お食事時々危機
次にクラスに来たのは沙也希と浩史だ。
浩史は会うやいなや輝にものすごい速さで抱きつき
「輝!ついに...ついに戻ってきたんだな!はっ!」
何故か知らないが浩史は倒れた。
嬉しさなのかそれとも驚きなのかは知る由もない。
そんな浩史を要は浩史の席まで担いで運んで行った。
それが要なりの優しさなのだろう。
浩史の席を見ると力無く倒れた浩史があたかも寝ているかのようにそっと置かれていた。
「浩史驚きすぎだよ...まぁそれでも大丈夫?」
「まぁ一応ほんの少しだけ痛いがこんなの治った同然よ」
輝がドヤと笑顔でピースしているのを見て沙也希は安心の笑みを浮かべ
「良かったよ、もししんどい事とかあれば俺に言ってくれ、助けるから」
「ありがとう沙也希...」
沙也希の優しさが酷く染み渡る。
「ねぇねぇねぇ輝復活したんだしさ今日放課後ご飯行かない?退院祝いってことで」
浩史を席に寝かしつけると要が走って輝の元へきた。
来たかと思えばまさかのご飯の誘いだ。
もちろん輝はいける、どの道帰ってもやることは何もないためお誘いは嬉しい限り。
「まぁ俺は良いけど...」
「輝は強制参加」
「厳し!」
要の当たり前だろと言わんばかりの顔が輝に突き刺さる。
その対応に輝は溜息をつきながら財布のお金を数え始めた。
「俺もいいよ今日はクラブもないし」
「沙也希も来ると思ったよ、ドヤ」
沙也希も今回は参加するようだ。
要はこのことを予測していたらしくお得意のドヤ顔を沙也希に見せつけた。
そんな要に輝は冷たく「おぉそのドヤなければ良いのだがな」と言い返し要の心が軽く折れた感じだ。
表情で丸わかりなのは要の良いところである。
「私も...今回は良いわよ」
「おぉ!美神も行くの!やったー!」
今回はさらに珍しく美神も参加するようだ。
要は美神が来るとは予測できていなかったらしくとても驚きを隠せない表情をしている。
美神も少し照れているのか顔が赤い。
「やったー!豪華メンツだ!多分どうせ浩史は来るし...5人でまた放課後行こ!」
こうして激動の朝が去った。
病み明けなのもあり輝の体力はこの時既にゼロになりつつも4時間目まで耐え抜いた...耐え抜けなかった!
なんなら1時間目から意識を失っていたのだ!
(病み明け相まっていつもよりしんどい!)
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放課後、輝と美神、沙也希に浩史、そして要はショッピングモールに着いていた。
放課後なのもあり人がかなり多い。
5人は流れるようにフードコートに着いた。
時間的にも席が空いているか少し不安だったがその不安は杞憂だったらしく席は以外にも結構空いていた。
ひとまずみんなは5、6人がけの壁よりの席に座った。
「ふぃぇぇぇ、外は暑いけどここは涼しいなぁ」
「行儀悪いぞ要」
「言われなくたってわかるよ輝...」
席に着いたら否や要はドロドロに溶けたアイスクリームのように席に倒れた。
今の外の気温は35度、最近の温暖化も相まってとてつもなく暑い。
そのためこのショッピングモールの気温がとてつもなく天国と感じてしまっているのが今の要だ。
「確かに暑いしなぁ〜そうだろ沙也希?」
「確かに暑すぎるね...」
浩史はタオルで汗を拭きながら沙也希に聞いた。
沙也希はパッとした様子で浩史の応答に答えるがどこか浮かない表情だ。
ずっと同じ方向を見続けている。
その異変に気づいたのは輝だった。
「何かあったのか?」
輝がそう聞くと沙也希は1度輝の方を輝の耳元で
「...居たんだ...茜を追いかけてる人が...」
と話した。
その時の沙也希の顔は青ざめているという言葉が物の見事に似合う顔だ。
(これはやばい...かなりまずい...沙也希は顔を見られているはずだ...)
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




