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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第47話 リバティとの対峙と…

「クソ! は、離せ!」


 このまま離さないで、握りつぶすこともできそうだ。そう思うと自然に力が入ってしまう。


「いっあがっ! お、おい、は、離せ! お、折れっ! 土佐、助けろ!」


「殴りかかってきておいて、止められたら今度は離せですか? 敷島先輩。それはあまりにも身勝手すぎますよ」


「うるさいぃい痛いひぃ!」


 ミシミシと骨のきしむ音が手に伝わってくる。


「わ、わかった! 謝る! 謝るから離してください!」


「……」


「すいませんでした! ほら、謝ったぞ! 離して――」


「俺に謝ってどうするんですか? 確かにシオンが先輩に対して言ったことは駄目なことです。だからシオン。シオンもちゃんと謝ろう」


「うー。ムキムキ先輩ごめんなさいです」


「いぎい! お、おう、俺も悪かった! 後輩の冗談で怒ってすまなかった!」


 シオン……謝ってるのにムキムキ先輩は駄目だと思うよ……あとで言っておかなきゃだな。


 敷島先輩の方はブンブンと頭を下げて謝ったので素直に離しておいた。


「じゃ、じゃあな、お、おい、みんな行くぞ」


 手をさすりながら土佐先輩たちを連れて足早に離れていくのを見送り、シオンにも注意しようとしたんだけど――


「あーあ、ムキムキ行っちゃったです。お姉ちゃんをごにょごにょするとか言ってたの思い出したから、けちょんけちょんにやっつけようとしてたのにぃ」


 ――それを聞いて注意は無しにした。


「シオンあなた……ありがとうシオン」


「どういたしましてですよ。自慢のお姉ちゃんに指一本触らせてあげないのです。触って良いのはわたしとレイだけなのです」


 いや、それはそうかもしれないけど、本人の意思は?


 ……あっ、真っ赤になってうつむき加減の上目遣いで俺を見てくるシオリは小さくコクリとうなずいた。


 うん。本人もいいらしい。


「にゅ? レイ、お姉ちゃん、こちょ先生とたかぴーです。おーいたかぴー! こちょ先生ぇー!」


 そういって走り出すシオン。今は大丈夫だろうけど、離れないように追いかける。


「おいコラシオン! 待て!」


「ま、待ちなさいシオン!」








「なるほど。話はわかった。校長先生はこの話を聞いていかがなさいますか?」


 今朝からの教室での出来事で、転校してきた『安藤 豪』という人物が『佐藤 豪』と確信したことで、前日にダンジョンで聞いたことも含め、高橋さんと校長先生に相談という報告をした。


 元々は高橋さんには話そうと思っていたので、今日学園に来ていたのはラッキーだ。


「ふむぅ。高橋様から話を聞き、にわかには信じられませんでしたが、困ったことになりましたね」


「選択肢は多くはありません。安藤を名のる佐藤豪君と、リバティには退学してもらう。この場合のデメリットは学園の生徒という枷が外れて強行手段に出るかもしれない」


「その通りです。ならばこのまま学園の中で監視しておいた方が無難でしょう。それに、クラスは変えた方がよろしいでしょうな」


「ええ。先ほど見せてもらったクラスの各生徒数を見ると、レイ君たちのクラスは他のクラスより多い。そのことを出せば、クラスはなんとかなるでしょう」


 他のクラスは、二十二人と二十五人。うちのクラスだけ二十六人だ。二十ニ人のクラスはシオリとシオンが抜けたんだけどね。


「ですな。放課後、一年の担任と専科教員、養護教諭を交え、その安藤を名のる佐藤君を別のクラスに移しましょう」


「それも選択肢の一つですが、この三人を移すことも議題に上げると良いでしょうね。幸いシオンくんとシオリくんは元々のクラスのようですし。あ、いや駄目か」


 高橋さんが違う選択しも出したけど、直ぐに否定し、それを聞いた二人は少し顔を歪める。なんでだと思っていると――


「あのクラスはシオンが登校拒否した原因のあるクラスなのでできれば避けていただきたいのですが」


「ああ、そのことをを思い出してね」


「お姉ちゃん。わたしは別にレイとお姉ちゃんがいるから大丈夫なのです。あの頃はお姉ちゃん、りばていに連れていかれてたから……」


 そういうことか。クラスで孤立したから学校に行けなくなったんだもんな。


 自然に横のシオンを撫でてしまった。


「ぬふふふ。こうやって今はお姉ちゃんもレイもいるから問題無しですよ」


 嬉しそうに笑い、撫でる手を離さないように小さな手を俺の手に重ねるシオン。


「本人の了解も得ましたので、その案も盛り込みましょう」


 話がまとまったところで午後の予鈴が鳴り、その場は解散となった。


 高橋さんも一緒に校長室を出て、教室に戻る生徒たちの流れに戻る前、高橋さんが不穏なことを話し始めた。


「三人とも聞いて欲しい。今回の件で動いているのが佐藤家ではないことがわかった。動いているのは山本家。それも山本 凛。留学した先から色々と画策しているようだ」


「山本先輩ですか。でも動いているのは佐藤先輩ですよね? あの人は素直に言うこと聞くとは思えないです」


 山本先輩は、前から何かやってくるだろうと思っていたのでスッと納得できた。


「ああ、だから色々とボロを出してくれて助かってはいるのですけどね」


「高橋さん。うちのクラスの担任――」


「山本家の傀儡ですね。そちらは今日校長と話してまして、楽しみにしていてください。きっと驚きますよ?」


 やっぱりそこも気づいていたのか。さすが高橋さんだ。何があるのかは教えてもらえなかったけど……。


 楽しくて驚くことか……何があるんだろ?

 読んでいただきありがとうございます。


 ブクマや★★★★★で応援よろしくお願いいたします。

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