表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/178

喧嘩時々みぞおち

テストが終わり早1週間


ほとんどのみんなはテストのことを忘れ通常授業に真剣に取り組んでいる。


しかし美神は永遠に予習か復習かは知らないが机に向かってペンを走らせている。


その様子に輝は若干努力のし過ぎで倒れないかが心配だが顔はあまり変わっていないし辺に関わってキレられたら嫌なので話しかけることはしない。


変に関わらないためにも気にしてませんよ感を出すためにゲームを続けているのが今の現状だ。


しかし異変は起きてしまった。


「ごほっ!」


「大丈夫か?」


美神がついに体にがたをむかえたのかそのことはよく分からない。


しかし顔を見ると調子が悪そうだ。


「おい、少し保健室に行くぞ」


「大丈夫、こんなことくらいで」


「お前が目の前でボロボロになるのは夢見悪い・・・行くぞ」


もちろんこのことは嘘だ。


本当は夢なんて見ても良いものは見ない。


美神のことが単純に心配なだけ。


輝は即行動に移し美神の手を引っ張った。


「行くぞ」


「大丈夫だから、輝に心配される程では無い」


「目の前で苦しんでる人がいたら嫌なんだよ、慈善事業みたいなものだ、早く行くぞ」


いつものあっけらかんな雰囲気が抜け出してとても真剣な眼差しで美神を見つめている。


(こいつは見ていなくちゃいけないな、いつ死ぬかわからん)


そう思うと輝は美神の手を半ば強引に引っ張り保健室に美神を向かわせた。


その時の美神の顔は悔しさや少しポカーンとしている顔になっているのが少し面白かったのは内緒だ。


「すみません、橘輝と氷川美神です、美神寝かしてあげたいのですが」


「わかりましたとりあえず中に入って」


まだ保健室の先生は喉がガラガラだ。


というかいつまでガラガラなんだと思いつつ中に美神を入れると保健室の先生は美神を1回椅子に座らせた。


輝はとりあえずもうこれでいっかと思い帰ろうとするが美神に手を止められた。


「ごめん、ちょっと待ってて」


「……なんでだ」


「とりあえずよ」


美神の考えが全く分からないのがかなり不気味だが今は美神の意思を尊重し黙った。


輝は少しこの空間にいる違和感を覚えながらずっと美神の手を握りながら立っている。


本音を言うと早く帰りたいがあるがさすがに体を壊している人の願いを無視するほど人間は腐っては無い。


「うーん、まぁ普通に疲れからね」


「あの先生声ガラガラすぎて聞こえにくいっす」


声がガラガラゆえ何言ってるのかが全く聞こえない。


そのことは美神の顔からも書いているようなものだ。


保健室の先生はそのことを聞くと鼻で笑いながら続けた。


「とりあえず原因は疲れ、休みなさいね」


「は、はい」


美神は少しやるせなさそうな顔をしながら頷く。


疲れの原因は輝にはちゃんとわかっている。


隣を見ると毎日休み時間も放課後も勉強に励んでいるのが100%原因だ。


その様子だと絶対家でもだろう。


「とりあえず寝なさい、分かりましたか?」


「はい……」


美神の顔が若干曇っている。


「ほんじゃ俺は教室に戻るよ」


そう言い残すと輝は保健室から去った。


去り際美神の顔をちらっと見ると少し寂しさや恥ずかしさを含んでいる目なので少し可哀想な感じはあるがさすがにずっとはいけないので早めに行くことにしたのだ。


「…授業終わったらまた来るから」


さすがに美神の顔が可哀想すぎたのでこのことだけは言い残し保健室から去った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


保健室から出て急いで教室に向かっている最中ある男3人組に話しかけられた。


「お前が橘か、この授業が終わったら体育館裏に来い」


「中々ベタな果たし状だね」


輝は過去にあることがあったせいか恐怖の感覚がかなり一般からかけ離れている。


ヤンキーの喧嘩程度に怖がることは今までにない。


だがここまでドラマでしか見たことのないようなベタな事案は生きてて1度もない。


少し物珍しさの嬉しさもあるがやはり1番多いのは面倒といった気持ちだ。


「というか何で俺と」


「お前と氷川さんが話している理由を聞くためだ」


「はぁ、美神は友達だから話してる・・・というわけで」


とりあえず簡単にすまそうとしたが逆にこのことがヤンキーの気持ちを刺激したらしい。


ヤンキーが輝の首根っこを思いっきり掴み壁に押付けた。


「てめぇ喧嘩売ってるのか!」


「喧嘩は売ってない、とりあえず授業行きたいから早く離して」


「ちっ!わかった、絶対来いよ」


そう言い残すとまだ授業中なのに下足へと向かった。


よくよく顔を見てみると不良で名高い人間なのを思い出した。


名前は芥新(あくたしん)


ヤンキーと名高い人間だ。


その事があったせいかそれともいつものせいか寝はしなかったものの授業に全く集中できなかった。


ずっと上の空の気分で正直気持ち悪い方が強い。


一瞬行かないでおこうかと戸惑ったが結局教室に侵入されれば面倒なので行くことにした。


「はぁ〜」


「珍しく悩んでるねぇ輝」


「なんだ要か」


面倒くさくなり机に体を落としている時に要が来てくれた。


前までならただただ面倒だったが今はとても落ち着く。


その様子を見たのか沙也希も来てくれた。


2人とも中学からなんなら要とは幼なじみなので輝の異変にはすぐに気づいたようだ。


「大丈夫か?さっきから輝変だぞ」


「あぁ、変かもな・・・とりあえず用あるから行ってくるわ」


輝は少し無愛想になってしまったのを悔いているが今は進むしかない。


面倒事を避けるためとはいえ美神との約束を破るのは気が引けるが天秤にかけた時1番重くなるのは新との事だ。


そう考えた輝は休み時間が始まりすぐ教室から出て行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


体育館裏に行くとやはり居る。


新と取り巻き2人。


「用事ってなんだ?」


ヤンキー程度ならそこまで恐れることは無いと考えてるため少し調子に乗ったような話し方になっている。


それが気に触ったのか新は壁を蹴り輝に近づいた。


顔を見るとかなりキレているのが鈍い輝にも気づく。


「お前は俺に喧嘩を売りに来たのか?」


「残念、売りに来てもないし買いに来てもない」


「こいつぅ!」


腕をポキポキと鳴らし明らかキレている風貌を醸し出している。


さすがにやばいと輝でも気づくくらいには。


「で何をしたい?俺は早く行かないといけないんだ」


「お前はァ!」


ボン!


そう言うと新は輝の顔を思いっきり殴った。


不意打ちだったせいか少し体が怯んだが倒れはしない。


「中々だな・・・でもこれバレたらやばいんじゃない?」


「バレないようにするために体育館裏に呼び出したんだよ」


「へぇー」


「ちっ」


殴ってもビビるのだと思っていたのだが全くビビるおろか余裕の風貌をさらに強めてしまった輝の態度が油となったのだろう。


ボン!


「がはっ!」


次はみぞおちを殴られた。


さすがにそこはかなり痛いので少し怯んだがまだ新の満足するようにはなっていない。


しかし輝の顔はまだ余裕を持っている。


余裕がありすぎるのかそれともこの乱雑な攻撃のせいか顔に自然と笑みが浮かんだ。


「何がおかしい!?」


「ははは、さぁ」


「おいお前ら!こいつを抑えろ!」


新がそう言うと取り巻き2人は威勢の良い声を上げ輝が動けなくなるように手をがっちりと2人で拘束した。


さすがの輝でもこれはやばいと思ったがまだなんとかなる気がする。


今までの勘で当たるかは知らないが。


「ここからはもう生意気なこと言えないくらいボコボコにしてやるよ」


「これは若干やばいな」


「ははは遅い遅い!」


新がとても喜んでいる様子になった。


さっきまでの怒りの表情が一気に笑みに変わるのはすごいと言うしかない。


「じゃあここからサンドバックな」


そう言うと思いっきり輝の顔や腹を殴りまくった。


ボコ!


体を殴る打撃音が体育館裏を包む。


体育館裏は滅多に人が来ない上に外部からの声があまり聞こえない。


イコール助けがゼロに近いという訳だ。


「はぁはぁはぁはぁ、理由教えろ」


「だーから単純に美神と友達だからだよ」


「あの一匹女王様とどうすれば・・・」


ここまで殴られて聞きたいことのしょうもなさに大きな呆れが多い。


会った時に言われたが本当にそれのために殴られ蹴られをされたのは悔しい。


だが新は大きな間違いをしている。


「美神は一匹女王様だ、でもあいつはそれ以上に面白いやつだ、変に偶像化させるな、その時点でお前とあいつが話すことは不可能に近い」


それが新たな攻撃の着火剤になるのを知っているがこうでも言わないときっと変な勘違いを持ち美神に迷惑をかけてしまうのが目に見えている。


そのためあえて喧嘩になるような言葉になり兼ねんことを言ったのだ。


「お前はァ!」


予想通りキレて輝を今度は激しく殴りまくった。


さっきまでは理性のある攻撃だったが今はただの獣のような殴り方だ。


「がはっ!」


輝の悲痛な声が当たりを響かせるがもちろん誰にも聞こえない。


聞こえるわけが無い。


しかし現実は無情にも続く。


1分くらい殴られると拳が止んだ。


拳が止むとまた尋問タイムに入る。


「もういっぺん言ってみろ、次は頭を踏む」


「はぁはぁはぁはぁ・・・だから言ってるだろ・・・じゃあこの際本音を言うよ、お前たちが変な誤解を産まぬようにあれは言ったんだ、変な誤解されてただでさえしんどそうな美神の負担を与えたくな・・・」


輝が言い切る前にまた新の鋭いパンチが飛んできた。


その打撃のせいか少し立つのに間が空いた。


立ち上がろうとする間に新は蹴りを輝の顎に直撃だ。


それらの攻撃で完全にノックダウンしかけだがまだ立てるくらいには体力はある。


「はぁはぁはぁはぁ、お前達のことを通報するつもりなんてサラサラない、でも変な誤解をして美神に迷惑を加えないで欲しい、それが無理なら俺の体なんて!」


「輝が殴られるのをタダで見とくとでも」


「「「え!?」」」


どこかからか声が聞こえた。


輝にとっては馴染み深い声で不良3人組からしたら偶像化しつつある人の声だ。


輝は声のする方を見るとやはり予想通りの人が立っていた。


「輝、私のことは心配するくせに自分の体は無茶できるのね」


「美神・・・」


輝はそう言葉を漏らすと美神の後にさらに人が来た。


「お前ら!ここで何をしている!」


「全員その場で止まれ!」


数人の先生が急いで輝の奥にいる不良3人組を拘束した。


それらの行動が美神が来てから10秒未満で行われたので痛みよりも驚きの方が強い。


「は、はえぇ」


「輝、大丈夫?え、輝!輝!ひか・・・」


安堵のせいか意識が自然と遠くなってしまった。


ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω•˘ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ