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【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無双する  作者: 遊野優矢


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15章:赤のフォーク(2)

 挑戦的な瞳をまっすぐ由依に向けながら近づいてきた美少女は、深い紺のドレスに身を包んでいた。

 歳はオレや由依と同じくらいだろうか。

 目の上でまっすぐ切りそろえられた黒髪の下で、きりりと少し太めの眉がつりあがっている。

 つややかな髪は腰の下まで伸びており、横髪はドリルを思わせる縦ロール。

 ドレスにはよく見ると、紺のバラがイヤミにならない程度にあしらわれている。

 胸は……双葉よりはちょっとある程度だ。


「久しぶりですわね。白鳥由依」


 控えめな胸をぐいっと張った美少女は、真っ正面から由依を睨んだ。

 おお……お嬢様言葉だ。

 本当に使ってる人を初めて見たぞ。


「お元気そうで何よりです。六条さん」


 一方の由依は、相変わらず凍てつく瞳をしてはいるものの、纏う空気を僅かに緩めていた。

 旧知の仲なのだろうか。


「そちらが難波カズさんと、双葉さんですの?」


 美少女は紹介しろとばかりにこちらへ視線を向けてくる。

 といっても由依にそうしたような無遠慮なものではなく、節度ある視線と態度だ。


「ええ、私の大切な人達です。こちらは六条華鈴さん。六条グループ代表のご令嬢です」


 由依はオレ達に、形式的な紹介をした。


「華鈴とお呼びください」


 華鈴さんはスカートをつまみ、うやうやしく礼をした。

 名前呼びに関しては、距離が近いというより、名字だと親族との区別がつかないからだろう。


 六条グループといえば、日本屈指の企業グループだ。

 白鳥には及ばないものの、一般人からすると雲の上の存在であることに変わりはない。


「それにしても、由依さんが『大切な人』とおっしゃるなんて……どんな方なのかしら? 梶浦様には随分つれなかったようですけど」


 華鈴さんがじっとオレの目を見つめてくる。


「もっとも、貴女が白鳥家の人間として、鉄岩様からの扱いが良くなったからといって、急にすり寄ってくるような男と比べるのも失礼でしょうけど」


 面白くなさそうに「ふんっ」と小さく鼻を鳴らす華鈴さんに対し、由依は肩をすくめて見せた。

 胸元の大きく開いた由依のドレスの下で、夢のつまった2つの膨らみがたわわに揺れる。


 そのボリュームを見た華鈴さんは一瞬目元をピクつかせたが、構わず続ける。


「そうそう。先日の全国模試、トップおめでとうございます」


 これはオレに対する言葉だ。

 オレが1位、由依が2位だった。

 そういえば、3位に華鈴さんの名前があったな。同い年なのか。

 それにしてもこの人、話題がころころ変わるなあ。

 大人な話がそこかしこから聞こえてくる中、急に高校生らしい話題だ。


「ありがとうございます」


 どう反応してよいかわからず、とりあえず礼を言っておく。


「今度こそ勝ったと思いましたのに、まさか順位が下がるだなんて! 結局、貴女にも負けましたし」


 由依に対するライバル心むき出した。


「前回2位で、今回3位だったんですね。すごいじゃないですか!」


 由依が誰かにこういうおちょくり方をするのはとても珍しい。


「イヤミですの!?」

「今回はたまたま運が良かっただけです。次は華鈴さんが勝ちますよ」

「かと思いきや急に謙虚ですわ!」


 振り回されまくる華鈴さんである。


「面白い人だな」

「でしょ? 華鈴さんがいなければ、こんなパーティー来ないよ」

「う……何をおっしゃって……はっ!? 面白いなんて失礼じゃありませんこと!?」


 華鈴さんは真っ赤になって照れている。

 この人、由依のこと好きすぎでは?



ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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