体育祭編 借り物競争(2)
体調の都合上これから短めの話が続くと思います
「『守りたくなる人』って!」
つい輝は「俺は王子様ではねぇよ!」とツッコミを入れてしまいそうなお題だ。
先程まで感じていた夏の暑さはここにはない。
だが引き当ててしまった以上きちんとクリアしなければ人としていけない。
「・・・くそ!やってやる!」
輝は紙を握りながら校舎の方へと足を運んだ。
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「とりあえずマシにはなったけど・・・そこまでして出たいの?借り物競争」
「はい・・・」
保健室で先程まで寝ていた美神は突如起き上がり保健室から出ていこうとしていた。
しかし1度熱中症になってしまえばかなり危険になる。
そのため中々保健室の先生は今も尚美神の出場を渋っているのだ。
だが美神自身はそんなこと関係なしに出る気しかないくらいの気持ちで話している。
「・・・でもね・・・危険なのよ・・・またなってしまったら」
「そこをお願いします!」
「・・・はぁ・・・こ
そう言うと保健室の先生は紙を取りだし何かを書き始めた。
美神はその様子を見ているがペンが物凄い速さで動かされているため何と書いているのか分からない。
数秒後ついにペンを走らせていた手が止まり美神に書いていた紙を渡した。
その内容は・・・
「これって・・・」
「そう、とりあえずこの条件を守れるのなら許可をします」
その内容とは
1絶対に無理をしないこと
2できる限り日差しにいる時は激しい運動をしない
3水を飲む
と書かれていた。
内容は至ってシンプルで誰でもクリア可能なものしかない。
「あ、ありがとうございます!」
「だから頑張ってね・・・」
美神はそう言い残すと保健室を出ていった。
保健室の先生は美神が出て行く前、これからのことを祝福してくれるかのような顔で美神を送ってくれた。
ここまでされたのならきちんとできる範囲で頑張るしかほかならない。
(ありがとうございます、先生)
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美神が校舎からでた時は辺りの日がとても眩しく先程まで日陰に居た美神には目に毒なくらい眩しかった。
それに先程まで涼しい保健室にいたせいか外の暑さに中々慣れないがテントに着くまでの辛抱だと思い歩き始めた。
外が暑い、風が来ない、そして影がない。
それれらが美神の体には大きく影響してしまっている。
だがこの疲れからか熱中症からかのしんどさはこれから起きることにより掻き消されてしまう。
「・・・美神!はぁはぁはぁ・・・熱中症は大丈夫か?」
「・・・え」
テントに1番近い入口に輝が日差しをバックに汗を大量にかきながら現れた。
その姿はどこか魔物から助けに来た王子様のような、だが王子様みたいに華麗で綺麗ではなく、泥臭く何度も挫折を経験し進化している、そういったオーラが感じさせられる。
「・・・大丈夫なら少し着いてきて欲しい」
「・・・え!」
今の美神には2つの感情がある。
輝が言わなくても美神にはわかってしまっている。
(これってまさか)
時刻的にも今は借り物競争の時間、そして目の前には輝が居る。
「ねぇ、まさかもう借り物競争なの?」
「そうだよ」
予測通り輝は借り物競争のためここに来ていた。
だが美神はこれによりふたつの不安が脳裏を過ぎってしまった。
ひとつは先程の障害物走と同じくくそぼけの醜態を晒す。
2つ目は・・・本当にそういう意味だと言うことだ・・・
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




