逃走
ひとまず第1関門、フードコート脱出をくぐり抜けた輝と美神と沙也希。
フードコートを出た際先程までいた茜を探している人たちを見るともうフードコート内に入っていたため九死に一生だった。
「危なかった...あのままだと確実に面倒事だったな」
輝が安堵の気持ちを溜息とつぶやきで表現した。
まだ要と浩史には茜の話は知らないかつ茜を探している人たちも知らないため無視で良いだろう。
だがひとつ問題がある。
(どのタイミングで帰ろうか...)
このショッピングモールのフードコートはでかいかつ少し入り組んでいるため全域を探索するのは骨が折れる。
そして茜を探している人達は本気で探しているため蟻ひとつすら見逃さなさそうな雰囲気がする。
服装こそはわかりやすいがシンプルな黒いスーツにサングラス。
どこか不気味なオーラが漂う。
そんな現実に頭を抱えている輝に沙也希は
「どうかしたのか?」
「...いや当分帰れそうにないなぁって」
輝は素直に今思っていたことを話した。
話終えるとどうやら沙也希も思っていたらしい。
「輝!あいつらだけじゃなかった...まだまだいる...」
美神がそう言うと輝は美神の方を急いで向いた。
たしかに美神の言っていたことは現実らしい。
逃走中のハンターのような服装をした男数人がエスカレーターから降りてきてはフードコートに向かった。
ここはギリギリエスカレーターから死角の箇所。
しかし降りて突き当たりを右に行けばすぐフードコート、その突き当たりを右に曲がる時ふと隣を見てしまうと直ぐにバレてしまう。
そのためこの場所は隠れるには少し安心感が足りない。
そう言い美神が指を指した場所はエレベーター近くのソファが置いてある一種の休憩スペースだ。
「確かに子からバレれにくい...ここは仲良しできたみたいに隠れよう!」
沙也希もその美神の提案に乗るような様子だ。
もちろん輝も賛成派だ。
「確かに良いと思うよ」
そう言いうと沙也希は「じゃあ行くか」と言い休憩スポットにへと足を運ばせた。
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休憩スポットは人があまり居ないかつショッピングモールの人気店が多い地区から離れたところにあるところなためとても静かだ。
そしてここからエスカレーターも見れるためとても最高のスペースだ。
「...輝、そして沙也希さん...どうしてここまでするの?」
輝の隣の席に座っていた美神が静かに聞いた。
「俺は茜を守りたい...それだけかな」
「俺は...美神と茜の笑顔を守りたいって言ったし、有言実行しなくちゃね」
沙也希も輝もそれぞれ理由はある。
その理由に2人とも従いこれまでやってきたのだ。
2人がそう言うと「ははは」と軽く笑いを飛ばし
「...私...ここまで自分を思ってくれる人と会ったことないから...嬉しい」
美神は俯いて喜びが含まれているであろう声で答えた。
2人は何となく美神の家庭環境に知っているためノーコメントを貫き通した。
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監視を初めて2分。
もうエスカレーターからは人が来なくなりはしたが。
「にしても執拗に探し回るよな」
輝と沙也希は静かに見届けていた。
だが待てど暮らせも終わりが見えない。
輝も沙也希も諦めムードが漂い始めた。
そんな時救いの会話が二人の間で生まれてきたのだ!
「...どうする沙也希?」
「俺に...か...ダメだ思いつかない...いや!」
沙也希はなにか考えが着いたようだ。
沙也希の考えることは割と実用性のあるものが多い。
ゲームでもスポーツでもある程度の計算ができる沙也希。
そんな作戦マスターの沙也希が出した作戦は...!
「俺は...」
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