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決定時々なでなで

沢山あがっていた案達について決定


たくさんの案が飛び交い学級委員が纏め上げどうにか1時間で終わったことに輝は驚きを隠せない。


そして休み時間、輝と美神はいつものように席に座りながら次の時間を待っていた。


「俺たちは迷路担当か……だいぶオーソドックスなやつ来たな」


黒板に書かれた決定案。


その名は迷路だ。


迷路とひとくちに言っても沢山作り方はある。


「……美神……なんだそんな難しそうな顔して……」


隣の席で静かに座っている美神が眉間に皺を寄せながらじっと黒板を見つめていた。


なにか難しいことでも考えてるようだ。


輝的には迷路は簡単に作れて万人受けなものだから反対意見なんてできるわけもない。


「何か悩みでもあるのか?」


「……迷路って……難しいわね……」


一瞬耳を疑った。


迷路のルールすら分からないのかと……思ってしまう。


普段は頭の良い美神だからこそ驚きだ。


「……迷路ってそんなに難しいか?」


「難しいわよ!」


美神が勢いよく飛びかかるくらいの勢いで叫んだ。


あまり感情的にならない美神だからこそ驚いて顔が固まってしまう。


その様子に美神はそこまで驚くとは思ってもいなかったので焦った様子で


「い、いやそこまででは無いけど……その……ごめん……」


「いやまさか美神がそこまでガチとは思わなかったからそこにびっくりしただけ」


そう言うと美神はほっと手を撫でおろし落ち着いた様子で輝の方を見つめながら話し始めた。


「迷路って言っても沢山あるじゃない?」


「まぁあるな……で何が言いたい?」


そう言うと美神は少し体位を変えて話し出した。


「どんな迷路作るのか気になるの!」


「……それだけで?」


正直拍子抜けだ。


予想ならもっと大きいこと考えていたと思っていたが実際はとてもしょうもないことだった。


その感情が顔にも出ていたのかプクーと頬を風船のように膨らましながら美神は


「そんなに頭の悪いこと!?」


「いや……俺の期待が強すぎただけだったよ」


「喧嘩売ってる?」


美神が久しぶりにプリプリと怒ってしまった。


最近怒ってる姿を見てなかったので少し懐かしい気持ちになるがそんなことを口を滑らして言ってしまったら最後……


「すまんすまんからかいすぎた……」


「もう……」


久しぶりに可愛らしく美神は言った。そして視線を黒板の方に移し美神は突如語り始めた。


その声はどこか過去を語るせいか少し悲しさを孕んでいる。


「……私さ……昔ずっと迷路が好きだったんだ……」


「迷路ね……」


「物事を考えてる時って現実を忘れれるから私考えることが好きなの……現実は辛いから……」


明らかに子供の頃に持つ感情なわけが無い。


だが美神の過去を知ってる輝は何故か信じれる、信じたくないのに……


本当ならたくさんの愛情を受けて育つはずだがそんなことは一言たりとも言われない。


助けれるわけが無い……過ぎてしまったことだから、でも悔しさのせいか先程からずっと握りこぶしが力を緩めることを知らないくらいがっちりと力が入ってしまっている。


「……だから迷路は好きなの……頭も使えるし面白い……だから私は好き……ごめんね……暗い話で」


「……」


なにか決意がついた。


今にも壊れてしまいそうなくらい繊細で儚い美神の本音を隠した笑顔を見て。


「え?」


勝手に動いたのだろう。……輝は美神の頭を撫でていた。


優しく割れ物を扱うくらい繊細に一つ一つの髪をガラス細工を触るように丁寧に触った。


まだ何されているのか気づいていない美神はずっとぽかんとしている。


「……あ!……ああああああああ」


やっと意味がわかったのか美神の顔が真っ赤に染った。


「あ、あんた!何ここでこんなことしてるの!バカ!」


突如美神は立ち上がり顔を隠しながら言うことだけ言い残しまるで疾風のごとく教室から出ていってしまった。


その時の美神の顔は隠していても分かるくらい真っ赤で逆に隠す方が怪しいくらい赤く染っていた。


「さすがに地雷だったのか……」


輝は改めて乙女心の難しさを理解出来た。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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