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体育祭編 疑惑と疑念の生徒会(2)

「え?」


美神にはその一言しか生まれなかった。


だがまだ確実に決まったという証拠がない。


「・・・輝・・・」


「ほら!お前の知っていた橘輝はただのクズなんだ!」


男は勝ちを確信したのか輝を蔑む言葉が息を吐くように出てくる。


そんな男の態度に何も輝の冤罪を証明することが出来ない美神は自身の無力さに激しい悔しさを覚えた。


その間こいしの顔はずっと俯いておりその目は暗闇に染まりつつある。


だが暗闇と言ったが涙のせいか少し明るく見える目にもなっている。


このままだと輝の負けが確信だ。


美神は輝のことを信じている、初めての友達として、自身の人生を変えてくれている人を守りたい・・・


その想いが天に届いたのかはたまた偶然なのか・・・


「俺がクズだって?」


呆然としている美神の後ろから誰かが来た。


その声は今声には出していなかったが心の底から待っていた人である。


「輝・・・」


輝だ。


ズボンのポケットに手を入れてダルそうな雰囲気を出しながら美神の元に近づいた。


輝が来たとわかると男の顔が強ばってきた。


こいしの顔も来た時申し訳なさそうな顔に変わる。


その時美神はどこか確信した、こいしはもしかすれば・・・


「な、なんでここに!」


「俺に何か用かな?」


男は目に見えるくらい焦っており初対面の時の冷静さや理詰めで攻めてくるあの影はどこにもない。


今の男は焦りに焦って暑さの汗か焦りの汗かはたまた両方か分からない汗で身体中がビショビショだ。


そんな男に対比するかのように輝は冷静な表情で攻めていく。


「少し話は聞いてたけど・・・まずひとつ証拠を見せて欲しい・・・美神に見せたメッセージを見せろ」


「ま、待ってくれ!」


どうやら輝は少し前からこの辺にいたらしく黙ってこの話を聞いていたようだ。


そのため証拠の件も全て知っていたらしく男の顔から余裕というものが消え今は焦りのせいか頭が働いていないらしく不利になることしか話していない。


「ほら、早く・・・」


「ぐっ!くぅ!」


「輝!」

「橘君!」


焦りと不利な状態によるストレスが限界を超えついに超えてはいけない一線を男は超えてしまった。


輝は男からのパンチが頬に当たり倒れそうになったが足を踏ん張り耐え抜く。


殴って数秒経った頃合には男の顔はもう余裕などなく青く染っている、そんな男とは対照的に輝は余裕の笑みで殴られた時に切ってしまった口から垂れている血を静かに腕で拭いた。


辺りは隣の狂騒がまるで嘘かのように静かだ。


そんな緊張しきって暑さなど感じないどころか寒く感じるこの現状に終止符を打つため輝は行動を始めた。


「・・・早く証拠を見せてくれ」


「く、くそ!うるさいぞ!」


「そうか・・・なら・・・なぜこいしの頬に薄いけど殴った跡が見えるんだ?」


「!?」


輝が唐突に話を変えた、そう、輝はこいしを今日見つけた時うっすらとだが頬に拳が当たったような跡が見えていたのだ。


たまたまでつくような物では無いのはわかっている事だ、ということは誰かに殴られたということにな。


こいしの話をすると男の顔は更に青くなりこいしは顔を俯かせた。


その間美神はずっと驚くべきことが多すぎたせいか脳がきちんと情報を処理できていなく無言で立ちつくしている。


「・・・」


「さぁそこのところどうなんだ?」


こいしは俯いたまま黙ったままだ。


だがその瞳は少し水分があるのかかなり眩しく光っている。


まるで涙がこぼれおちそうな目だ。


その時輝は確信した、何かこいしは大きな事実を隠しているということを。


そのため輝はある策を取ってみることにした。


「・・・こいし・・・俺がもし脅しのような真似をしたのならこの場で土下座をしてでも謝る!」


策とはこいしが嘘を付きにくいというこいしの雰囲気を使って確かめる作戦だ。


割りと賭けになるがやってみる価値はある。


人としての倫理観は少し終わったなと自身で感じてしまったのは少し辛いが・・・


「え、い、いや・・・その・・・あの」


「こいしさんはそんなもので慰められるものか!」


予測通りこいしは焦ってしまっている。


だが男は突然調子に乗り出したのかまたあの時の余裕を取り戻してきた。


(本当に呆れるよ・・・この男は・・・)


「すまない!」


「え・・・そ、その・・・」


「片原さん・・・」


何か隠している、だがこいしも簡単にそのことをばらさない。


そのため話が全く進まず平行線のまま進んでいた時に美神が行動を始めた。


美神の顔は真剣な眼差しなためなにかガツンと言いそうなオーラがする。


「片原さん!何かを隠しているのは別にいいわ・・・人間は誰しも秘密のひとつやふたつはあるもの・・・でも本当の気持ちを隠すのは辛いでしょ!」


「うぅ・・・」


美神が久しぶりに熱くなっている。


あまり最近見なかった美神の叫び、その声はまるで大事な真相を隠しているこいしの心のドアをドンドンと激しく叩くような感じだ。


「私たちは友達でしょ・・・私の本当の気持ちも今この場でさらけ出せる・・・だって私はこいしのことを友達だと思っているわ・・・だからお願い・・・」


少し断りにくい頼み方だが美神は前から手段が時々荒くなることが節々に感じることがある。


だがこいしはこの質問の内容ではなく訴えかける声に何か感銘を受けたらしく顔が一気に晴れた。


まるで曇り空が一気に晴れになるような感じだ。


「ごめん・・・ごめんなさい、みんな・・・私・・・わた・・・私・・・私は・・・この人に・・・」


「やめろ・・・やめろ!やめろー!」


「きゃっ!」


「お前!」


男は更に超えてはいけない一線を超えてしまった。


人として、輝と同じ男として・・・どうしても輝は許せない気持ちでいっぱいだ。


彼がしたことは・・・


こいしを殴ったのだ。


先程まであった疑問が一気に確信に変わった。


男がこいしの頬を思いっきりグーで殴るとこいしは不意打ちなのもあり倒れそうになった、しかし輝が殴られた瞬間走ったのもあり驚きや痛みで倒れそうになったこいしの肩を持つことが出来た。


「・・・疑問が確信に変わった・・・」


この時輝には確かに2つ大きな感情が湧き出てきた。


そのふたつの感情とは・・・

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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