準備時々終幕(1)
体力低下のせいで短いっす
許して欲しいっす
2週間近くに渡る準備期間もついに終わりへと向かった。
輝達のクラスは出し物の最終調整を行っている。
どんどん完成へと進んでいく出し物にどこか恍惚とした何かを感じてしまう。
「完成していくね〜」
「ほんと⋯そうよね」
輝と美神はぼーっとしながら廊下から完成形へと向かっている迷路をじっと見つめた。
輝達が作った物もどんどん使われ感慨深い気持ちがより増してくる。
「これからか⋯文化祭が⋯」
「そうね⋯」
どんどん完成へと向かう迷路を2人は見つめながらそう呟いた。
「というかさ⋯」
「何?」
輝はどこか異変に気づいた。
この空間にあるひとつの異変。
それは⋯
「なんで俺たちは廊下側から見てるんだ?」
輝は「暑いし」と付け加えると美神もやっと気づいたのか⋯
「確かに⋯どうしてでしょう⋯」
「シンプルバカだからかなぁ」
そう言うと先程まではぼーっと何も考えていなさそうな顔をしていた美神の顔が輝の一言で一瞬にして般若に変わった。
輝は美神の後ろから伝わってくるオーラに輝は怖気付きそうだ、というか怖気付いている。
「喧嘩売ってるの?」
「いえ売っておりません⋯」
輝が美神の質問に返答するまでの間の時間僅か1秒だった。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
遂に迷路が出来上がった。
黒い壁が良いアクセントとなり迷路の雰囲気はとても良い物に仕上がっている。
所々に貼られている紙で作られた柄がずっと黒ばっかの壁の彩りに変わり歩いていて飽きのこない出来となった。
「お、すげぇよ!めっちゃでかい!小さい教室だからどうなるかと思ってたけどまぁまぁ広いじゃん」
輝と美神は完成した迷路を軽く歩いてみるとその大きさに驚きが生まれた。
この迷路が置いてある教室はお世辞にも大きいとは言えないもの、しかし迷路を歩いているうちに小さかったと思っていた心は消えていた。
「本当にね⋯予想以上よ」
「このくらいでかいと楽しいな!さぁてとみんな探しますか⋯」
輝は今現在は圧倒的な好奇心と都市は離れていても子供心を忘れたい二つ名の感情がまじわった。
「ほんと輝といると飽きないことだらけだよ⋯」
美神は溜息をつきながら迷路ではしゃいでいる輝をじっと見つめた。
「そう言って貰えると嬉しいよ」
本当の意味など知らない輝はもちろん良い意味だと感じ取ったのだろう。
しかし美神は本来の意味を教えようとしたがここまで純粋無垢な目で見られると⋯
(輝の悪口なんて思っても言えない⋯)
言えないのだ!
「どうかしたのか?美神」
「だ、大丈夫よ」
どうやら輝には何か不思議な効果があるのだろうか⋯
まだ美神には分からないことだらけだ。




