波乱の文化祭編 雄一side
「ねぇ〜早く見回り終わらして遊びましょうよ〜」
「一応生徒会の仕事だから雑にできないから、我慢しろ」
雄一とミリヤは校舎の外の見回りをしていた。
2人は出店激戦区の近くを歩いたり体育館の近くを見たりと怪しいことをしている人が居ないか確認している。
だが正直2人はこの仕事が嫌いだ。
「まぁ早めに終わらすから……」
「そうしましょう!ずっと見回りは嫌です」
先程まで面倒くささが声に出るくらいまで間延びしていた声が消えハキハキと答えだした。
急な変貌ぶりで雄一自身も焦ったがミリヤの性格上この仕事が嫌なのは知っているので早く終わらせてあげたい。
「じゃあとりあえず下足の方見終えたら自由行動にするか!」
「やったー!何食べます〜?ポテト?チーズハッドク?」
雄一の終了宣言を聞きまるで待ってたと言わんばかりにテンションが高くなった。
そしてそれ以降ミリヤの態度は激変し、先程まではぐでーっとしていた態度だったのに対し今は真面目に副生徒会長の何ふさわしい態度になっている。
(本気出したミリヤって改めて見ると結構すごいな)
改めてミリヤの本気の強さを思い知らされる。
······························
下足の近くに近づいてみるとあまり人がいない。
近くから騒がしい声は聞こえるが周りには人がほとんど居ないため秘密のスポット感がありどこか不思議な気持ちだ。
「中々静かなスペースですね〜」
「それは思うな……良いところだし……昼ごはんはここで食べないか?」
「良いですね〜」
ミリヤがまたもやフワフワとした笑顔で喜んだ。
しかし平穏は崩れ去る……
「!?……ミリヤ……ごめん……少し行ってくるよ」
ある時一瞬で雄一の顔が先程まで、いや今までで1番怖い顔をしてどこかをじっと見つめていた。
何かヤバいものを見てしまったかのような顔だ。
「どうかしたのですか!」
「いや、どうやらミリヤの予測通りだと思うがまずいことが出てきてしまった!」
雄一はそう言うと今現在2人が待機している木や草などで生い茂っているところからコソコソと歩き出し下足へと歩き始めた。
「雄一?何があったの?」
雄一の雰囲気が変わった頃合いからミリヤの話し方も間延びが多い話し方からは一変し、真面目な雰囲気を醸し出し、ハキハキと話している。
そして質問内容は気にならないわけが無いであろう質問だ。
「確かに言ってなかったね……」
先程下足を覗いたのは雄一のみなのでミリヤが情報を持つ手がない。
「うん」
「じゃあ言うよ……絶対に声に出すなよ……」
今雄一が見た現実を聞き叫ばないためにも予め予防策は打った。
バレてしまえば雄一にミリヤも何をされるか分からない恐怖が2人を包む。
「じゃあ言うよ……単刀直入に事実を伝えるよ……輝が誰かに連れ去られてる」
「ひ、輝が……」
ミリヤの顔色が変わった。
先程までの血の気が程よくあった顔から一変、今となればほどど血が通っていないのか
そしてこのふたりの運命も変わりゆく……




