表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無双する  作者: 遊野優矢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

323/426

16章:ヴァリアント・ザ・オリジネーション(7)

「あら、お見送りをすると申し上げましたでしょう? 未来の旦那様」


 華鈴さんがうやうやしく一礼をした。


「すっごい美少女……」「また難波が女をひっかけてるぞ」「他校の生徒か?」「いや、でもここイタリアだよな?」


 華鈴さんの一言に生徒達がざわつく。


「見送りって普通、出発地でやるものじゃ……」


 オレは今にも抱きついてきそうな華鈴さんを手で制しつつ訊く。


「こちらでちょっとお仕事がありましたの。ちょうどカズさんの旅行日程に合うと思って、お待ちしていたのですわ」

「なんで他校の修学旅行のスケジュールを把握してるんだよ」


 到着ゲート付近にいたということは、乗る便までしっかり調べてある。


「元気そうなお顔を見られて何よりでしたわ。それでは私はこのまま日本に戻りますので、お土産をお願いいたしますわね」


 華鈴さんは颯爽と、高級ラウンジの方へと消えて行った。

 どっちが見送る側かわからんなこれ。


 由依がめっちゃ睨んできてるし、さっさとオレのホストファミリーを探そう。


 オレとペアになるのはカルロという同い年の男子だったはず。


 カルロはすぐに見つかった。

 穏やかな笑顔とさらりと流れる銀髪が特徴の優男だ。

 女子達がちらちらと視線を向けるほどにはイケメンである。

 身長はオレと同じくらいだが、頭身は……比べたくないぞ。


「キミがナンバカズだね。カルロだ。よろしくね」


 カルロもすぐにこちらを見つけ、歩み寄ってくる。


「こちらこそよろしく」


 オレは差し出された右手を握った。


「今日はこのままホストファミリーに任せて解散だったね。うちはローマの郊外なんだ。観光は明日にしてうちで夕食ということでいいかな?」


 現地時間は既に夕方をすぎている。


「かまわない」


 ちなみにオレ達が使っているのは英語だ。

 ホストファミリーをしてくれる生徒達が通うのは、ローマ近郊でも屈指の進学校らしく、みな英語は堪能だ。

 ややカタカナ英語なので、ネイティブよりもむしろ日本人には聞き取りやすい。

 クラスの連中も苦戦している者は多いが、なんとかコミュニケーションをとっているようだ。


 外国語は必要に迫らせないと覚えられない、というのが学校の方針だ。

 受験を前に、荒療治を一つしておこうということらしい。

 学校教育の否定ともとれるのだが、まあ変わった高校だし、それくらいは言うだろう。


「うちは姉と二人暮らしでね。他のみんなと違って、家族の車というわけにはいかないのは許して欲しい」


 そういうカルロに案内されたのはタクシーだった。

 てっきり鉄道でも使うかと思ったが。


「高校生なのに姉と二人暮らしなんだな」


 タクシーに乗り込むと、なんとなく話題をふってみた。

 ホストファミリーになる条件に、保護者の存在は入っていないのだろうか。

 なんて疑問は、彼と握手をした時に霧散している。


「キミもそうだろ?」

「ホストファミリーには、こちらの家族構成の情報もいくのか」

「いいや」

「『組織』からの情報か」

「握手でのメッセージは伝わったようだね」

「まあな」


 カルロは最初の握手の際、わずかに魔力を流してきた。

 こちらの世界における魔法の発達具合を考えると、かなり上手く扱える方なのだろう。

 『関係者』だと伝えるにはわかりやすい方法だ。




 空港を出て1時間ほど。

 タクシー庭付きの一軒家が連なる住宅街に到着した。

 どの家も広めの敷地をもつ。

 高級住宅街というやつか。


「さて、まずは荷物の中にある2つのソレをなんとかしないとね」


 タクシーを降りるなり、カルロはオレの鞄を指さした。

 そこには、飛行機の中でヴァリアントを閉じ込めた結界が入っている。


 こいつ……予想よりできるぞ。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


ブックマーク、高評価での応援をなにとぞ! なにとぞよろしくお願いいたします!

(この下にある★5をぽちっと)


新連載『1泊7日の許嫁達』を開始しました。

こちらもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ