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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第87話 四人目のSクラス

「二人ともお疲れ様。もう夕方だな」


 試験も終わっている時間のため、人気のないグラウンドにダンジョンから一歩踏み出した。


「疲れたのですよー。それより早くスーパーの駄菓子屋コーナーに行くのです」


「こらシオン。先にダンジョン攻略の報告でしょ? スーパーはその後ですからね」


「はは。食べきったもんな駄菓子。でもそれはシオンが行く前に食べ過ぎたからだろ?」


「うっ、で、でも遠足のお菓子とかと一緒で前の日に食べちゃうのですよ。でも遠足のときは朝にはちゃんとお菓子があったのです」


「それは遠足のお菓子を前日に食べるシオンのために私がいつも余分に用意していましたからね」


 ガーンって口にしながら驚いた顔をしてるシオンの向こう側へ回り込み、シオリと二人で挟むようにして手を引く。


「くくっ。シオリはいいお姉さんだな。ほら、シオン、そんな顔してないで行くぞ」


「まったく。お菓子ばかり食べていると虫歯になる可能性が高くなりますし、お腹がぽよんってなっても知りませんからね」


「うっ、ぽよんはやなのです。歯もしっかり磨くのですよ」


 やっとのことでダンジョン前から離れ、職員室に向かう。


 途中で試験結果が張り出されている掲示板が目に入った。そこには俺たちの名前の下に名前が追加されていた。


     Sランク

     長門 零

     大和四織

     大和四音

     高田 (ラン)


「増えてるです。ランちゃん?」


「そうですわね。他にはアララギとも読めますが、人の名前とするならランさんでしょうね」


「へえ。ってことは二年になったら今のところこの四人がSクラスになるってことか。まあ、俺たちには関係ないけどな」


「ですわね。私たちのスケジュールは少々過密ですし、他の方を入れる余裕はありませんから」


 掲示板を離れ、職員室に向かう。ペタペタと上履きを鳴らしながら今度は俺たちを引っ張るシオン。


 鼻唄まで歌ってるし、これは早く用事を済ませてスーパーに行こうと思ってるんだろうな。


 ……その前に探索者ギルドに行くとか言ったらまたへこんじゃいそうだけど……。




 職員室に入り、ダンジョンの管理をしている教頭先生を探す。


「きょーとー先生ー! ダンジョンクリアしてきたですよー!」


 と、探す前にシオンが万歳し始めた。それも繋いだ手をそのまま上げたままだ。ついでにぴょんぴょん跳ねてるし……。


「こらシオン。職員室で騒いではいけませんよ」


 また怒られてる……。だけどシオンのお陰で探す手間が省けたな。教頭先生が声で気づいてくれたみたいだ。


 教頭先生は机の間を通り俺たちの前にやって来た。


「君たちかな? ダンジョンをクリアしたと聞こえたのだが」


「そのとーりなのです! クリアして来たですよ。学園のAランクダンジョンなのです。ほらコレどうぞ、なのです」


 そうだ、Sクラスのランクカード出さなきゃな。えっと、生徒手帳は……どこだ?


 ポケットを探り、カーゴパンツのポケットに入っているのを見つけた。


 クリアカバーから引き抜き教頭先生に三人が各々手渡すと、呆けた顔で受け取ったまま俺たちの顔を見ては目線を落としランクカードを見ている。


「教頭先生? どうしたんですか?」


「あ、ああ、そうか、君たちが新しいSクラスの子たちだね。いや、しかし、学園のAランクダンジョンを?」


「八十階層まであったですよ? へびもすがボスだったのです」


「シオン。へびもすじゃなくてベヒモスな」


「それなのです。ベヒモスはカバみたいで凄く大きかったのですよ」


「そんなまさか……いや、おかしいな、君たちがSクラスになったのは二日前だと記憶しているんだが?」


「はい。ランクカードをもらい、ホームルームを受けたあとすぐにダンジョンに入ったので」


「サバンナでおっぱい飲んでるチーターの子を見たのですよ」


 実際はチーターの子を拉致したからこそ、見れただけだけどね。


 可愛くてふわふわ……また入る機会があってサバンナだったらまた触ってみたいな。


「いや、だが、最高記録だった六十三階層を叩き出した五人パーティーは、行きに十日、帰りは五日かかったんだぞ?」


 往復で十五日か、でもマップがない状態でスタートならそれくらいは覚悟しないと駄目かもしれないな。


 いや、帰りは道順がわかっているし、もっと早く進めるか。


 だけどなぜ、そんなに時間がかかったんだろうか……まてよ、攻略せずに帰ってきたなら怪我人がいたのかもしれないな。


 俺たちは初日の目標を五十階層と決めていたけど、思ったより早く進み、六十五階層まで進めたのは大きい。


 二日目のお昼は八十階層のボス部屋で食べたから、片道一日半。帰りはモンスターを避けながらずっとダッシュで帰ってきたもんな。


「教頭先生。疑わしくとも、ランクカードを調べればわかることですわ」


「ふむ。その通りだな。では私の席まで行こうか」


 話を聞いていた先生方が見守る中、教頭のあとをついて機械があるという教頭先生の机に向かう。


「電源は……よし、では通すぞ」


 パソコンのモニターを見ながら次々とランクカードを通していく。


「まさか……本当に二日で攻略したというのか……入場が二日前で到達階層が……本当だ、最終階層と出てる」


「ぬふふふふふ。バッチリなのです」


「凄いじゃないか君たち! Aランクダンジョンの攻略もそうだが、まだ一年で、それも三人だけでとは! これは学園始まって以来の快挙だぞ!」


「凄いなお前たち! 攻略おめでとう!」

「本当に攻略!? ってやっぱりあなたたちなの!」

「凄いじゃないですか君たち。やりましたね、おめでとうございます」

「え? 一年生? こりゃたまげた」


 教頭先生の声に職員室にいた他の先生方も次々と声をかけてくれた。


 さあ一つ目のAランクダンジョンが終わった。残りは二つ。期限まで半年を切ってるけど、幸先よくスタートが切れたしやるしかないな。


「凄い。本当に攻略してくるなんて……」


「ん? え~っと、どっかで見たですよ……あ! ランちゃんなのです!」


「ランちゃん? ……ま、まあそれでいいわよ。二年生になったら同じクラスだし。よろしくね」


 高田蘭さんか。いい人そうだな。シオンのノリに笑顔で対応してくれてるし。


 だけど……騒がしかったといっても、こんなに近くまで来ていたのにまったく気配がわからなかったぞ……。


 もしかすると斥候タイプのスキル持ちかな?

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