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波乱の文化祭編 狙い

ソラが意識を取り戻した時まず先に見たのはスマホだった。


(今何時だ!早く行かないと輝様が!)


スマホに映し出された時刻は気を失う前に見た時刻の10分後だった。


10分、普通ならそこまで焦ることは無い、しかし相手がとても手強いとなると話は変わってくる。


ソラが接敵した相手は年こそあまり大差はないが技術などは圧倒的に上、ソラが無理なことも余裕でしてくるのだ。


その相手に10分という猶予は作戦を終わらせるには十二分な時間だ。


「こ、こんなことしてる暇ない!輝様……この時刻だと……下足かな」


時間的にも輝の当番に近い時間だ。


いつもは適当な輝とはいえこういう日は時間厳守にしているのはこの期間でわかったことだ。


そうだと思うとソラは早速倒れて汚れた制服をはたくこともせず下足の方へと向かった。


(間に合って!輝様……)


···································


「君は……誰?」


輝は目の前にいる美しい少女に話しかけた。


あまりにも雰囲気が年齢と釣り合ってないなどの違和感がある、その不気味さが怖いため早くにでも詳細を知って安心したいのだ。


「私は……いえ多分もう会うのはこれで最後なので聞くだけ無駄だと思いますよ」


そう言うと少女は銃のような物を取りだした。


だが銃と言うには先端や色々な箇所がいつもゲーム等で見る銃とは多く違う。


拳銃のような片手で持てるタイプだが色や形相まっておもちゃのようにしか見えない。


「……何をしたい?」


輝は少女をじっと睨むが少女は何も感じていないのか表情筋のひとつもピクリともしない。


現実では10秒程度なのだろうがこういう緊張に慣れていない輝からしたらこの手の緊張は10秒も10分くらいに感じられるくらいには緊張してしまう。


「……何をしたい?」


ついにしびれを切らしたのか輝から聴き始めた。


このままだとずっと話しが延長線で止まってしまう気がしたのが原因だ。


輝の質問に少女はやはり表情を崩さず冷静に


「「あの方」からの命令でやるだけです……」


「あの方ってまさか!」


「一真よ!」


「!?」


突如「あの方」について分かりかけてきたが答えを言う前に別の人から答えを話された。


「ソラ!?」


声の主はやはりソラだった、別棟から来たのか別棟の入口の方にソラは立っていた。


服装がかなり汚れているため何かあったのは間違いない。


しかし今この状況下でそのような推測を立てるのはほぼ無意味に等しい。


「輝様!逃げて!」


いつもの呑気で適当な話し方は今では跡形もなく、現在のソラはとにかく必死だ。


その声や必死な形相に輝はやっと自分の立場をわかったのか下足から出口の方へと逃げ始めた。


(まずい!想像の数倍まずい!)


運が良かったのは少女と輝はかなり距離が空いていることだ。


そのことにより何とか少女から逃げ切ることができる。


だがこの時あることを忘れていた……


この状況を一瞬で一回転するくらいの力を……


「逃げるのなら!」


少女がそう呟くと手に持っていたハンドガンを輝に放った。


「え……」


輝は避けることが出来ずその弾を足で受けることになってしまった。













この一発が輝の人生をまた大きく変えるとはこの時予測すらできない。


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