体育祭編 借り物競争編
「さぁ!この体育祭の裏のメインディッシュ!毎年毎年カップルができるでお馴染みの!借り物競争が始まった!」
明らかに実況の声が先程よりもテンションがツーランク上がったかのような盛り上がり方だ。
(あの時教えてくれよこれが裏のメインディッシュってことをさ美神)
輝は今更ながら借り物競争を選んだ自分を激しく後悔した、しかしもう後悔しても遅く。
「では選手入場!」
ついに入場してしまった、周りを見ると明らかに輝とオーラが違う。
この中では輝は嫌でも浮いてしまうくらい周りがイケメンしかいない。
(・・・ちくしょう・・・これだと地獄じゃねぇか・・・)
周りとのギャップ差にもう既に心が折れかけだが輝
は何とか立ち上がり歩き出して見せた。
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「この借り物競争は学校中から回収したお題箱にある内容を我々体育祭運営委員会が一つ一つチェックをしその中で良かったものたちを採用しております」
借り物についての説明を今本部から放送されているが輝はそんな説明が頭に入らないほど緊張してしまっている。
障害物競走からとてつもない緊張を起こしたのに裏のメインディッシュ、メインディッシュより人気のある借り物競争になれば障害物競走以上に人が集中して見ている。
そうなれば嫌でも輝にスポットライトが当たる機会が多くなってしまう、ただでさえも周りは陽キャしかいないこの空間で変に目立ってしまえばこれからの学校生活のお先が見えなくなってしまう。
これらのことを考えてしまい今の輝は脳が全く働いていないのだ。
「・・・終わった・・・」
まだ始まってもいないが既に終わりを確信してしまった。
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「では!第1走者は!1年男子からだ!」
「・・・いやマジかよ!」
先程までの競技は最初は1年の女子からだった、しかし今回何故か1番が男子に入れ替わってしまっている。
まだ時間があるから心の準備をしようと思っていた輝の計算はこの一言で崩れ落ちてしまった。
(終わった・・・本格的に・・・助けて)
周りの1番走者達が続々とレーンに並んで行ったため輝も最後に並ぶのは嫌なのでどさくさに紛れこみ並ぶことに成功した。
「位置について!」
真夏の太陽がこの大地を温めるかのように暑い。
先程までの輝はこの太陽の眩しさ、気温の暑さに嘆いていたが今の輝にはそれらを考える余裕すらない。
あるものはただこの競技が波風立てることなく終わること、ただそれを願いスタートダッシュの用意を始めた。
「よーい」
スタートの合図をする人がもうピストルを天を撃つと言わんばかりに空にあげ耳を何も持っていない手と天高くあげている腕を使い防ぎ始めた。
これが意味することはもう時間は無い。
「ドン!」
バン!
電子ピストルとはいえ音はかなりうるさい。
乾いた電子銃声が辺りに響き渡るとレーンに並んでいる者はほぼ同時タイミングで足を前へと動き始めた。
(お願いだ!変なお題だけは辞めてくれ!)
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借り物競争はあまりスピードなどは要らないがどうしても人が隣でコース上を走っているとつい追い抜きたくなるのは人間の性。
輝はスピードを上げ見事1番にお題がある机に辿り着いた。
(うわ!何だこの量は)
輝達学生がいつも授業で使っている机いっぱいに白い2つ折りにされている紙が沢山置いている。
この圧巻の量に輝は少し目眩を起こしそうになったがとりあえず紙を取らんことには何も始まらない。
(もうここまで来たらどうにでもなれ!)
輝はそう思い机に数え切れないほどある紙の1枚を取った。
(こい!普通の内容!)
そして輝が取った2つ折りの紙を開けるとそこには・・・
(こ、この内容は!)
その内容は輝にとっては残酷と言わざるを得ないお題であった。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




