おしえて!ナナコさん! 2
おまけ短編パート2。
「ナナコさん。お疲れ様でした。これミルクと砂糖たっぷりの珈琲です」
「うっす……なんで自分、日曜日にこんなことやってんすかね?」
「元々休日に開催して欲しいって要望だったので。協力者って大体学生とか社会人とかで他の仕事持ってますからね」
「つーか『ハウンドコップナナコの対怪人護身術講座』って企画事態がおかしいんすよ。
寄りにもよって怪人業界最弱のサジェウルに戦い方教わるとか、どこに需要があるんすか?」
「普通に会場満員だったじゃないですか。事前申し込みで席埋まったし、アンケート結果も良かったので、次回どころか定期開催まで狙えますよ」
「……納得いかねえ」
「元々ネットとかで注目度高かったんですよ。ナナコさん、元結社にいたC級怪人のサージェントウルフだって公言してるのに、
B級怪人犯単独で逮捕したり、他のB級とかの協力者と連携してA級怪人犯逮捕したり普通にするから。
協力者とかの間では『あれはもうサージェントウルフの皮被った何か』っていう声も出てますよ」
「その評価はセンパイに譲るっす……つっても自分、性能はスピード方面と受け身はちょっと自信あるっすけど、
パワーがちょっとショボい、普通のサジェウルなんすけどねえ」
「普通ってなんなんでしょうねえ」
「マジでなんなんすかね……前線出てなおかつ年単位で生き延びてるプロのサジェウルなら、ガチのは無理でも練度足りてねえ怪人倒せるのは、当たり前な気もするんすけど」
「そうなんですか?」
「そうっすよ? それくらい出来ねえとそもそも生き残ってねえっすから」
「相変わらずすごい割り切り方してますねナナコさん」
「まあ、素人のサジェウルとプロのサジェウルは割と別物なんすけどね」
「いや、良く分からないんですけど」
「例えるなら、ほら、ゲームであるじゃねえっすか。でけえモンスターを剣だの槍だの担いで殴り倒して死体から色々剥ぐやつ」
「はあ。人気のあれですね」
「例えるならそれの主人公。それがサジェウルっす」
「一体どうゆう意味ですか?」
「つまりっすね。でけえモンスター正面から無策で殴り殺そうとすっと大体死ぬじゃないっすかあのゲーム」
「死にますね。慣れてないとモンスターに対峙したあと何もできずに死ぬこともありますね」
「でも事前に情報調べて、メタ張りまくって、罠使って、弱点徹底的に狙うとかすれば殺れるじゃないっすか」
「まあ、そう言うゲームですから」
「つまり、それが出来るかどうかが素人のサジェウルとプロのサジェウルの差っす。
まあ基礎スペック大して変わんねえから失敗作とかマジもんのS級、A級とかやべえのと遭遇したらどっちであってもゴミみたいに死ぬのもサジェウルっすけど」
「はあ……なるほど」
「そんでっすね、A級でもB級でもオツムの方は基本的に人間と同じ。つまりサジェウルとも同等なわけっす」
「確かに、怪人化処理って脳には影響ほとんどないらしいですね。脳改造で作り変えるからって……あ、でも一部の怪人は脳に影響出るんでしたっけ?」
「バクダンとかバクダンとかバクダンとかっすね」
「……どんだけバーサークタウロス嫌いなんですか」
「不動の一位っすから。ま、それはさておいて、相手の事前に能力評価とか特殊能力とか調べておいて、相手が苦手なところを徹底的につけば制圧できるのは道理じゃないっすか。
警官で協力者なら犯人がどの怪人なのかとか組織の力で簡単に調べつくっすし」
「調べてナナコさんに連絡してるの大体わたしですけどね」
「そこは素直に感謝してるっす。で、俺は怪人だぞ!ヒャッハー!とかやるモヒカンもどきは大体敵どころかテメエの力すら把握してねえバカっす。
それをプロが襲ったらそりゃあ倒せるっすよ。そもそも自分の手に負えねえやべえのは他の人に任せてそう言うの倒すだけでいいっつうから協力者になったんすし」
「身もふたもない」
「……なんか最近、だんだん『あれ?コイツならこの程度行けんじゃね?』でやべえの普通に任されだしてる気配がすんのは、
気にしないことにしてるっす」
「信頼されてるんですよ。ナナコさん、何やらせてもなんとかしちゃうから」
「いやあ、それができなかったらサジェウル業界でエリート名乗れねえっすよ。
自分、これでもウルフパック入り目指して修行してた時期もあるっすし」
「ウルフパック……? どこかで聞いたような」
「ああ、自分がまだ前世で中坊だったころに一回、新しく誕生したA級怪人の最終性能試験で
無残にぶっ殺される予定の被験体として集められた中に、
『結社の未来のために、A級怪人様の本当の性能計るためにもこっちも全力で抵抗しよう。みんなで』
とか言ってサジェウルまとめ上げたサジェウルが居て、全員で罠とか連携とか色々駆使して
死人出しまくりつつ見事にそいつフルボッコしちゃったことがあったんす。
あとはとどめ刺せば死ぬなって状態で『降参しますんで命だけは勘弁してください』ってマジ土下座させたとかって噂っす。
で、『戦闘任務に適さない被験体』ごときにA級様が負けたとか結社のメンツ的に許されねえんで全員訓練合格した、
戦闘用扱いになったらしいっす。サジェウル業界は何が起こるか分からねえもんっすね。
それがきっかけで、サジェウル業界のエリート中のエリートを結集させて部隊作ろうってなって数年くらいかけてできたんすよ。
単品雑魚だけど群れるとやべえのがサジェウルって評判が出てきたのもウルフパックが出来てからっすね」
「はあ、いわばサージェントウルフの特殊部隊ですか」
「そっすね。経験も練度もねえのにA級に適合したからっつって天狗になったA級様教育するために群れで襲って徹底的に弱点ついて
鼻っ柱へし折って、現実っつう地獄見せるお仕事任されたとか、いるかどうかで作戦の成功率ダンチだから、
貸出し先巡って幹部クラスが殴り合ったとか、持ってると死ににくなるとか噂出てウルフパックの隠し撮り写真が
サジェウルの闇市場で取引されてたとか、ぱねえ噂沢山残ってるっすよ」
「凄い部隊ですね……あれ?ウルフパックって確か」
「……最後は失敗作と十人全員集まった群れでガチバトルして全滅したって話っすね」
「自爆でザ・ヒーローの脚1本持って行って貴重な再生剤使わせたとか言う……」
「多分やったのセンパイっすねえ……失敗作はいつかオレがぶっ殺すとか言ってたっすから」
「……なんかこう、センパイって人が怖くなってきました」
ちなみに群れを率いてA級をフルボッコしたサージェントウルフは後にウルフパックに選ばれています。当時の生き残りに話を聞くに、毛色が黒かったそうです。




