成長!
「輝遅かったじゃん!」
「そうだぞ俺達もう頼んで届いたんだぞ」
輝と沙也希、美神とこいしは席に近づくと戻ってくる姿を察知した浩史と要が少し不機嫌そうな声で話しかけてきた。
「すまん、少し色々あって」
「まぁ別にいいけどね」
輝がどうにか取り繕うとしたが要は輝が思っているほど深く考えてなかったらしく普通に許しを得れた。
「あれ?このこだぁれ?」
「ひっ!?」
要がこいしの存在に気づいたらしくこいしのいる美神と輝の後ろの真ん中を指でさす。
指した瞬間こいしは多少成長したとはいえまだ対人慣れはできていない。
そのおかげでこいしはガタガタ震えながら怯えている。
「あ、この子が美神の言ってたこいしちゃんね」
「あ、は、はい!」
要が何かを思い出したかのようにハッとした様子で話した。
どうやら美神は要にこいしのことを話していたらしく見て一発で気づいたようだ。
要は人のことは中々忘れないためその特性が生かされたのだろう。
「要、こいしも入れて食べないか?」
「私は全然OK!」
「俺もいいよ」
「ありがとう」
要は多分OKだと思っていたが極度の女性慣れができていない浩史が果たしてOKするのか分からなかったが存外普通の対応だった。
OKと言ってもとてもキョドっているような光景が目に浮かんだがその逆なのが浩史の成長なのだろう。
みんなの了承により無事この場でこいしも加わることが出来こいしは不安半分、喜び半分の気分で当たりを見回した。
こいしの見た景色は今まで憧れていた「青春」の何相応しい景色だ。
とても煌びやかであり同時にとても儚い思い出になりそうな景色だ。
「あ、ありがとうご、ございます!」
こいし、人生で初めての友達とのフードコートでの食事。
フードコートは両親とは何度か行っているこいしだが今まで友達を作らなかったのもあり初めての友達でフードコート体験はとても不安だ。
「じゃあとにかく荷物とか置いて置いて、私と浩史は、食べてるから」
「せっかく来たんだし色々なもの頼んで来てな」
要に言われるがまま4人は空いている席に荷物だけ置くと2人の助言を聞きフードコート内で頼む用意を始めた。
2人はきちんと宣言通りに頼んで少し時間が経った雰囲気がする料理を再び食べ始めた。
「じゃあ行くか...沙也希は何食べるんだ?」
「俺は...ラーメン」
「本当にラーメン好きだよな、あはは」
輝と沙也希は食べ物の話題で盛り上がっている、だがこの時の美神とこいしに会話はなかった。
2人とも同じ特徴としてコミュ障がある、美神はこいしとの会話を輝経由で今までしてきたのもありこういう一般会話は全くこいしとはしたことが無い。
唯一美神がこいしと輝経由を使わないでで話すのは事務連絡などのことしかない。
そのため美神とこいしは超がつくほど気まずいのだ。
「え、えと...何か食べる?」
「ふぇ!え、えと!...え、えと」
先に勇気を出して話しかけたのは美神だった。
しかし突然すぎたのもありこいしがとてもキョドっていて目がぐるぐる回るように見えるくらいキョドっている。
その様子に少し美神も焦ってしまう。
「あの、その...」
「えとえと...クレープ!」
「え」
こいしが振り絞って出した答えはクレープだった。
確かにこいしの視線の先にはオシャレな見た目のクレープ屋が1軒ある。
その店は前輝と来た時に気になっていた店のひとつなため美神としても都合が良い。
「良いね、私もクレープにするわ...行きましょう」
「は、はい!」
美神が決めるとこいしは小さな笑みを浮かべクレープ屋に歩いて行った。
「...成長したなぁ...2人とも」
「気持ち悪いぞ輝」
そんな会話をずっと聞いていた輝は美神とこいしの成長に親のような気分で見てしまっていた。
2人とも昔は癖がとても多い人物だったが今は人並みになってきた、その事実がかなり嬉しい。
(良い意味で進化しているなぁ)
「で、結局何にする?輝」
「ラーメン」
「じゃあ行こっか」
結局輝は適当にラーメンと言った結果、近くにあったラーメンを食べることになった。
だがもちろんのことながらとても美味しい、店の見た目も黒主体など美味い店の良いところ全取りしたような感じなため期待していたが期待以上の美味しさだった。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




