体育祭after 打ち上げ(2)
ある程度の場所でもう肉が焼き終えた時間だろう。
まだ肉が残っているテーブルがほとんどだがこの時間で既に沙也希達のテーブルには肉がひとつも残っていなかった。
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店内BGMが程よく響く、会話の妨げにならない程度の大きさなのが調度良い。
「美神様、お肉が無くなりました。そちらのものを少し借りますね」
「その聞く勇気だけは褒めるわよ・・・」
ソラは肉が無くなったため美神に乞食したり
「ひ、輝、そ、ソラさん死ぬほど食べるのだけど」
「まじか」
浩史は輝の足にしがみつき震えた声でそう伝えた。
「だから肉を少しお恵み」
「いや、ごめんそういう気分にはなれない」
捨てられた犬のような目で見られたが輝と要が食べている肉も残り僅かであり輝はまだまだ食べれるので浩史に渡すという選択肢が出てこない。
「まぁ浩史、これも人生だ」
「くそー!」
同じ席で食べていた沙也希に浩史は慰められると席に座った。
(というかソラってよく食べるんだな・・・初めてだわ)
まさかの真実をここで知った驚きの方が輝には大きい。
「ぐぬぬ、分かりました、今回は素直に引きます」
美神のいる席ではソラとの対決が終わったようだ。
結局肉は渡されることがなかったのでソラの顔がどこか悲しい顔をしている。
それでも美神はソラのそんな顔を見てもナビくことはなく無視を決め込んだ。
(強いなぁ美神も)
ソラと美神の会話を聴きながら輝は改めて美神の芯の強さに驚きを隠せない。
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「すまない少しトイレに行ってくるよ」
そう言い残すと輝は席を立ち上がった。
進行方向内にいる美神と要は足を椅子の奥に入れ輝が通れるようにしてくれた。
それらの努力もありスムーズに席から出ることに成功した輝はカッカッカッと前へ前へと歩き出した。
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トイレを終え外に出るとどうやら店外で騒ぎが起きている。
・・・なぜ今回は見に行ってしまったのだろう。
自分のトラウマを刺激するのに全然足りるものだと知っておきながら。
「は、は・・・あ、あ!」
輝は突如店の扉の前で倒れてしまった。
そして倒れた後はまるで痛みを耐えるかのようにもがき、苦痛に耐えると言わんばかりに声を上げる。
もちろん店の中だしお客さんも大量にいるから抑えたい、だが体が怖くて動けない。
息ができない。
トラウマか恐怖か。
輝の目の前に広がる景色は車同士がぶつかりあった事故だ。
普通の人ならあまり特別大きな恐怖感はわかないが・・・
輝は違った。
「が!がはぁ!は!は!は!」
輝は「ある時」から自動車事故に大きなトラウマを抱くようになってしまったのだ。
「は!はぁ!た、助け・・・て」
目の前が暗くなってきた。
呼吸も上手くできない・・・
声が出せない、体が怖くて震えっぱなしだ。
そして何よりやばいのは・・・
意識が消えてゆく・・・
意識が消えて・・・
意識が消え・・・
意識が・・・
意識・・・
意・・・
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ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




