突然時々出会い
クリス松村ですわ!
ぼっちだがな!
「俺は...」
「あれ?た、橘君にひ、ひ、氷川さん?」
「「え!?」」
声のした後ろを見るとまず最初に長くもなければ短くもない程よい長さの黒髪が見えた。
その後声の主のトレンドマークな眼鏡のレンズで視界に輝きが灯された。
「こいし?」
「た、橘君...ここで何してるの?」
来たのは制服姿でなにか買い物をした後のこいしだったのだ。
輝と美神はまさかの出会いに驚きを隠せない、もちろんこいしもだ。
「...いや、俺たちは...まぁ色々とあるからここは少し聞かないでくれ...」
「た、橘君がそう言うのなら...信じる、でもひとつ聞いていい?」
急にこいしの雰囲気が変わった。
先程までの焦りがあった態度から一変重要なことを聞き出すくらい真剣な眼差しが輝を見つめる。
輝は毎日こいしと朝はゲームをしていた。
だが殺人未遂事件に巻き込まれて以降学校に行けてなくそして連絡もしていない。
そのため聞きたいことは何となく予測がついてきた。
「...あれだろなんで数日間こいしの元に行けなかったのか...ってこと?」
「うん...あと生徒会の件...」
「あ、やべ!」
完全に忘れていた。
事件などが重なり完全に生徒会メンバーの件は記憶の中から消されていたのだ。
思い出した瞬間冷房が効いているせいなのかそれとも別の感情、恐怖という感情のせいなのか背筋が凍ってくる。
「で、ど、どうなったの?」
「入ることにしたよ...生徒会」
「...へ...」
輝の予想は入らないという予想だと思っていた。
でも現実は入るという、良い意味で予想が裏切られたおかげなのか声が出ない。
美神の方を見ると美神は普通の顔だ。
輝の予想は最初から美神は知っていたのであろう、こいしが委員会に入るということは。
「え、い、いけませんでしたか!」
「いや全然、むしろありがとう...」
輝の顔が怖かったのかこいしは急いで謝り輝も輝で誤解を解くために謝るという状態が生まれた。
「ありがとう...入ってくれて...」
「...うぅ、分かりました...でも一つだけ聞いてよろしいですか?」
「そこまで改めなくても...どうぞ」
先程までの緊張が今でも残っているらしくかなり改めて輝の目の前で真剣な眼差しで聞いてきた。
「休んでいた、理由を教えてください」
「...驚くなよ...刺された...」
「!?...やっぱり本当だったのですね...嘘だと思っていましたが本当だったって...」
相当ショックだったのか一瞬顔を大きく強ばらせその後はかなり顔から悲壮感が漂い始めそうな表情になった。
話的にも知ってはいたが嘘だと思っていたようで。事実だと知ってしまった今のショックは計り知れないだろう。
そんなこいしを慰めるしか今輝にはできない
「ご、ごめん!大丈夫だしそこまで重症じゃなかったから!」
「うぅ!でも!輝が巻き込まれていたって聞くとどうしても胸が苦しいんです」
いつものこいしとは違うどこか必死な様子。
そのこいしの瞳には少し涙が含まれている。
その様子に輝と美神は焦るしかできない。
「ごめん、心配かけて...でも大丈夫」
「ほ、本当ですか?私...初めての友達を失いたくありません」
こいしの思いは純粋だ。
その思いの純粋さに輝も純粋な喜びがある。
「...ありがとう...」
「...明日から...また一緒にゲーム、しましょう?」
「そうだな」
輝とこいしはゲームで心を通わし今となればこいしとは普通に話せるくらいまで関係性は変わった。
これからも変わるのだろう。
「...で沙也希...聞き忘れた...ごめん...作戦ってなんだっけ?」
輝は沙也希の方を向き直しじっと見つめた。
沙也希も急に話を振られると思っていなかったらしく驚きの表情が出てきた。
「...作戦...か...あ、忘れた」
「ごめんな聞くの遅れて...」
沙也希の様子もどこかおかしい。
輝の予測だとこいしとの接触が過去の女性恐怖症を再発させたのだと予測ができる。
そうなると沙也希にとてつもないほど大きな申し訳なさが生まれる。
「ごめん...沙也希...紹介するよ、彼女は片原こいし、彼女少し人見知りだけどもし会ったらよろしく」
「よ。よろしくお。お願いします」
多少輝との会話でコミュ力が多少増えたがまだまだコミュ障。
でも前のこいしと比べてこの進歩はとてつもなく大きな大きな進歩だった。
「こ。こちらこそよろしくね」
「は。はい」
沙也希はまだ慣れていないのか少し顔が強ばっている。
そのためこいしが若干怯え気味だ。
(これはこれでやばい)
どうなる!?
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




