ショートストーリー 準備中の誤解
文化祭まで残り2週間。
徐々に出し物の完成形が見えつつある期間。
もちろん輝の所も完成に近づいていた。
そして輝のクラスも例外ではない。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「よーしこんなとこかな」
輝はいつものように壁の元なる糸を教室中に張り巡らせ終え一息ついていた。
もう何度も同じことをしていたせいか体が完全に覚えてしまい設計図なしでも張れるようになったぐらいだ。
「いやぁありがとうね輝」
「まぁ糸は俺が頑張るわ」
要は「メンゴメンゴー」と明らかにバカにしているような話し方で輝に感謝を伝えた。
だが日に日に積もっている文化祭準備の疲れのせいか輝も何も感じなくなってきた。
「ういーっす」
もはやツッコむことさえだるくなったのか適当な返答だけ済ますと輝はまた入口の方へ向かう。
(仕事ないし外にでも行こかね)
輝はそんなことを考えながら教室の出口の方へ歩くと⋯
「あ!」
「うあ!」
何も考えずに歩いていたせいか出口にも関わらず出会い頭のことを全く注意していなかった。
そのため
教室の出口に誰か居たのか⋯
ぶつかってしまった、今輝の下にそのぶつかった相手は寝転がってしまっている。
「いて⋯す、すみません⋯前を全く見てなかったです⋯」
今輝とぶつかった人を押し倒していると誤解されるような体勢のため周りから見られるとやばい。
「じゃ⋯早めにどきますね⋯え」
「うぅ⋯恥ずかしい⋯輝⋯」
押し倒していた相手とは美神の事だった。
良く考えれば行動や美神の学校での服装から予測を立てておく必要があったのかもしれない。
「うおー!ごめんごめん!今すぐでるよ」
やっと冷静になったのか脳がショートした輝はとにかく謝った。
だが既にもう遅かったのだ
パシャ
無機質な電子音が当たりを包んだ。
輝はその電子音のするほうを見つめるとそこには。
「うふふ良き写真ゲット〜」
ニヤニヤしながらスマホを片手に見つめている要がいた。
要の顔的にも確実に誤解を含んでいる。
むしろ誤解しかなさそうな気がしない
「要!違う!違う!」
「輝⋯熱いのは良い事だけどTPOをわきまえて⋯」
「ちがーう!」
その後誤解を解くのにとても時間がかかった。
要はずっとニヤニヤしいているし美神は恥ずかしさのあまりずっと顔を隠したままだった。
だが一つだけ良かったことは周りに誰も居なかったということは良かったことであろう。




