フローナの友だちは見守る
短話です。
side フローナの友人ミーファ
私のお友だちの一人、フローナは真面目なコ。
子爵令嬢だが、男爵家の私を見下すようなことはない。
成績優秀だけど、それを鼻にかけることはないし、たまにお菓子もくれる。
ちょっとお化粧でもしたら、抜群に可愛くなるタイプだけど、フローナにはそういう自覚がない。
従姉に超美人がいるそうで、周囲からずっと比べられていたらしいから、それが原因かな。
だから、高等部の先輩に誘われて、花壇の管理の担当になったと聞いて、私は素直に偉いなと思った。それにきっと、先輩はフローナの秘めた魅力に気付いたんじゃないかな。
その先輩が高位貴族で、学園内でも指折りの美男子だから、女の先輩から目を付けられたみたい。
フローナは決して浮ついた気分で、その役目を受けたわけではないのに。
彼女の幼馴染とかいう高等部の男子が、何やら文句を言いに来た。
見た目は、まあ、カッコいいと言えなくもない男子。
ただ、目付きが何だか嫌。
フローナを抜擢した先輩は、真っすぐな瞳をしているけど、フローナの幼馴染さんは、粘っこい視線で彼女を見ていた。
フローナが傷つくと可哀そうだから、私は言わなかった。
私の勘だけど、きっとフローナは幼馴染の男子のことが好きだったと思う。
その幼馴染が、「超美人」の従姉の婚約者と聞いて、納得した。
彼女の心に、ササクレが出来たよね。
多分、フローナは女のコとしての自信を、持てなかったんだ。
お勉強は勿論、貴族の子女としての所作は綺麗だし、女子の嗜みのお裁縫も上手だ。
でも、女のコは外見の優劣で、人生の幸福度が決まると刷り込まれている。
ただね、フローナ。
もっと自分を信じて良いよ。
この学園の男子、特に王家の方や高位の貴族ほど、見た目だけに惑わされるような人たちじゃない。
第一王子殿下の婚約者、知っているかな。
ものすごく頭が良くて、殿下からとっても大切にされているよ。
なんで私が知っているかって?
ウフフ。
男爵家が生き延びるには、いろいろな情報が必要なんだよ。




