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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第82話 ランクアップ?

 応接室に通され、お茶をいただいてる。シオンはいつも通り出されたお菓子を頬張っている。


 栗饅頭か、美味しそう……え? 俺? もしかして剥いてくれたのか? ……なら、食べなきゃ駄目だな。


 栗饅頭を受け取り齧ってみると、真ん中に栗がまるまる入っていた。くどくない白餡とも合ってて……うん。美味いな。


「お待たせしました」


 ガチャとドアを開けながら受け付けのお姉さんがどこかで見たことある人を連れてやってきた。


 あ、入口に貼ってあった最近代わった新しい市長のポスターの人だ。ってことは市長で、探索者ギルドのギルドマスターってことか。


「君たちがBランクダンジョンを馬鹿馬鹿しい……」


 なにか急に雰囲気悪くなったな……。


「はい。三人の探索者カードは確かに二十階層まで到達していると出ています」


 見下すようにジロジロと俺たちを見ながら向かいにある一人用のソファーにボスンっと腰を下ろした。


「君、操作ミスか機械の故障ではないのかね?」


「はい。一台目で私も故障かと思い、別の機械で調べましたので故障ではないです」


 そうだ。二台とも同じ結果が出たって言ってたもんな。


「場所は? 本当にBランクダンジョンなのかね?」


「学園が本日試験に使ったBランクダンジョンですので二十階層が最後の階層です。カードに記録された魔力データもそのBランクダンジョンと出ています」


 おお、探索者カードって場所の特定も出きるのか。


「ふう。そういうことを言ってるのではない。学園の、それも試験中にそんなにもぐれるわけないだろうと言ってる。それにプロ登録が昨日だと言うじゃないか。あり得ないのだよ」


 あり得ないと言われてもな。それに何だこの市長さん。こんな言い方しているってことは、ランクを上げる気ないのか?


「ですが、データとしてこの子たちが身に付けた状態で、二十階層に行ったと出ています」


「それこそこの者たちが高位ランクのものを雇い連れていってもらっただけかもしれないではないか」


「……あの、俺たちはそんなことしていませんよ。俺たちは俺たちだけでBランクのダンジョンをクリアしたのですから、聞いていた通りAランクに上がるんですよね」


「馬鹿なこと言ってるんじゃない。上がるわけなかろう。まったく近頃の学生は登録翌日にランクが上がるような甘い考えを持っているとは嘆かわしい」


「市長、登録翌日だろうと当日だろうと、Bランクまではクリアしたダンジョンの一つ上にランクが決まります。これは探索者ギルドが創設された時からの決まりです」


「それだよ君。そのような古いルールは変えていかねばならん。私はその古い流れに一石を投じようとだね――」


「この人なに言ってるですか? Bランクのダンジョンが攻略できたらAランク。Aランクのダンジョンを三ヶ所攻略したらSランクなのです。そんなの子供でも知ってることなのですよ」


「市長、この子の言う通りです。なのでこの子たちは本日付けでプロのAランク探索者です」


「そんなことは認めん! 君は市長に歯向かうのかね! 次の査定は覚悟しておきたまえ!」


 これは駄目だな。また御三家絡みかと疑ってしまうレベルだ。それにこのままだと……。


「……お姉さん。もう良いですよ。これ以上言うとお姉さんの立場がどんどん悪くなってしまいますよ」


「え? ですが君たちはAランクに上がって当然なのですよ。市長とはいえ、こんな横暴は許されることではありません」


「レイ、どうするのです?」


「そうだ。帰りたまえ、私は忙しいのだ。こんなことで手を煩わせないでもらいたい! 私は仕事に戻る!」


 市長はバンとローテーブルを叩いて立ち上がり、乱暴にドアを開け出ていった。


「ご、ごめんなさい。Aランクへのアップは市長の印が必要なの」


「変な市長なのです。ふれいむぼーるぶつけてもいいです?」


「シオン。人に向けて魔法はいけませんわ。それに、レイの考えていることもだいたいわかりますから」


 ふふ、とシオリが笑う。そうだ。ここが無理なら――


「お姉さん、探索者カード返してもらえますか? 隣の市にある探索者ギルドでカードの更新してもらうので」


「あっ! そうです。ここでなくても上げられます!」


「ですわね。あの市長がこの部屋に入ってきたときからこんなことになるんじゃないかと思っていましたし」


「そうだ君たち、罪滅ぼしと言うわけではないけど、隣の市にある探索者ギルドまで車で送らせて。ちょうど仕事が終わる時間なの」


「むぐむぐ。なるほどなのです。ふれいむぼーるの刑は我慢しておくです。むぐむぐ」


 シオン、ポケットに残りの栗饅頭を入れ……まあいいか。


「ふふ、全部持っていって良いわよ。じゃあ私は仕事を終わらせてくるから、表で待っててくれる? すぐに車を回すから」


「それならお願いしようかな。魔石の買い取りもしてもらうので、そこまで急がなくても大丈夫ですよ」


 空になった菓子カゴを残して俺たちは応接室を後にした。

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