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体育祭編 午後の部スタート

お昼休みの時間が終わりテントの中に生徒が全員戻ってきて午後の部スタートといった所まで来ている。


輝達もテント内で午後の部スタートに備え体力を使わないよう椅子で座りながら待っている。


午後になったおかげか辺りの日差しもどんどん眩しくなっていき午前の時に比べ暑さも高い。


さすがに暑すぎせいかテンションも余り乗らない。


それはみんなも同じらしく午前の部のテンションが徐々に今下がりつつある。


テント内の様子も少しお疲れムードが漂い始めてきた。


「……まぁこれだけ暑いとしんどいよな」


輝はそう呟くと水筒の水を1杯飲んだ。


保冷されているためかとても冷たい水が乾ききった喉に酷くしみる。


「……というか美神……大丈夫か?」


輝の隣に座っている美神の様子が先程からどうかおかしい。


とても静かだ。


「……あ、まさかだと思うけどさっきの件?」


こういう時は大抵美神が何か不満を持っている時に多い行動のひとつだと言うことはわかっている。


そのため輝は確信していたが一応答え合わせのため聞いてみた。


美神は最初はポカンとしていたがハッとした後頷き始めた。


「そうよ、さっきのせい」


「……そうか……すまなかった」


その時少し美神の様子がおかしかった。


いつもの美神はあまり遠くを見たりポカンとしたりなどはしないような人だ。


しかし今何故かずっとどこか遠くを見ているような顔での応答だったためかどこか怪しい。


(……なんか美神がおかしいな)


そう思うと輝はまず美神の顔をじっと見つめた。


「な、何見てるのよ!」


じっと顔を見られていたことに気づいた美神は狂犬のように輝に言葉で噛み付いてきた。


かなり集中して見ていたせいか美神の声どころか周りの声すらも届かなかった。


そして輝はついに……


「……美神……お前まさか……」


ついにわかった。


なぜ先程から美神がどこか様子がおかしかったのか。


その理由は……


「美神お前まさか熱中症じゃないか?」


「……え?」


顔をよく見ると火照りすぎた顔。


先程の障害物走の緊張や焦りなどがあったとしてもそれを上回るほどの顔の火照り。


輝がテントについて数分後に美神は来たので輝より外にいる時間は短いがそんな輝を超えるどころか周りの人の中で一番美神は今汗をかいている。


そして最後、これが美神熱中症説の決定打となった、美神は椅子に座っているがそれでも何故かフラフラと体が揺れている、その行動で今の様子を見て美神が熱中症だとわかった。


「……美神、有無は聞かん……行くぞ」


輝はそう言うと美神の手を連れ後者の方へ向かった。


「……要……美神を保健室に連れていく」


「……どうしたの……あ、そういう事ね」


輝は近くにいた要に行動だけを伝えると最初は焦っている様子だったが美神の様態を見せるとすぐに察したらしく「ここは任せとけ」と言わんばかりのサムズアップを掲げた。


「じゃ、任せたよ」


そう言うと輝は美神のことをおぶり校舎の方へと歩き出した。


いつもの美神ならここでキャンキャンと叫んでいたが今の美神は何も言わない、だがこれが返って輝の中では焦りになってしまった。


(まずいな……これだと美神がかなりまずい)


輝の今の状態を見ている人から何か言われているような気がするが今の一刻を争う状態の輝には何も聞こえない。


ただただ輝は急いで、そして美神に負荷を与えず保健室へと向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「とりあえず後は任せて戻って」


声がガラガラな保健室の先生に美神の様態を見せると目にも止まらぬ早業と言えば少し嘘になるがそれでも手早に熱中症の美神に最適解の処置を行った。


幸い美神はまだ軽度な熱中症なためすぐに対処はできそうだがそれでも今はこのとても寒いとすら感じる保健室で過ごさないといけない。


「あなたが早かったおかげで彼女は軽度の熱中症で済みました、本当に有難うございます!」


「あ、そ。そうなんですか」


保健室の先生から輝はその行動の速さを褒められたが輝は当たり前のことをしただけなのであまりそこまでとは思っていない。


そんなこんながすぎ。


今できる全ての処置が終わると先程から見るしかできなかった輝に戻っても良いと伝えてくれた。


「分かりました……美神をよろしくお願いします」


輝はそう言い残すと特に未練などは無いので足早に保健室を去った。



ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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