波乱の文化祭編 敗北
「これすっごく美味しいね!」
「あぁ本当にな」
輝と三葉はチーズハッドクをベンチに座りながら頬張っていた。
ベンチの周りにはあまり人もいないため落ち着きながら食べれる。
「うふふ……さぁて次は何しよっか」
「まぁまだ時間は大量にあるんだ……もっと落ち着こっか」
「は〜い」
後半からバテてもおかしくないようなテンションな三葉に輝は少し合わせるのが疲れた。
だが三葉の子供のような笑顔が見ていて落ち着くため輝はあまり強く言えない。
「よし食べ終わったぞ〜」
「じゃあ次のところ行こっか?」
「そうだね」
そう言うと休憩する間もなく輝は三葉の手により腕を引っ張られながら次の目的地点へと足を運んだ。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
人があまり来ない別棟の校舎にて鈍い打撃音が聞こえた。
何かが走る音も聞こえたがそんな音はほんの一瞬で聞こえた気がした頃にはもう既に消えていた。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
別棟にて2人の少女が戦っていた。
だがしかしすぐに決着はつき今はひとりの少女が敗北したであろう少女の頭を踏みながら見下ろしている。
「だから無駄なのですよ⋯どれだけやっても」
「くっ⋯くぅ」
少女はソラの頭を踏んづけながらそう答えた。
ソラは何も出来ずただただ唸り声を上げながら睨むことしかできない。
「あなたの力で私に敵うわけが無いのよ⋯無駄な抵抗はやめて」
「諦めない!絶対に!」
「その威勢がずっと続けれるか見ものね」
少女はそう言うとソラを立ち上がらせてお腹に1発強烈なパンチを加えた。
そのパンチはあまりにも強烈だったのかそれとも打ちどころが悪かったのかソラを悶え苦しませるには調度良いものだった。
ソラはずっと痛みを分散させるために体を動かしている。
「はぁはぁはぁ⋯輝様と⋯あいつを会わせてはいけない⋯はぁはぁ」
まだ体が先程の先頭のせいか身体中が痛いがソラはお腹を抑えながら歩き始めた。
しかし身体中の痛みがもろ影響させているのか歩くスピードがいつもの2分の1以下なスピードだ。
「なんで⋯なんで体が上手く動かないの!」
ソラは自分の体の限界にイライラが抑えきれず壁を殴ったがそれでも現実は変わらない。
こうしてる間にも少女は輝と接触しようとする。
早くにでも輝を見つけ出して事の顛末を話さないといけないが今輝がどこにいるかは分からない。
(輝様⋯どこに)
しかしそんなことを考えようとしていたが意識が遠くなっていく。
(だ、ダメ⋯ここで寝てしまったら輝様が⋯)
フラフラとしてきた体を校舎の壁につけ何とか真っ直ぐ歩こうと試みてみたもののもうとっくに限界を超えていたのかいつしかソラの意識は遠く離れてしまった。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「居た⋯良かった三葉が輝をキープしてくれてたんだね」
少女は校舎の端からじっと輝と三葉を見つめていた。
「後は計画遂行のみ⋯」
そう言うと少女は⋯を出し時が来るのを待った。




