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君と俺が出会った日(初対面)

時間は遡り入学式。


中学のように輝は沙也希、要と一緒に登校していた。


だがひとつだけ違うことがある。


それは制服が中学から高校に変わっているのだ。


3人は初めての通学路をワクワクした様子で歩いていた。


「いやぁこれは中々良きものだねぇ」


要は制服に大層喜びの笑みを浮かべている。


沙也希と輝はそのハイテンションな要の様子には触れず二人で話していた。


「にしても桜が綺麗だね輝」


「ホントな、満開だし後で写真でも撮るか?」


輝はポケットからスマホを取りだし沙也希に見せつけた。


沙也希は笑みを浮かべ頷く。


要も輝の元へ行きサムズアップをだし了承を得た。


「じゃあ後で撮るか」


「やったー!」


要はまたテンションが上がり余計二人の顔が引き攣る。


超ハイテンション要はとても強いため誰にも止められない。


そんな様子とは裏腹に輝は沙也希の方を見ると沙也希はこっちを見ていた。


顔は少し喜びがある。


「俺の顔になにか付いてるのか?」


「いや、輝はだいぶ変わったなぁって」


「変わった?」


輝は頭の上に疑問符を載せると沙也希は笑いながら理由を説明し始めた。


「初めて会った時もこれくらいの桜だったし、何よりも輝の顔が今とは180度違うから、やっぱり笑顔が似合うね」


「急な告白は心が驚くから辞めてくれ」


「え!告白!?二人ってそんなかんけ·····」


「お前は黙れ!」


輝はなにかあらぬ誤解を抱いた要の顔を押さえ込み強制的に黙らせた。


要の顔は理不尽を訴えたさそうな顔だがそんなの関係なしに抑え込む力は変わらない。


「こういうところが変わったなぁ」


沙也希は二人の仲睦まじい様子を見ながらまたひとつぽつんと呟く。


桜はどんどん花を散らしその3人の様子はThe青春といった様子に変貌している。


······························


しかしそのような余計なことをしていたせいかちゃんと遅刻しそうになっていた。


3人は走りながら校門に滑り込むような形で登校した。


初登校から遅刻未遂をやらかし輝はこれからやばいなと内心思いつつクラスを見る。


まずは自分の名前を確認。


「俺は·····Y組か、あいつらは」


次は沙也希、要と同じクラスか確認だ。


しかし確認する前に要がこちらに来て


「ねぇねぇねぇ!私たち一緒だよ!またあれしてたんでしょ」


「地味に楽しみだったひとつを奪うな!」


要の顔はやってやったぜの顔をしているので確信犯だ。


隣を見ると沙也希も若干どんまいと言いたげな顔で笑みを浮かべている。


輝はため息を零すと


「はぁ、とりあえずクラス·····行くか」


「りょうかーい!」


「確かにね、間に合うかな」


「まぁあと5分だし間に合うでしょ」


ハイテンションな要と対比するかのように時間を気にする沙也希。


二人の性格が謙虚に出ている。


だがごふんとは言えどもどこにクラスがあるかは分からないため少し早足で上履きに履き替え先生の指示に従った。


だが早足で行く必要など全く要らなかったようだ。


余裕で間に合った。


「余裕で間に合ったじゃん、というかここ結構階段きつい」


要はあまり運動をしないためもう登校だけで体力がゼロに近いようだ。


ずっと犬のようにはぁはぁ声を出しながら息を整えている。


「要も春休み中俺たち沢山カラオケとか誘ってたからそれに行っとけば多少体力ついたんじゃない?」


「カラオケで体力つくわけないじゃん·····」


「俺と輝ずっと歌ってたおかげで多少体力ついたぞ」


「嘘だー!」


沙也希は要と違って体力にはかなり自信がある人間だ。


だが沙也希は元から体力がある人間なためあまり困らないが輝は割としんどかった。


2人にバレないためにポーカーフェイスで隠しているだけだ。


実際沙也希と輝はカラオケに春休み中よく行った、しかし体力がついたかと言われたら首を傾げる程度。


あまりついてるとは思ってはいない。


「と、とりあえず席につくか」


輝がそう言うと沙也希と要は「了解」と言い各自席に座った。


輝も教卓の上にある座席表を見て自分の席を探した。


運良く後ろの席だ。


正直この時は隣なんて気にしていなかった。


気にするのは隣なんかより席の場所だ。


バレにくいところだと誰が隣でも嬉しい。


(やった!後ろじゃん!ラッキー!)


そんな思考力ゼロの考えで席に向かい座る。


割と端の方だが視力はかなり良いためはっきりと字は見えそうだ。


「ラッキー!」


「そんなにこの席が良かったのかしら」


「誰?」


隣を見ると薄紫色の髪が輝く一瞬ハーフかと見間違えたがちゃんと純正日本人だ。


その整った表情はどこを切り取っても美人と言われるくらいの美貌!


少なくとも輝の人生で芸能人や俳優、アイドル含めて見てきた女性の中で1番と言っても過言では無い。


しかし輝は疲れが溜まっていたのか美少女見た嬉しさよりも眠気が勝ってた。


「あ、お隣さんね、よろしくー、先生来たら起こして欲しい、すまん」


「あ、ちょっと!」


そう言うと輝は一瞬で寝始めた。


何が言いたげだったが起きたらでいいかと思いまずは寝ることを優先にした。


······························


「·····きなさい!·····起きなさい!」


「う·····ん?·····あ、ごめん、おはよう」


目を開けるともう先生がいた。


黒板に何か自己紹介らしいことがたくさん書いてあるので起こされたのは先生が来て少し経った時なのだろうと推測はできた。


その程度は脳が働いていることに驚きだ。


隣を見るととても機嫌斜めの顔をしている。


輝は早速この学校生活終わったことを悟りながら先生の方へ顔を向けた。


(俺は知らん!いや····余計なことしたのは俺か)


隣の美神の顔が忘れれず結局先生の話は全く脳に入らないまま最初の回が終わりを迎える。


「んじゃ次はオリエンテーション、それまでの間ゆっくりしとけ」


今となったは増田らしいが最初は怖い雰囲気にしかない言葉を聞き流すと輝はまた顔を伏せ寝ようとしたがその企みは美神の手で壊された。


「待って!」


「あ〜ん」


若干半グレっぽい声が出たが全くこの時は気にしていない。


それよりも美神の表情が怖すぎて分からなかったの方が正しいだろう。


顔に般若載せたような表情でお話が始まった。


「私を召使いとして扱う気?」


「そんなつもりは無い·····」


「はぁ·····」


美神の顔を見ると最悪な顔をしている。


この時初めて輝はゴミを見るような顔というものを理解できた。


「まぁ、よろしく」


「よろしく、これ以上話すことは無いと思うけど」


「あっそうね」


そう言うと輝は顔を伏せた。


その時一瞬見えた美神の表情はなぜなどの疑問を抱いている顔だった。


美神の表情を見て輝はどっちなんだよと言いたい気持ちを押さえ込み1度意識を消す。


···································


美神はこの橘輝と初めて話した時今まで出会ったどんな人よりも何か違うものを感じた。


今まで美神が触れ合ってきた男というのはみんな私の顔や体目当てで下心が丸見えな人間しかないなかった。


そのせいか美神にとって男性は敵として見ていた。


だが今日出会った橘輝という男は下心おろか今まで歩く度男性を2度見させてきた美神にとって初めて興味というのを持たれなかった人間なのだ。


(この男·····何か違う)


美神の中で初めて人に対して興味を覚えた瞬間である。


「何よ、このバカ」


輝の寝顔を見ながらつい呟いてしまった。


今までにした事の無い経験を出会ってすぐに経験させたのは美神にとって驚きそのものだ。


だが美神はさらにこの男に興味を覚えることになる。


···································


「んじゃオリエンテーション始め、できる限り色んな人間と話してな」


そう増田が言うとみんなぞろぞろと動き出した。


しかしほとんどの男子は美神のいる席に向かい歩き出す。


輝は寝ようとしていたが足音や声で眠りが中々できないため寝たフリみたいになってしまっている。


この時沙也希や要はと言うと


沙也希は3人の中ではかなりのイケメンなので女子生徒に引っ張りだこ。


要は自前のコミュ力で色々な人と話している。


そのため輝は新学期早々ぼっちを体験しているのだ。


寝ているフリなため美神の質問が沢山聞こえる。


「あなたの名前は?」


「ハーフ?」


「可愛いね!」


「LINE友達追加していい?」


その他諸々の質問を美神は受けていたが全てごめんなさいで一蹴りしていた。


(男子共、強く生きて)


そう心の中で願い体を上げた。


美神を見ると少しビクッとしたが少しその美神のビクッというものに輝は驚いた。


「ねぇ、なんか趣味ある?」


「私は質問は基本答えません。隣で寝ているフリしてたのでま聞いていたのかと」


「うぐっ、確かに寝てるフリはしてたがなんでも完璧に聞けるほどよくできてないのでね」


輝的にはかなり痛いところを突かれ言葉が詰まったが何とかして誤魔化し切れたのが安心だ。


「まぁフリはしてたが俺はあいにく友がみんな色々な人に話しているため来ない、だから話しかけた。これで良いか?」


「なんか腹立つけど···わかったわ少しだけなら手を貸すわ」


「ありがとう」


美神は少し顔を緩め頷いてくれた。


輝的にはとても嬉しかった。


今回の高校生活こそ波風立たない順風満帆の高校生活を望んでいる身としてここからぼっちの烙印を押されて目立つのは嫌だから今は覚悟を決めるしかないのだ。


「確か趣味だよね·····趣味·····」


美神の顔が止まっている。


思考時間にしてみればかなり長い。


この時輝は美神に何かあるという予想が生まれた。


「もしかしたらだけどさ·····趣味ない?」


「·····そんなことは·····そんなこと」


「図星みたいだな·····」


この時の美神の顔はとても悔しさに満ち溢れていた。


今にも牙を向いて襲い掛かりそうなぐらい覇気がある。


だがそれでも輝は止まらない。


「まぁそれも良い生き方のひとつなんじゃない?」


「どこが·····趣味のない人間の」


美神は輝の顔を見るととても笑顔で見つめている。


その顔は下心などなく安心を美神に与える優しい笑だ。


「だって人間の生き方は人それぞれ、俺がとやかく言う必要は無いだろ」


「結局あんたは何が言いたいの?というかなんで趣味を聞くのよ」


「いや、単純に気になっただけ」


輝らしいと言えば輝らしい答えだ。


しかし美神にとっては何か少し腑に落ちない。


だがこの時美神はまた知らずのうちに新たなことを学んだのだ。


美神の中の男子の像はこの後もズルズルとこの話題を続け何とかして美神と繋がりを持とうとすると思っていた。


しかし輝は全く違う。


話を簡単に切り捨てたのだ。


美神にとっては驚きそのものだ。


「やべ!忘れてた!」


「何よまた」


輝は急いで鞄を漁りスマホを取り出すとゲームにログインした。


美神にとってはいつもなら自分が何かと最優先として見られていた美神にとって初めての経験を味わったせいか体が動かない。


「っしゃー!」


「何よ、また!うるさいわね」


「当てたんだよ、今まで血涙出しながら貯めてたもの解き放ちついに念願引き当てたんだよ」


そう言うとゲームの画面を美神に見せた。


美神は初めてゲームというものに触れ合ったのでそれがなにか分かるはずがない。


しかし一つだけ美神にあるものが芽生えた。


それは悔しさだ。


「何よ····私と髪ほんとんど一緒じゃない」


その一言は小声だが輝の耳にはちゃんと聞こえた。


輝はその時何も考えれなかった。


まずその言葉の意味すら分からずこんがらがったが一つ一つ意味を分解するとある一つの結論にたどり着く。


(会ってまだ数分でナーニ可愛い嫉妬してるんだよ!)


輝と美神は2人とも別々だが謎の恥ずかしさを覚えた。


これが2人の出会いの1ページ目に過ぎない出来事だ。

ブックマーク。ポイント等やって欲しいな|ω・`)

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