体育祭編 気になるアノ子
「続いては!・・・」
体育祭は何も詰まることなく続いた。
みんなの応援、熱いバトル。
全て全てが青春と言うにふさわしいものばかりで見ている方もその熱さが体に伝わってくるくらい熱狂的なものだった。
しかし輝には何か心に引っかかっていることがある。
(・・・美神大丈夫なのか・・・)
どうしても美神のことが頭から離れない。
今の輝は表面上は普通を保ってはいるものの実際は何も頭が働いていない。
(・・・まずい・・・バレないようにするため適当に話してるけどさすがにバレそうだよなぁ)
そんなことを思いながら輝はただただ時間を過ごしていた。
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「ねぇ輝・・・ちょっとこっち来て」
輝の後ろをぽんぽんと軽く叩かれ、後ろを見てみると。
「要?まぁ特にまぁ用という用はないからいいよ」
要が珍しく真剣な表情や声で輝を呼んだ。
その表情に少し驚きがあるため今回はあまり要を茶化さず素直に要の指示通り従った。
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要に連れられた場所は近くにテントはあるもののほとんど人が居ないプラス生徒の親もほとんど居ない。
要にとっては絶好のポイントだろう。
そのテント内の椅子に隣り合わせて座ると要が話を始めてきた。
「輝・・・美神が保健室に行ってからずっと変だよね?」
「・・・そ。そうかな」
いきなり図星を突かれたため声が上ずったり少し噛んでしまった。
要はこの学校で誰よりも輝と多くの時を過ごしているためどれが嘘でどれが本当かくらいわかっている。
そのため先程の輝が嘘を言っているのは一瞬でわかった。
「・・・輝って嘘が下手ね〜」
「・・・悪かったよ」
要が輝の嘘の下手さに笑いながら話すと輝は若干拗ねた言い方で答えた。
そんな輝に要は「あははごめんごめん」とまた火に油を注ぎそうになったが次はさすがに輝も反抗はしなくなってきた。
少しの間二人の関係では柄にもない気まずい沈黙が流れると次は輝から話が始まる。
「で、結局何を言いたいんだ?」
「あ、忘れてたー、美神のことが気になるの?」
次はオブラートに包むことなく輝に本音をぶちまけてみた。
もちろん輝は最初こそ焦りを見せていたが要の真面目な目を見ると輝も自然と落ち着きを取り戻してきた。
それでもまだ顔は赤いが・・・と伝えたいもののそんなことを伝えたら輝が何を言うか分からないため自然に黙っておく。
「・・・そりゃ大事な友達だから気になるよ・・・それに・・・」
「それに〜?」
輝の一言に意味深な意味になりそうな一言。
「それに」は好奇心旺盛な要には気にならないわけが無い。
もちろん要は輝にしつこく「なんでなんで?」と聞いたがもちろん輝が答えてくれるわけが無い。
「あー、完全にミスったわ〜」
「ねぇねぇねぇ!」
要はどうしても意味を聞きたいためか輝の頬をつんつん突いたり体を揺らしてみるもの全く情報を吐く気がしない。
「ちぇー・・・なら言うまで続けてやる!」
「ちくしょう!面倒だなぁー」
その後要の執拗な尋問は長く続いたが何とか隠すべきものは隠し通せた。
そのため要は悔しそうな顔で
「私の負けだ・・・」
と拳を握っていた。
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「では!続いては借り物競走です!」
遂に始まったこの学校の裏のメインディッシュ!
毎年毎年この競走でカップルができると言われている!
「・・・始まったか・・・」
輝は周りの雰囲気を見て少しこの競技を選んだことを後悔した。
(毎年毎年カップルができるって言ってくれよあの時に・・・なぁ美神・・・)
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




