセリフが聞こえ雄一は急いで視点を変えると目の前にはもう三葉が居た。


彼女もまた知らない間に近づいていたのだ。


もう逃げることはできない。


そう気づいた雄一は覚悟を決めて立ち上がった。


「あんた達!今何をしている!」


雄一は今まであまり見せたことの無い怒りを2人に顕にした。


だが2人は怖気付くどころか表情のひとつも変わらない。


その姿にどこか不気味な感じがしてきたがここで止まることは出来ない。


(生徒会長として……俺は止まれない)


「君達はなぜここの学生を連れ去ったんだ!理由を教えなさい!」


「うふふこの人度胸とかあって私……好きだなぁ」


雄一の話は全く聞かれていないらしい、誰も雄一の言葉に耳を傾けることすらしない。


だがそれでも雄一は諦めず理由を聞くが……


「なぜ答えない!」


「私達は黙秘権を使います……あなたに答える義理はありません」


「くぅ」


雄一は拳をぎゅっと握りやるせなさを誤魔化したがやはり腑に落ちない。


そしてついに痺れを切らしたのか雄一はある高等に出ようとした!


「答えないのなら!」


そう言い残すと雄一は2人の一瞬の隙をついて輝の元へ走り出した。


三葉は完全に油断していたらしく何も抵抗はせずただぼーっとしていた。


(あともう少しだ!)


もう少し、手を伸ばせば彼に届く。


「届けー!」
















だが……


「ガハッ」


「三葉……油断しないで……あともう少しで面倒事になってたよ」


「ごめんね〜」


雄一はあと一歩、あと一歩前ならば輝に届いていた。


しかし今は三葉では無い少女に体を押さえつけられ動けない。


押さえつけ方も体が動かなくなるようにきちんとされているためより彼女らが何者なのか分からない恐怖心が襲う。


(彼女たちだけは!彼女達だけは!)


雄一は今にも叫びたい。だがみんなの生徒会長としてそんな情けない姿を見せることは出来ない。


周りにはミリヤと輝しか知り合いはいないがそれでも邪魔なプライドがある。


そんな自分に呆れしか出てこないがそんなくだらないことをずっと考えている間も時は進む。


(早く動かないといけなのに……)


「ぐぅ!」


「抵抗しないで!」


「がぁっ!」


雄一が抵抗しようと力を入れ出すと少女は今以上に力を加えてきた。


そのせいで体からどんどん力が抜けていき痛みのみが現れる。


「ぐぅ」


「無駄よ……」


冷たくゴミを見るような視線が雄一の心を一気に冷やす。


彼女の掴みどころのない性格と計画は不気味さしかない。


(どうすれば……)


もう打つ手はない……そう思った……
















だが


「雄一をイジめて!これ以上、私が黙って見てるとでも!」


ミリヤが立ち上がりまるで格闘技の試合の始まる前なのだろうか、構え始めた。


「何馬鹿なことしてるのこの人は……」


少女の呆れた声が静かな辺りを包む。


しかしミリヤはまだ怯まない。


「だって!雄一がやられてるのを見続けるのは嫌!副生徒会長の名においてそのような行為を見過ごす訳にはいけないです!」


ミリヤのいつもののんびりとした声は今はなく、今の行動や言動からはもうあのミリヤは居ない。


1人の戦士として覚醒した……

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