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【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無双する  作者: 遊野優矢


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17章:美女とヴァリアント(19) SIDE スィアチ

SIDE スィアチ


「なぜオレがあの少女が殺されると困ると思うんだ?」


 脅す側があべこべである。


「理由はわからんさ。だが、あんたが大事そうにしてたからな。理屈はともかく、効くと思ったんだよ。正解だろ?」


 ここで弱みを見せるのは悪手だとわかってる。

 だがあの少女を失うのは惜しい。

 まだしばらく喰う気はないし、死体は喰っても美味くないのだ。


「わかったよ。逃げねえ。だが――」


 オレは家にしかけておいたトラップを発動。

 ひょいと拾ったステッキの先をナンバカズの背後に出現させた。


「お前には死んでもらう!」


 ステッキの先端がナンバカズの後頭部を狙う。


 先端の周囲50センチを強制転移させる、オレの奥義だ。

 効果範囲は狭く、事前にチャージも必要だが、人間相手なら必殺の一撃になる。

 見てからかわせる速度ではない。


 しかし、必殺だったはずの攻撃は、こちらを振り向きもしないまま避けられた。

 転移を発動させた瞬間には既に避け始めていなければ、到底間に合わないはずだ。


「なぜ避けられた!」


 そう叫んだ時には、オレの首は胴体から離れ、床へと落下を始めていた。


「お前達が考えるような戦法は何万通りも経験済みだ」


 冷たい目がオレを見下ろす。

 なんて目をしやがる。

 まるで、百年戦い続けた戦士みたいな目だ。


 ――敵わない。


 短い攻防だったが、それを理解するには十分な時間だった。


 人間相手にこれを使うことになるとはな。


 オレは落ちる自分の首を空中でキャッチしつつ、仕込んでおいた最後の転移魔法を発動させた。




 転移先は少女の行き先と同じだ。

 もともとは、合流のために仕込んでおいたものである。

 こうして緊急退避用でもあったのだが、まさか本当にその用途で使うことになるとはな。


 到着したのはとある山奥だ。

 とりあえあえず少女をつれて逃げよう。


 だが、オレの考えは眼前の光景に打ち砕かれた。


 ヴァリアントが2体、少女を喰らっていたのだ。

 内臓はぶちまけられ、腕と脚が片方ずつなくなっている。

 少女は既に事切れた後だ。


「お前がスィアチか」


 片方のヴァリアントが真っ赤な口でそう言った時には既に、オレの視界は怒りで真っ白になっていた。




 気付いた時には、2体のヴァリアントはオレの手でぐちゃぐちゃに引き裂かれていた。


 名前も知らないそれらは、紫の煙となって、虚空へと消えていく。

 その場には、ばらばらになった少女の肉片と、恐怖に歪んだまま硬直した彼女の顔が残されていた。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] おう、ナンパカス いつの間にヴァリアントは関係者諸共絶コロマンに成ったw あれか、妹ちゃんを大事にするのは何時か性癖の為に惨たらしくバラすためか? ww [一言] まぁ、十中八九そう…
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