波乱の文化祭編 終わりの始まり
「うぐ……」
右足に何かが刺さった気がする。
針のようなもの……
しかしその感覚は次にくる感覚の痛みによりすぐにかき消されてしまう。
「うぐっ!あが!あ……が!うぐっ!」
とてつもなく痛い、足がとにかく痛い。
そして痛みのせいか動けない。
多分身体中の筋肉がやられたのであろう……
そう勘づいたのは右足を抱えながら悶え苦しんでいるがその手には血のひとつもついていないという事実からだ。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
とにかく叫んで痛みを紛らわそうとするがそれでもこの痛みの感覚は消えないどころか増す一方だ。
喉がちぎれそう……もう次喋る時には声が出ないであろうくらいはには叫んだはずだ。
「た、助け……がぁ!」
徐々に意識が遠ざかっていく、どこかからか輝の名を叫ぶ声が聞こえるが朦朧とした意識の中でその声の主を特定することは不可能だ。
もう輝の体から力が抜け始めているので意識が無くなるまでもう秒読みが始まったであろう。
「み、か、み……ごめん」
そう呟き終えると輝の意識はここで切れた。
··································
「目標の鎮圧に成功……」
「あなただけは!」
少女が輝に弾を撃ち込み悶え苦しんでいるのを見てそう呟くとソラが鬼の形相で突っかってきた。
今までのソラの戦い方は理性的で頭を使って戦っているのが分かるやり方だが今のソラは本能のまま戦う、まるで肉食獣のような戦い方だ。
「なぜ!なぜそこまでするのです!」
「彼は一真様の邪魔になる!一番の邪魔!」
ソラが拳を飛ばしたり蹴りを決めてきたりと今できる最大限の攻撃を少女に放ったが少女は何一つも当たらない。
「冷静じゃない人の攻撃なんて当たる方が逆に難しいよ」
と言い放つと先程輝に撃ち込んだ銃をソラに向かい構えた。
「あなたも邪魔なのよ」
そう言うと少女は引き金を…………
「させない!」
引き金を引く寸前にソラの拳は少女の銃に届いていたらしく銃を殴られた衝撃で床に落としてしまった。
少女が真っ先に銃を取り戻しに来ると勘づいたソラは床に転がった銃を思いっきり足で蹴飛ばした。
だがこれがかえって自らを危険に陥れる罠となっていたのだ……
「そう来ると思った……」
少女の呟きが耳元で聞こえた……
その呟き声にはこう来るとわかっていてたのか全く焦り、喜びの雰囲気を孕んでいない。
ただ冷静な声だけだ……
「え……」
少女の拳がソラの頬に思いっきり激突した。
もちろん火力は最大限で放ったのでそれ相応のダメージをソラは受けてしまった。
殴られた衝撃でモロに転けてしまい一気に形勢逆転を取られてしまったのだ。
ソラが顔を上げたところにはもう既に少女がたっている。
このことが意味することは……敗北だ……
「ほんと邪魔しかしないよね……」
少女はそう言いながら床に転がった銃を拾い
「でもこれで邪魔が消えたよ……」
銃をソラに向かい構え……
「当分の間は彼と一緒に邪魔にならないようにするから」
トリガーに指がかかった。
多分先程までのソラ自身ならここから立ち上がりまた戦い始めていたのであろう。
しかし完膚無きに2度も負けもう立つ気力すらわかなくなった。
食物連鎖の最底辺に立った気分だ。
(ごめんなさい輝様……何も出来ずに結局……)
そして彼女の指がついにトリガーを引いた…………
バン!
銃ほど大きくない銃声が下足を包んだ。




