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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第81話 攻略

「それであなたたち……試験の後ももぐり続け、二十階層をこの短時間で攻略完了させたと?」


 ダンジョンの攻略後、戻ってきた時、ちょうどモンスターハウス試験の終わった先生たちと鉢合わせした。


 そこでシオンが『先生ダンジョンクリアしてきたのです!』とバラしてしまった。


 まあ、バラしてどうとかはないんだけど、俺たちの試験が終ってから六時間ほどしかたってないのにBランクダンジョンをクリアしてしまったことに先生たちが驚いてるだけだ。


「はい。ちょっと駆け足でしたけど、俺たちのランクじゃ中々入ることができないので、今日の内かなと」


 ちょっとどころかしっかり走って二十階層まで行ったんだけどな。初めて見るモンスターにテンションを上げながら。


「……おそらく明日にはランクアップして、このダンジョンにも普通に入れるようになると言うのに?」


「それと……プロ用のランクを上げるにはダンジョンの攻略が必須ですし?」


 Bランクダンジョンを攻略したってことは、この後探索者ギルドでAランクに上がれるはずだ。


 どちらかと言うと、新しいモンスターと戦うことより、こっちの方が目的だったりする。このために昨日プロ登録してきたくらいだしな。


 高橋さんと電話で話をしていて、『Bランクダンジョンですか。でしたら――』と、進めてくれたんだけどね。


「プロ用の? あなたたちまさかそのためにBランクダンジョンを……あのリバティでさえ一度も攻略したことがなかったと言うのに……」


「え? そうなのか? リバティってAランクだったんだろ?」


「ええ、リバティは学生のAランクでしたが、プロ登録はしていませんし、ダンジョン攻略は未達ですわ。私がいた頃でこのダンジョンですと十階層が最高記録でしたわね」


「うわ、もったいない。それならCランクダンジョンくらいは攻略できてただろうに……」


「頑なに、こことAランクダンジョンにしか行きませんでしたわね。何度も提案しましたのよ?」


「あー、あの人たち、まったく人の話を聞かない感じだったからな」


「学生でBランクダンジョンを攻略……前代未聞です」


「は、はは、俺たちでさえここを攻略しようとすればそんなに早くはできないぞ……それになんだ? お前たちドロップ品はどうした? 手ぶらじゃないか」


「ああ、魔法の鞄がボスのレアドロップだったので、頑張って出したんですよ」


 ポンポンと俺たちは腰のウエストポーチを叩く。魔法の鞄はだいたい十畳の部屋ほどの容量がある。


 本当ならストレージがあるし、いらないんじゃないのかと思ったんだけど、ストレージのスキルを持つ探索者は極端に少ない。


 まあ、レアドロップとして出るダンジョンも限られていて、日本では富士山のダンジョンだけらしい。


 高橋さんがなんてこともなくスキルオーブを拾ってきたけど、それもめちゃくちゃ珍しく、ストレージを持っているものは狙われる。パーティーの荷物持ちとして。


 だからプロのSランクに上がるまでは魔法の鞄を手に入れて誤魔化そうってわけだ。


 この先、ダンジョンは階数がグンと増え、Bランクダンジョンが二十から三十階層なのにAランクダンジョンで一気に五十階層以上に増える。


 だからどうしても手に入れておきたかった。高橋さんが用意しようかと提案してきたけど、魔法の鞄はめちゃくちゃ高額で取引されている。


 だから少しでも負担がかからないようにしたかったのと、プロランクを上げるついでに自分たちで手に入れかったって理由もある。


 色々と俺たちのためにしてくれるのは嬉しいけど、頼りすぎるのも駄目だよね。


 結局ボス戦は計八十回ほど挑戦したけど、ボスを倒した後もう一度入り直せばすぐに再戦できるから助かった。


 高橋さん経由で、ここのボスが極たまに魔法の鞄を落とすと知っていたから出るまで瞬殺&瞬殺を繰り返し、三人分手に入れてきたってわけだ。


「マジかよ……それも人数分揃えた? こりゃどえらい新人の誕生だぞ……」





 そんな感じで、困惑の先生たちと別れ、ギルドにやってきた。


「あら? 昨日登録した子たちね。今日はどうしたの?」


 受け付けは昨日と同じお姉さんがいた。ちゃんと覚えてくれてたみたいだ。


「ダンジョンに行ってきたので、それの報告です」


「ああ、そういえば学園の試験でBランクダンジョンに入ると言ってたわね。じゃあギルドカードを出してくれるかな」


「はい」


 俺たち三人はギルドカードを取り出しお姉さんに渡すと、次々と機械に通していく。


 この機械は研究所が開発したもので、何階層まで潜ったのかわかるそうだ。


 どういう仕組みか聞いたけど、専門用語が飛び交ってよくわからなかった。階層ごとの魔力の濃度がどうとか言ってたから、たぶんそれだろう。


「あれ? 二十階層? おかしいな、壊れちゃったのかな? ちょっと待っててね、隣の機械でもう一度調べるから」


「あの、二十階層であってますよ」


「またまたぁ~。いくら学園の生徒だからって、今までたくさんの人たちが挑戦して二十階層まで行けてないのよ?」


 そう言いながら隣の同じ機械にギルドカードを通していく。


「あれ? 嘘……二十階層……え? あなたたち本当に二十階層まで行ったの!?」


「はい。行ってきました」


「行ってきたのです! 魔石もいっぱいあるですよ!」


「そうね、買い取りもこの後してもらいましょう」


「Bランクダンジョンの二十階層と言うことは攻略……学生が、昨日登録したての子達が……ちょっ、ちょっと待っててね!」


 お姉さんはギルドカードを握りしめたまま奥へ走っていった。


「ぬふふふふふ。ギルドでやりたいランキング上位のテンプレなのですよ」


「テンプレ?」


「この後ギルドマスターが出てきて大騒ぎになるです。そうしたらまわりにいる探索者たちが『こんなガキどもが!?』ってなるですよ」


 ……うん。よくわからないや。

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